近年、クルマ好きの間で「レクサス LSが終売するらしい」という話題が急浮上しています。LSといえば、1989年の登場以来、レクサスブランドの象徴とも言えるフラッグシップセダン。その名が消えるかもしれないというニュースに、驚いた方も多いのではないでしょうか。
この記事では、レクサス LS終売の真相、背景にある市場の変化、そして今後のラグジュアリーセダン市場の行方について、わかりやすく解説します。
LS終売の噂は本当?国内外の動きから読み解く
まず気になるのは、「本当にレクサス LSは終売するのか?」という点です。結論から言えば、現時点(2025年時点)では公式な「販売終了」発表はされていません。しかし、各市場での動きを見ると、確実に“終売へのカウントダウン”が進んでいるように見えます。
イギリスではすでにレクサス LSの販売が終了しており、2024年の販売台数はわずか3台。ヨーロッパ市場から実質的に姿を消した格好です。北米では「2026年モデルが最終仕様になる」との報道が出ており、限定仕様“Heritage Edition”の発売も噂されています。
日本でも販売店関係者から「受注を受け付けていない」「生産枠が非常に限られている」といった声が上がっており、実質的な販売停止状態。つまり、“正式には継続”だが、実際はもう買えない状態に近いのが現状です。
なぜレクサスは旗艦セダンを終売へ?5つの理由
レクサス LSがこのような状況に追い込まれた背景には、いくつかの構造的な要因があります。単なる販売不振ではなく、自動車市場そのものの変化が大きく関係しています。
1. セダン離れとSUV人気の加速
世界的にSUV需要が高まり、セダン市場は年々縮小しています。特にラグジュアリー層では「快適で高い視点のSUV」が好まれ、フラッグシップセダンの需要が激減。レクサス LSのような大型セダンを維持するメリットが薄れているのです。
2. 電動化・環境規制への対応コスト
ヨーロッパでは排ガス規制が年々厳格化。ハイブリッドであるLS500hでも対応が難しく、電動化への転換が迫られています。しかし、新規開発には膨大なコストがかかるため、販売台数の少ないモデルを維持するのは現実的ではありません。
3. モデルライフの長期化と陳腐化
現行レクサス LS(5代目)は2017年デビュー。以降、小改良を重ねてはいるものの、基本設計は8年目に突入しています。プラットフォームや装備の古さが目立ち、競合の最新モデルと比べると「古い印象」を持たれるようになっていました。
4. ブランド内競合の存在
レクサスは現在、SUVのレクサス RXやラグジュアリーミニバンのレクサス LMなど、高級ラインを拡充中。特にレクサス LMはショーファードリブン用途で人気が高く、かつてレクサス LSが担っていた「最上級移動空間」というポジションを奪いつつあります。
5. 収益性の低下
高級セダンはブランドの象徴ではありますが、利益率は決して高くありません。販売台数が少なく、生産・認証コストがかさむ一方で、SUVや電動モデルのほうが収益性が高いため、経営的にも優先度が下がっています。
LSが消えることで起きる市場の変化
では、もし本当にレクサス LSが終売となれば、レクサスや高級セダン市場はどう変わるのでしょうか。
● レクサスの「旗艦」はセダンではなくなる
これまでレクサスの“頂点”といえばレクサス LSでした。しかし今後は、電動SUVやミニバンがその座を引き継ぐ可能性があります。実際に「次期フラッグシップはEVモデルになる」との見方も強まっています。
つまり、「フラッグシップ=セダン」という常識が崩れ、“形よりも体験重視”のラグジュアリーへ転換していくのです。
● 高級セダンというカテゴリーの再定義
メルセデス・ベンツ Sクラス、BMW 7シリーズ、アウディ A8といったライバルたちも、次世代モデルでは電動化・自動運転機能を前面に打ち出しています。レクサス LSの終売は、こうした世界的なトレンドの一部であり、大型セダンという概念そのものが変わる転換点を意味します。
● 「レクサス=静粛で上質」という価値観の移行
レクサス LSが築いてきた「走る応接間」のような世界観は、ブランド全体に受け継がれます。今後は電動SUVや新世代ミニバンにその思想が移植され、静粛性・快適性・クラフトマンシップといった価値が別の形で表現されるでしょう。
日本市場での現状と購入を検討している人への注意点
日本ではまだ公式な終売発表はないものの、販売現場ではすでに受注が停止しているケースが多くなっています。オーダーができたとしても納期が極めて不透明で、在庫車両を見つけるのも難しい状況です。
もし「どうしてもレクサス LSを手に入れたい」という場合は、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 早めの在庫確認:一部の販売店や中古車市場には、登録済み未使用車や試乗車上がりの個体が流通しています。早めの問い合わせが鍵になります。
- リセール価値に注目:終売後の希少化によって、中古市場での価値が上がる可能性があります。ただし、維持費や部品供給リスクも考慮が必要です。
- 代替候補を視野に:快適性を重視するならレクサス LM、走行性能と静粛性を両立させたいならレクサス ESやレクサス RXも検討に値します。
次の旗艦モデルはどこへ?レクサスの未来戦略
レクサスはすでに「次世代EVフラッグシップ」を開発中とされています。2026年以降に登場予定の**EV専用プラットフォーム「Arene」**を採用するモデルが、レクサス LSの後継的存在になる可能性があります。
また、2025年秋のモーターショーでは「3列ラグジュアリーミニバン風コンセプト」がLSの名を冠して発表されるとの噂もあり、形を変えて“LSブランド”を継続させる動きもありそうです。
つまり、**レクサス LS**という名前が完全に消えるのではなく、次の時代に合わせて再定義される可能性が高いのです。
LS終売が示す「ラグジュアリーの新しい価値」
レクサス LSの終売は、単に1台のセダンが消える話ではありません。
それは、「ラグジュアリーの定義」が変わる象徴的な出来事でもあります。
これまでのように「長いボディ」「後席の広さ」「静かなエンジン音」だけが高級の証ではなく、これからは「環境性能」「デジタル体験」「ブランドストーリー」が価値の中心になります。
つまり、レクサスにとっても、ユーザーにとっても“ラグジュアリーの再構築期”に入ったということ。レクサス LSがその役割を終えるのは、時代の要請とも言えるでしょう。
LS終売でレクサス旗艦セダン市場が変わる?今知るべきポイント
LS終売の噂は、単なるモデルチェンジの話ではなく、クルマ文化全体の転換を示しています。
SUV・EV・ミニバンが新しい旗艦として台頭するなかで、セダンという形式の意義が問い直されているのです。
とはいえ、レクサス LSが築いた「静粛」「上質」「匠の技」という価値観は、レクサスの魂として次の時代にも引き継がれていくでしょう。
もし今、あなたが「レクサス LS」という名前に惹かれているなら――それは単なるクルマへの憧れではなく、“時代を超えて受け継がれる本物のラグジュアリー”への共感かもしれません。

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