カティサークストームとは?
スコッチウイスキーの中でも長い歴史を持つ「カティサーク」。その中で「カティサーク ストーム(Cutty Sark Storm)」は、2012年に誕生したやや上位レンジのブレンデッド・スコッチです。英国の老舗ワイン商ベリー・ブラザーズ&ラッドが手がけ、通常のカティサークよりもモルト比率を高め、より深みのある味わいを目指して造られました。
もともとカティサークは1923年創業、軽快でライトな味わいが特徴のブレンデッドとして知られています。ストームはその“進化版”のような位置づけで、よりリッチで香り高いブレンドを楽しめる一本として発売当時高い評価を受けました。
しかし近年、この「カティサーク ストーム」が市場から姿を消しつつあり、「終売」「在庫限り」という表記を多く見かけるようになりました。ここでは、その終売の背景と味わいの特徴、さらに今でも購入できる在庫情報をまとめます。
カティサークストームが終売になった理由
1. ブランドのリニューアルとライン整理
カティサークは長い歴史の中で、複数のブレンデッドモデルを展開してきました。ストームが発売された2012年当時も、従来の「カティサーク ブラック」などを整理し、新たな中核レンジとして投入されました。
その後、ブランドの販売元やマーケティング戦略が見直され、「プロヒビション」や「12年」など新しいラインナップに刷新。結果として、ストームは一定期間で役目を終えた形となります。メーカー公式に明確な「終売発表」はないものの、ライン再編による自然消滅とみられます。
2. 原酒調達・コストの問題
ストームは通常モデルよりモルト比率を高くし、熟成原酒を多く使うレシピが特徴でした。これは味の厚みを生む一方で、製造コストが上がる要因にもなります。スコッチ業界では2010年代以降、原酒不足や価格高騰が続いており、特にブレンデッド向けの中熟成モルトの確保が難しくなりました。
その結果、一定の価格帯を維持するのが難しくなり、採算が取りにくくなった可能性があります。
3. 市場ニーズの変化
ブレンデッドウイスキー市場は、ライトで手頃なボトルよりも「プレミアム志向」へと移行しています。シングルモルト人気の高まりにより、スタンダードなブレンデッドの売上が落ち込み、ブランドも上位モデルに注力する傾向が強まりました。
カティサーク自体も、よりパンチのある「プロヒビション」や高熟成モデルを中心に展開し始め、ストームのような中間層モデルが整理されたと見られます。
4. 流通チャネルの縮小
英国では既に「Out of Stock」「Discontinued」の表示が一般的になり、日本国内でも並行輸入品中心の販売となっています。輸出国によっては販売終了後も在庫が一定期間流通しますが、再出荷予定がないため“在庫限り”状態が続いています。
カティサークストームの味わい
終売が惜しまれるほど、ストームは評価の高いブレンデッドでした。レビューサイトやテイスティングノートから、その味わいを詳しく見てみましょう。
香り(ノーズ)
・トロピカルフルーツ(マンゴー、パイナップル、バナナ)
・バニラやカスタードのような甘み
・少しシトラスの酸味も感じられ、軽やかで華やかな印象
ストームは、従来のカティサークよりもモルト香が明確に感じられ、香りの立ち上がりがリッチです。軽やかさと芳醇さのバランスが取れています。
味わい(パレット)
・リンゴや洋梨のようなフルーティーさ
・キャラメル、ハチミツ、ナツメグ、シナモンなどのスパイス
・オーク樽由来の渋みとバニラが溶け合い、柔らかく続く
ブレンデッドらしい親しみやすさを保ちながらも、通常のカティサークより厚みと甘みを感じる仕上がり。アルコール度数40%ながら、しっかりとした飲みごたえがあります。
余韻(フィニッシュ)
・やや長めで、ドライフルーツとスパイスが残る
・軽いスモーキーさが最後にふっと顔を出す
総じて「スタンダードモデルの上位互換」と評されることが多く、価格に対する満足度の高さも人気の理由でした。
通常モデル・他シリーズとの比較
