イチローズモルトの名前を聞いたことがある方なら、その希少性や人気ぶりを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
近年、SNSやウイスキーファンの間で「イチローズモルトが終売したらしい」「もう手に入らないの?」という声が相次いでいます。この記事では、そうした噂の真相や、なぜ終売といわれるのか、そして今でも購入できる在庫情報までをわかりやすく解説していきます。
イチローズモルトとは?世界が注目する秩父発のクラフトウイスキー
まず、「イチローズモルト モルト&グレーン ホワイトラベル」とは何かを簡単に整理しておきましょう。
イチローズモルトは、埼玉県秩父市にあるベンチャーウイスキー(秩父蒸溜所)が製造するジャパニーズウイスキーのブランドです。創業者の肥土伊知郎氏は、かつての羽生蒸溜所の原酒を救い出し、それを新しいブランドとして世に送り出しました。
2008年に秩父蒸溜所が稼働を開始して以来、少量仕込み・手作業・伝統製法にこだわったクラフトウイスキーとして世界的な評価を獲得。
「イチローズモルト モルト&グレーン ホワイトラベル」や「リーフシリーズ(イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ、イチローズモルト ワインウッドリザーブなど)」「イチローズモルト ダブルディスティラリーズ」など、個性豊かなラインナップが揃っています。
また、「トランプカードシリーズ」と呼ばれる希少な羽生原酒を使ったボトル群は、コレクターズアイテムとして世界中のオークションで高値取引されています。つまり、イチローズモルトは単なるウイスキーではなく、日本のウイスキー文化を象徴する存在なのです。
「イチローズモルト終売」の噂は本当?実際の販売状況を整理
ネット上で「終売」との言葉が目立ち始めたのは、特定のシリーズに関する話題からでした。
特に有名なのが「イチローズモルト&グレーン 505」。これは2021年、コロナ禍で苦境に立つ飲食店を支援する目的でリリースされた限定ボトルでしたが、同年をもって販売を終了。これが「イチローズモルトが終売した」という誤解を生んだといわれています。
ただし、イチローズモルト自体が完全に終売したわけではありません。
現在も「イチローズモルト モルト&グレーン ホワイトラベル」「リーフシリーズ」「イチローズモルト ダブルディスティラリーズ」など、複数のラインは継続して販売されています。
一方で、羽生蒸溜所の原酒を使ったボトルなどは在庫が尽き次第終了となるため、「終売=もうすぐ手に入らなくなるシリーズがある」というのが正確な理解です。
終売や品薄が続く背景:原酒不足と人気の高まり
イチローズモルトの一部シリーズが「終売」または「入手困難」になっている背景には、いくつかの理由があります。
1. 原酒不足という業界全体の課題
日本のウイスキー業界では、近年「原酒不足」が深刻化しています。
需要が低迷していた1990年代〜2000年代前半に仕込みを減らした結果、今になって熟成年数の長い原酒が足りないという状況です。
イチローズモルトも例外ではなく、羽生蒸溜所の原酒を使ったシリーズは在庫が限られており、使い切れば再生産できません。
2. 世界的な人気による供給不足
イチローズモルトは海外でも「Japanese Craft Whisky」として高い評価を受け、特に欧米・アジア市場での需要が急増しています。
その結果、国内流通量が減少し、日本のファンが定価で手に入れるのが難しくなっているのです。
3. プレミア化と転売市場の影響
限定ボトルや終売予定シリーズが高騰し、転売市場で数倍の価格がつくケースもあります。
特に「イチローズモルト&グレーン 505」や「イチローズモルト ワインウッドリザーブ」は定価の3〜5倍で取引されることもあり、一般消費者の手に届きにくい状況が続いています。
シリーズ別に見る:終売・継続・入手困難の現状
イチローズモルトには複数のシリーズが存在し、それぞれの状況は異なります。
● イチローズモルト&グレーン 505
