スコッチウイスキー好きなら、一度は名前を聞いたことがある「アベラワー18年」。深みのあるシェリーの甘みと、長期熟成ならではのまろやかなコクで、多くのファンを魅了してきたボトルです。
そんなアベラワー18年が「終売したのでは?」という噂が広がっています。今回は、その背景や現状、そしてもしまだ手に入れるならどこで探すべきかを詳しく解説します。
アベラワー18年とは?その魅力と特徴
アベラワー蒸留所は、スコットランド・スペイサイド地方の中心に位置し、1879年にジェームズ・フレミングによって創業された老舗です。
柔らかく澄んだ湧き水「St. Drostan’s Well」を仕込み水に使い、伝統的な製法でつくられるウイスキーは「果実の甘さとスパイスの調和」が特徴。中でも18年熟成ボトルは、同蒸留所の中でも最上位クラスのひとつとされてきました。
アベラワー18年 ダブルカスク マチュアードは、主にオロロソシェリー樽とバーボン樽の二種類で熟成された“ダブルカスク・マチュアード”仕様。
ドライフルーツ、トフィー、オレンジピール、ビターチョコレートといった香味が複雑に絡み合い、余韻までエレガントに続くのが特徴です。
アルコール度数は43%、ボトル容量は700ml。数々の国際的なウイスキーコンペティションでも受賞歴を持ち、「スペイサイドの優等生」と評されてきました。
アベラワー18年は本当に終売?流通状況の現実
「終売」という言葉が飛び交うようになったきっかけは、海外の一部販売店がアベラワー18年を「Discontinued(販売終了)」と表示し始めたことにあります。
特に英国やアイルランドの老舗ショップでは、在庫が枯渇し「Sold Out」「Out of Stock」の状態が続いており、日本国内でも取り扱いが激減しています。
ただし、アベラワー公式サイトにはいまだに「アベラワー18年 ダブルカスク マチュアード」という製品ページが残っており、完全に生産停止となったわけではないようです。
一方で、ブランドのコアレンジ(定番ライン)からは16年・18年モデルが削除されているとの指摘もあり、少なくとも“定常流通品としての終売”が近い段階にあると考えられます。
つまり、「公式には販売継続扱い」「実際には在庫消滅寸前」というのが現状です。多くのウイスキーファンが“事実上の終売”と感じるのも無理はありません。
なぜアベラワー18年が終売と言われるのか?背景を徹底解説
アベラワー18年が姿を消しつつある理由はいくつか考えられます。ここでは業界全体の流れを踏まえながら、その背景を整理してみましょう。
1. 長期熟成原酒の不足
18年熟成の原酒は、最低でも18年以上前に蒸留されたウイスキーを使用します。
世界的なウイスキーブームが続くなか、原酒の在庫はどの蒸留所でも逼迫しており、特に長期熟成タイプは極端に不足しています。
コロナ禍以降の物流コスト高騰や原料価格の上昇も重なり、長熟ボトルの継続生産は大きな負担となっているのが現実です。
2. ブランド戦略の再構築
近年、スコッチ業界では「年数表記付き(Age Statement)」から「ノンエイジ(NAS)」へのシフトが進んでいます。
これは、在庫リスクの軽減と、味わいの自由度を高めるための戦略でもあります。
アベラワーでも「アベラワー アブーナ」シリーズのようなノンエイジモデルが人気を集めており、今後はそちらに注力する動きが強まっているようです。
3. 地域限定・流通縮小による影響
アベラワー18年は、かつて一部市場(特にフランス)向けに限定販売されていた経緯があります。
そのため、そもそもグローバルな流通量が少なく、地域によっては数年前から入手困難だったとの情報もあります。
日本でも並行輸入ルートに依存していたため、輸入業者の在庫が尽きれば自然と「終売」と受け取られてしまう構造になっています。
希少化が進むアベラワー18年 価格と入手難度の現実
終売説が出始めてから、アベラワー18年の価格は確実に上昇しています。
