SUVブームのなかで、独自の個性を放っていた三菱の「エクリプス クロス」。スポーティなクーペスタイルとSUVの実用性を融合したモデルとして人気を集めていましたが、ついに終売の報が広がっています。この記事では、エクリプス クロスが販売終了となった背景や理由、そして今後登場が期待される後継モデルについて、わかりやすく整理していきます。
エクリプス クロスとは?スポーツとSUVを融合した異色の存在
「エクリプス クロス」は、2017年に三菱自動車が世界市場に投入したクロスオーバーSUVです。
かつて北米市場で人気を博したクーペ「エクリプス」の名を受け継ぎ、「クロスオーバー(=クロス)」として再登場したモデルでもあります。
流麗なクーペフォルムと高いアイポイントを両立したデザインは、SUV市場の中でもひときわ異彩を放つものでした。
搭載された1.5Lターボエンジンやディーゼル仕様、さらにはプラグインハイブリッド(PHEV)まで幅広いラインナップが展開され、三菱の電動化技術を象徴する存在でもありました。
しかし、2020年のマイナーチェンジ以降、新型モデルの噂が立たないまま時間が経過。ディーラーを中心に「在庫のみ販売」「生産終了予定」といった情報が出始めたことで、終売が現実味を帯びてきたのです。
エクリプス クロス終売の報道と実際の状況
国内の三菱販売店や海外メディアによると、エクリプス クロスは2025年夏頃に生産を終了する見通しです。
奈良県の正規ディーラーでは「2025年8月をもって生産終了、以降は在庫のみ販売」と明記されています。
また、オーストラリアなど海外市場でも、現行モデルがラインナップから削除されることが正式に報じられています。
特にPHEV仕様については「生産終了のため、装備や仕様が希望に添えない場合があります」と三菱公式サイトでも案内されており、現行車種が最終期にあることが裏付けられています。
一方で、ガソリン車やディーゼル車がすでに終売となっている地域もあり、仕様ごとに販売状況が異なっています。
つまり、「完全な販売終了」ではなく、「現行仕様の終了」という段階的なフェーズに入ったとみるのが正確でしょう。
販売終了の理由① 法規制とコストの壁
最初に挙げられる理由は、安全規制や排ガス規制への対応コストの増大です。
オーストラリア市場では2025年以降、安全基準(自動緊急ブレーキや衝突被害軽減装置など)を満たす再設計が義務化される見通しで、既存モデルのままでは販売を継続できません。
しかし、モデル後期の車種に多額の開発投資を行うのは採算が合わず、三菱はエクリプス クロスを含む数車種の生産を終了する判断を下しました。
これは他メーカーでも見られる流れで、法規制の強化が「終売」を早める一因になっているのです。
販売終了の理由② モデルライフの限界と電動化への転換
エクリプス クロスは登場からすでに7年以上が経過しています。
2020年にマイナーチェンジを行ったとはいえ、プラットフォームは初期型の延長線上にあり、フルモデルチェンジを行うにはコスト負担が大きい状況でした。
また、三菱自動車は中期経営計画の中で「電動化モデルへの集中」を掲げています。
すでに「アウトランダーPHEV」や「デリカD:5」の新展開に注力しており、エクリプス クロスのような中間サイズSUVに再投資する優先度は下がったと考えられます。
そのため、内燃機関車を中心とする現行モデルの販売を終了し、次世代EVへの移行を見据えた戦略に切り替えた可能性が高いです。
販売終了の理由③ 販売台数の低下と市場競争の激化
もうひとつの背景は、販売実績の伸び悩みです。
エクリプス クロスはデザイン面で高く評価される一方、「SUVとしてはサイズが中途半端」「競合が多すぎる」といった声もありました。
実際、日本国内の販売台数は2018年の約1.1万台をピークに、2020年には約5,000台まで減少。
同セグメントではトヨタ「ハリアー」やマツダ「CX-5」、日産「エクストレイル」など強力なライバルがひしめいており、販売シェアを維持するのは容易ではありませんでした。
特に三菱の国内販売全体に占める割合も限定的であり、モデルサイクル更新に投資する余地が限られていたと見られます。
結果として「モデルライフの終了=終売」という自然な流れに落ち着いたといえるでしょう。
後継モデルは登場する?次世代エクリプス クロスの動き
気になるのは「次のエクリプス クロス」が登場するかどうか。
これについては、海外メディアを中心にEV化した後継モデルが2025〜2026年に登場予定と報じられています。
新型はルノーの電動SUV「Scénic E-Tech」をベースにした共同開発車で、三菱のデザインとブランド哲学を融合させたEVとして欧州市場に投入される見込みです。
航続距離600kmクラスのバッテリーを搭載し、EV専用プラットフォームを採用。現行のPHEVとは一線を画す電動SUVとなりそうです。
ただし、日本市場での導入は未定。
三菱は欧州向け車種を優先投入する傾向があり、国内ではアウトランダーPHEVやデリカD:5を主力に据える戦略が続く可能性もあります。
そのため、エクリプス クロスの後継が日本に戻ってくるのは、少なくとも数年先になりそうです。
今買うべき?在庫車を検討する際の注意点
「今のうちに手に入れておきたい」という声も少なくありません。
終売間際のモデルには値引きやキャンペーンが出やすく、在庫車中心の販売では即納できるメリットもあります。
しかし、購入を検討する際は以下の点に注意が必要です。
- 生産終了後は希望グレードやカラーが選べない場合がある
- 部品供給やアフターサービスは継続されるものの、将来的な保証条件を確認しておく必要がある
- モデル末期のためリセールバリューは下がる傾向にある
PHEVモデルについては、三菱の電動技術を体感できる完成度の高い車であり、今でも根強いファンが多いです。
ただし、電動化のトレンドを考えると、次世代EVへの移行を見据えて購入を検討するのも一つの選択肢といえるでしょう。
エクリプス クロス終売は「進化の前触れ」
エクリプス クロスの終売は、単なる終了ではなく、三菱自動車の次なるステージへの布石でもあります。
SUVと電動化を両立させた先駆的なモデルとして、7年間にわたりブランドを支えた功績は大きいものがあります。
そして、次に登場する新世代エクリプス クロス(EV仕様)は、かつての個性をさらに進化させた“未来のSUV”として期待されます。
自動車業界全体が変革期を迎えるなかで、エクリプス クロスの終売は時代の流れそのもの。
その名を冠した新たなモデルが再び市場に登場する日を、楽しみに待ちたいところです。
まとめ:エクリプス クロス 終売の今とこれから
エクリプス クロスは、デザイン性と走行性能で多くのファンを魅了したモデルでした。
しかし、環境規制や市場の変化、そして電動化の波により、現行モデルは2025年をもって終売へと向かいます。
後継モデルとしてEV仕様が準備されているとの報道もあり、今後の展開から目が離せません。
「エクリプス クロス 終売」は、終わりではなく始まり。
次世代SUVへの進化を見届けながら、今後の三菱自動車の挑戦に注目していきましょう。

コメント