→ 終売済み。コロナ禍の飲食店支援を目的とした特別ボトルで、2021年で販売終了。現在は市場流通のみ。
オークションや中古市場で高騰中。
● イチローズモルト モルト&グレーン ホワイトラベル
→ 継続販売中。イチローズモルトの定番ブレンデッドとして人気。
一部酒屋や百貨店で定価販売されることもありますが、入荷数が非常に少なく、抽選販売が中心。
● イチローズモルト ダブルディスティラリーズ
→ 販売継続(ただし将来的に終売の可能性あり)。羽生と秩父、2つの蒸溜所の原酒をブレンドしたボトル。
羽生原酒の在庫が尽きれば終了とみられています。
● リーフシリーズ(イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ、イチローズモルト ワインウッドリザーブなど)
→ 生産継続中だが供給限定。国内では高確率でプレミア価格化。
ミズナラウッドリザーブやワインウッドリザーブは特に人気が高く、定価入手は困難。
「終売」とはいっても完全終了ではない?リニューアルや新展開も
ここで押さえておきたいのは、「終売=ブランドの終了」ではないということ。
イチローズモルトは現在も新しい展開を続けており、むしろ拡大傾向にあります。
2020年代には、秩父第2蒸溜所(Chichibu No.2 Distillery)が稼働を開始。
ここでは、より大規模な生産体制と新しい原酒造りが進められています。
これにより、今後は「新しい秩父原酒を使ったシリーズ」や「リニューアル版リーフシリーズ」など、新展開が期待されています。
つまり、現行の一部シリーズが終売となっても、ブランド自体は今後も続き、新しいボトルへと進化していく段階にあるというわけです。
今買える在庫と価格傾向:どこで手に入る?
「終売の噂は分かったけど、じゃあ今どれが買えるの?」という方のために、現状の入手傾向をまとめます。
- 比較的買いやすいのは「イチローズモルト モルト&グレーン ホワイトラベル」
→ 一部の大手酒販店や百貨店、イオンリカーなどで入荷あり。オンラインでは抽選販売が多い。 - リーフシリーズは限定流通中心
→ 正規代理店や酒専門店で不定期入荷。SNSや公式サイトで入荷情報をチェック。 - イチローズモルト&グレーン 505・羽生原酒系はプレミア市場限定
→ 一般販売は終了。オークション・中古市場で高額取引されている。
価格は定価5,000円台のホワイトラベルが市場で7,000〜9,000円前後、リーフシリーズは1万円以上、505は3万円超が相場。
購入する際は、転売サイトやフリマアプリでの偽物・ラベル詐欺に十分注意が必要です。信頼できる店舗・正規販売店からの購入を強くおすすめします。
ファンが押さえておきたい「終売=希少価値」という視点
イチローズモルトの場合、「終売」はネガティブな意味だけではありません。
むしろ、「一期一会のボトル」として希少価値が高まり、時間が経つほど価値を増すケースがほとんどです。
過去にリリースされたカードシリーズなどは、今や数十万円単位で取引されており、ブランドの象徴的存在となっています。
つまり、終売シリーズを見つけたときは「もう二度と同じ味は味わえない貴重な機会」と捉えるのが正解。
もし気になるボトルを見かけたら、迷わず確保しておくのがウイスキーファンの鉄則です。
イチローズモルト終売まとめ:今後も進化するブランドを追いかけよう
ここまで見てきたように、「イチローズモルトが終売した」という噂は誤解を含んでいます。
実際に終売となったのは「イチローズモルト&グレーン 505」など一部シリーズのみであり、ブランド全体は秩父第2蒸溜所の稼働により今後さらに進化していく段階です。
ただし、羽生原酒を使ったボトルや限定リーフシリーズなどは確実に在庫が減少しており、今後入手困難になることは間違いありません。
気になる方は、正規販売店や抽選販売をチェックしつつ、信頼できるルートで早めに入手しておくのがおすすめです。
「終売」は、終わりではなく新しい章の始まり。
イチローズモルトというブランドの物語は、これからも秩父の地で続いていくのです。

コメント