以前は1万円台後半〜2万円台で購入できた時期もありましたが、現在では国内外のショップで3〜4万円前後が相場、プレミアム価格では5万円以上に跳ね上がるケースもあります。
特に海外の専門サイトでは、すでに「入荷未定」「廃盤扱い」とされており、再販の見込みはほとんど立っていません。
それでも「アベラワーの最高傑作」と呼ばれる18年モデルを探すファンは後を絶たず、オークションやコレクター市場でも人気が続いています。
ただし、価格上昇が続くなかで偽造ボトルや状態不良のリスクも増しています。
希少ボトルを購入する際は、正規輸入品かどうか、ラベルや封印、液面(フィルレベル)などをしっかり確認することが大切です。
まだ買える?アベラワー18年を手に入れる方法
もし今から手に入れたいなら、次の3つのルートを押さえておくと良いでしょう。
1. 国内の在庫限りを探す
日本のウイスキー専門店や大手酒販サイトでは、「在庫限り」「ラスト1本」などの表記が出ている場合があります。
特に地方の専門店や百貨店系リカーショップでは、意外とひっそりと在庫が残っていることも。
見つけたら迷わず確保するのが賢明です。
2. 海外通販を利用する
イギリスやアイルランドのオンラインショップでは、まだ一部在庫が流通している可能性があります。
ただし、送料・関税・輸入規制を考慮すると、国内より高額になることが多く、信頼できる販売元を選ぶ必要があります。
個人輸入の場合は酒税法や特定商取引法などのルールに従い、正規手続きで購入するよう注意が必要です。
3. オークション・二次流通をチェック
ウイスキー専門オークションやコレクター取引サイトでは、アベラワー18年が定期的に出品されています。
ただし、価格は市場の動向次第で大きく変動し、真贋確認も自己責任です。
出品者の評価や保管環境、付属箱の有無などを慎重に確認しましょう。
アベラワー18年が「今」注目される理由
終売説によって注目が集まる背景には、アベラワー18年の完成度の高さがあります。
熟したフルーツやキャラメルの甘味、スパイスの奥行き、滑らかな口当たり──そのバランスの良さは同価格帯のモルトの中でも群を抜いています。
また、近年のスコッチ市場では「年数付きのスペイサイドモルト」が減少しており、18年クラスのボトルはどの蒸留所でも希少価値が高まっています。
一方で、ブランドとしてのアベラワーは「アベラワー12年」「アベラワー アブーナ」などの人気が安定しており、これらの売れ行きが好調なことも18年モデルの再生産を難しくしている一因かもしれません。
いわば「名作ゆえに終わる」状況。ファンとしては複雑な思いですが、それだけ完成度の高いボトルであったことの証明でもあります。
今後の展望とファンへのメッセージ
今後アベラワー18年が再販される可能性は、完全には否定できません。
スコッチ業界では、人気モデルが数年後に限定復刻されることもあります。
しかし、同じ仕様・同じ味わいで戻ってくる保証はなく、少なくとも“現行のアベラワー18年”は市場から姿を消しつつあるのが現実です。
もしまだ見つけられる機会があるなら、それは幸運です。
1本を手に入れて大切に味わうか、将来への記念としてコレクションするか──いずれにしても、このウイスキーは「いまこの瞬間」にしか手に入らない存在になりつつあります。
アベラワー18年 終売の真相と、手に入れる最後のチャンス
結論として、アベラワー18年は「公式には継続中」ながらも「実質的には終売状態」に近いといえます。
在庫は減り続け、価格は上昇、再販の確約もない。
それでも、長期熟成スコッチの真髄を味わいたい人にとって、アベラワー18年は今なお憧れの一本です。
もし出会えたなら、迷わず手に取ってほしい。
そして、グラスを傾けながら18年という時の重みを感じてみてください。
それが、スコッチファンにとって最高の贅沢なのかもしれません。

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