「エヴァンウィリアムスが終売したって本当？」
そんな噂を耳にして、驚いた人も多いのではないでしょうか。
スーパーや酒屋で長年見かけてきたあの黒いラベル。バーボン好きにとっては、生活の一部のような存在だったはずです。
この記事では、エヴァンウィリアムスの歴史や終売の真相、そして今後の代替品候補までを、できるだけわかりやすく整理して紹介します。
エヴァンウィリアムスとは？ケンタッキーを代表する定番バーボン
エヴァンウィリアムス（Evan Williams）は、アメリカ・ケンタッキー州バーズタウンの老舗「ヘブンヒル蒸留所（Heaven Hill Distillery）」が手がけるケンタッキーストレートバーボンです。
その名前は、18世紀に同州で最初に蒸留を始めたとされる人物「エヴァン・ウィリアムス」に由来しています。
ブランドとしては1957年に正式発売され、以来60年以上にわたり世界中で愛されてきました。
特に「エヴァンウィリアムス ブラックラベル」はコスパの良い定番バーボンとして有名で、バーの棚に必ず並んでいる一本といっても過言ではありません。
焦がしたホワイトオーク樽で熟成された原酒は、キャラメルやバニラの甘みとスモーキーさが絶妙に絡み合い、価格以上の満足感を与えてくれます。
これが“手頃な価格で本格的”という評価を受けてきた理由です。
エヴァンウィリアムス終売の噂は本当？一部モデルで販売終了の動き
まず結論から言うと、ブランド全体が終売になったわけではありません。
ただし、モデルによっては「生産終了」「流通縮小」といった動きが実際に起きています。
● エヴァンウィリアムス シングルバレルは実質的に終売
かつて人気を博した「エヴァンウィリアムス シングルバレル」は、2024年以降、アメリカ国内のケンタッキー州限定販売となりました。
つまり、全米や海外（日本を含む）での流通は終了。事実上の終売です。
蒸留所の発表によると、他ブランドへの原酒供給や生産効率の見直しが理由とされています。
手作業でのワックスシールや樽ごとの瓶詰めといった工程がコスト高だったことも背景にあるようです。
● エヴァンウィリアムス12年・エヴァンウィリアムス23年など長期熟成モデルも希少化
「エヴァンウィリアムス12年」や「エヴァンウィリアムス23年」といった上位モデルも、近年では蒸留所直営店や一部の限定流通ルートでしか販売されていません。
日本向けの輸出も縮小しており、在庫が市場から姿を消しつつある状況です。
これらの長期熟成モデルは、特にコレクターや愛好家の間で高値で取引されており、オークションでは数万円から10万円を超える落札例も見られます。
● 定番のエヴァンウィリアムス ブラックラベルは継続中
一方で、「エヴァンウィリアムス ブラックラベル」「エヴァンウィリアムス ボトルド・イン・ボンド（白ラベル）」といったスタンダードなラインは引き続き販売されています。
ただし、店舗によっては在庫薄や入荷未定となっているケースもあるため、安定供給が続くかどうかは注視が必要です。
終売・流通縮小の背景にある3つの理由
「なぜ一部のモデルが姿を消したのか？」
そこには、バーボン業界全体が抱える構造的な事情があります。
1. 熟成原酒の不足
バーボン需要の高まりにより、10年以上熟成させた原酒の確保が難しくなっています。
エヴァンウィリアムス12年・エヴァンウィリアムス23年のように熟成年数を重ねたボトルは、在庫を確保するだけでも至難の業。
結果的に、限定販売や終売という形で供給量を絞らざるを得なくなっています。
2. 世界的なバーボンブーム
近年、アメリカンウイスキーの人気が再燃し、ヨーロッパやアジアでも需要が急増しています。
一方で、樽の供給・熟成庫のキャパシティ・輸送コストの上昇などが重なり、低価格帯のモデルを維持するのが難しくなっています。
3. ブランド戦略の再構築
ヘブンヒル蒸留所は、近年「エライジャクレイグ スモールバッチ」や「ラルー・ウェラー」などプレミアムレンジのブランド強化を進めています。
その結果、エヴァンウィリアムスのようなミドルクラスのモデルが整理対象となったとも考えられます。
エヴァンウィリアムスが愛される理由と味の特徴
エヴァンウィリアムスの魅力は、何といっても「手頃な価格で味わえる本格派バーボン」という点です。
キャラメルやバニラの甘さの中に、スモーキーさとわずかなスパイス感。
飲みやすいのに奥行きがあり、初心者にも上級者にも好まれる味わいです。
特にエヴァンウィリアムス12年モデルは、101プルーフ（約50.5％）のしっかりとした度数で、濃厚な樽香と熟成感が楽しめます。
レビューでは「ドライチェリーやブラウンシュガーのような甘み」「焦がしオークの苦味」といった表現が多く、まさにクラシック・バーボンの代表格といえるでしょう。
今後の代替品候補：エヴァンウィリアムスの味に近いバーボンたち
もしもエヴァンウィリアムスが手に入らなくなったら、どの銘柄を選べばいいのでしょうか。
味わいや価格帯のバランスから、代替候補をいくつか紹介します。
● エライジャクレイグ スモールバッチ
同じヘブンヒル蒸留所が製造する兄弟ブランド。
キャラメルとトーストした樽香が特徴で、エヴァンウィリアムスより少しリッチな仕上がりです。
価格帯も近く、自然な乗り換え先としておすすめ。
● フォアローゼズ シングルバレル
フローラルでスパイシーな香りが特徴のフォアローゼズ。
エヴァンウィリアムス シングルバレルを愛飲していた人なら、こちらも満足できる一本です。
● ワイルドターキー 101／ワイルドターキー 12年
しっかりしたボディと樽由来の甘みがあり、飲みごたえのある一本。
アルコール度数や熟成感も近く、101プルーフという共通点もあります。
● その他の選択肢
・ヘブンヒル ボトルド・イン・ボンド
・オールドフォレスター 86プルーフ
・メーカーズマーク クラシックレッドトップ
いずれも王道アメリカンバーボンの味わいが楽しめ、手に入りやすい定番銘柄です。
日本市場の現状と入手のコツ
日本では、輸入代理店の取り扱い状況によって入荷に波があります。
オンラインショップでも「在庫なし」「再入荷未定」といった表示が増えていますが、並行輸入品を扱うショップやオークションサイトではまだ入手可能なケースもあります。
ただし、価格は上昇傾向にあり、特にエヴァンウィリアムス12年モデルは定価の数倍まで上がることも。
転売目的の購入や過度な煽り表現には注意しつつ、正規ルートでの購入をおすすめします。
まとめ：エヴァンウィリアムス終売の真相と、今後の楽しみ方
エヴァンウィリアムスは、
・ブランド全体が終売したわけではない
・一部モデル（エヴァンウィリアムス シングルバレル、長期熟成品）は事実上の終売または限定化
というのが現状です。
しかし、その価値や魅力が失われたわけではありません。
むしろ、手に入りにくくなることで“伝説的な一本”として語り継がれていくのかもしれません。
もし気になるボトルが店頭で見つかったら、それは貴重な出会い。
今のうちに味わっておくのも、バーボンファンとしての醍醐味です。
そして、同じ蒸留所のエライジャクレイグ スモールバッチや、味の系統が近いフォアローゼズ シングルバレルなど、代替銘柄を試すことで新たな発見もあるでしょう。
エヴァンウィリアムスという名バーボンの歴史を胸に、これからも自分の“定番の一杯”を探し続けてみてください。
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