カティサークのラインナップには、現在も入手しやすいモデルが複数あります。ストームと比較しながら、特徴を整理します。
- カティサーク(ノーマル)
ライトでドライ。ハイボール向けとして人気。トロピカルで若々しい印象。 - カティサーク ストーム
モルト比率が高く、甘く厚みのあるブレンデッド。香りに深みがあり、ロックやストレートでも楽しめる。 - カティサーク プロヒビション
50%の高アルコール仕様で、バニラやスパイスがより強調。アメリカ禁酒法時代をイメージした力強い味わい。 - カティサーク 12年
熟成感があり、スムーズかつ優雅。ストームよりも落ち着いた印象で、価格もやや上。
ストームは“ノーマルの軽さとプロヒビションの強さの中間”と位置づけられます。つまり、日常飲みのバランスが非常に良かったモデルでした。
カティサークストームのおすすめの飲み方
終売品とはいえ、手に入ったらできるだけおいしく飲みたいところ。ストームの持ち味を活かす飲み方を紹介します。
- ストレート
熟成モルトの風味が際立ち、甘さとスパイスが層をなして広がります。 - トワイスアップ(加水)
1:1で水を加えると、トロピカルフルーツとオーク香が開き、口当たりがまろやかに。 - ハイボール
バニラと蜂蜜の甘みが炭酸で引き立ち、軽やかな飲み口。ライトな食事やつまみとも相性抜群です。
ライトタイプながらコクもあるため、どんなシーンでも飲みやすい万能ボトルでした。
今買える在庫・購入時の注意点
日本国内の在庫状況
現在、日本の一部通販サイトやウイスキー専門店で在庫が確認されています。価格はおおむね4,000〜5,000円前後(700ml)で、並行輸入品が中心です。
有名サイトでは「在庫僅少」「販売終了予定」の表示があり、在庫限りで再入荷予定はないケースが多くなっています。
海外市場の状況
英国や欧州の大手オンラインショップでは「Out of Stock」「Discontinued」と表示され、メーカー再入荷予定はなし。北米市場でも取り扱いはほぼ終了しています。
購入時のチェックポイント
- 輸入元ラベルの確認
並行輸入品は輸入代理店が異なり、保存状態に差が出ることもあります。信頼できる販売店を選ぶのが安心です。 - 保管状態の確認
長期在庫品は液面低下(ウイスキーの減り)やキャップ劣化が見られる場合があります。 - 価格の妥当性
終売品はプレミア価格がつく傾向があります。あまりに高額な場合は、他モデルの選択肢を検討するのも良いでしょう。
代替ボトルとして
・カティサーク プロヒビション:ストームより力強く、樽香が濃い。
・カティサーク 12年:上品でまろやか、落ち着いた飲み口。
・フェイマスグラウス ザ・ネイキッドモルト:モルト比率が高く、似たバランス感を持つブレンデッド。
これらはストームの系譜に近い飲み心地を求める方におすすめです。
カティサークストーム終売を惜しむ声
SNSやウイスキーフォーラムでは、ストームの終売を惜しむ声が今も多く見られます。
「値段以上の完成度だった」「ハイボールが絶妙」「プロヒビションよりも飲みやすい」など、特に“日常的に楽しめる上質ブレンデッド”として支持されていました。
一方で、後継モデルがないため「再販を希望する声」も一定数あります。英国の一部愛好家ブログでは、「人気ゆえに限定再販があるかもしれない」との憶測も見られますが、現時点で公式発表はありません。
カティサークストーム終売のまとめ
カティサーク ストームは、ブランドの革新期に登場した意欲的なブレンデッドでありながら、ライン再編・市場変化の波に押されて静かに姿を消しました。
その味わいは軽快なトロピカルさの中に熟成モルトの厚みを感じる、まさに“絶妙なバランス”の一本。終売後もなおファンが多い理由がわかります。
今後再販の可能性は低いものの、まだ入手できる在庫がわずかに残っています。気になっていた方は、ぜひ今のうちに確保しておくのが賢明です。
手に入ったら、ストームらしい柔らかな甘みと香ばしさを、ゆっくり味わいながら楽しんでみてください。

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