カティサーク18年が終売に?そのニュースの背景
「カティサーク18年が終売になったらしい」——ウイスキー愛好家の間でそんな話題が広がっています。
カティサーク(Cutty Sark)は、イギリスの老舗ワイン商「ベリーブラザーズ&ラッド(Berry Bros. & Rudd)」が1923年に立ち上げたブレンデッド・スコッチブランド。長い歴史を持ち、世界中で愛されてきた銘柄です。
しかし、その中でも上位レンジに位置づけられていた「カティサーク18年」が、2019年前後を境に生産終了となったことが確認されています。日本国内の販売店でも「2019年3月終売予定」「在庫限り」との表記が見られ、現在では新たな流通が途絶えています。
終売理由は公式に明言されていませんが、ブランドの所有企業変更や生産体制の見直しが関係していると見られます。かつてカティサークはスコットランドのグレンロセス蒸留所を中心に製造されていましたが、2018年にブランドがエドリントングループからフランスのラ・マルティニケーズ社に売却されました。
その後、製品ラインの整理が進み、熟成年数付きの上位モデルが生産終了に至ったと考えられています。
カティサーク18年とはどんなウイスキーだったのか
カティサーク18年は、ブランドの中でも「デラックス」や「ラグジュアリー」を冠する上位ブレンデッドスコッチとして位置づけられていました。
ボトルには「カティサーク 18年 デラックス」「43%」などの表記があり、国内でも一時期高級酒専門店やバーで根強い人気を誇っていました。
その魅力は、カティサーク特有の“軽やかさ”と“深み”の両立。
香りはオレンジ、ピーチ、ハチミツ、バニラといった柔らかいトーンが立ち、味わいにはキャラメルのような甘みと穏やかなスパイスが感じられます。
レビューサイトでは「クリーミーでフルーティ」「軽いのに余韻が長い」といった声が多く、平均スコアは82点前後と高評価。特に“飲み疲れしない18年もの”として多くの愛好家から支持を得ていました。
フィニッシュにはほのかなスモーキーさがあり、全体としてはスペイサイド系ブレンデッドの上質なバランス感が印象的。
「食中にも楽しめる18年熟成ウイスキー」という独自の立ち位置を確立していたのです。
なぜカティサーク18年は終売になったのか
終売の背景には、いくつかの要因が重なっています。
まず、ブランドの所有権変更。
カティサークは長年エドリントングループ(マッカランやハイランドパークを傘下に持つ企業)の傘下でしたが、2018年にフランスのラ・マルティニケーズ・バルディネ社に譲渡されました。
企業が変わればブランド戦略も変わるもの。ラインナップの再編やマーケティングの方向転換が行われ、結果として熟成年数付きのプレミアムモデルが整理対象となったと見られます。
次に、ウイスキー原酒不足とコスト問題。
世界的なウイスキーブームにより、長期熟成原酒が不足しており、18年クラスのブレンドを安定的に供給するのは難しくなっていました。特にブレンデッド・スコッチでは、複数蒸留所の原酒を組み合わせる必要があるため、確保コストが大幅に上昇していたのです。
さらに、ブランドの方向性のシフトも要因のひとつ。
新しいオーナー企業はより現代的でカジュアルな印象を打ち出す方針を採っており、ノンエイジ(年数表記なし)の「カティサーク オリジナル」や「カティサーク プロヒビション・エディション」など、軽快でミクサブルな路線に注力しています。
18年のようなクラシカルな上級レンジよりも、日常的に楽しめるライトスタイルへと舵を切った形です。
こうした背景が重なり、「カティサーク18年」という象徴的なボトルは静かに姿を消すことになりました。
終売によって高まる希少価値とコレクション性
終売後、カティサーク18年はコレクターズボトルとして注目を集めています。
特に「カティサーク 18年 デラックス」は、ラベルデザインやボトル形状の美しさから、所有欲をそそる一本として評価が高いです。
国内外のオークションサイトでは「Discontinued(生産終了)」と明記され、取引価格は発売当時より上昇傾向。
イギリスでは100〜150ポンド、日本でも15,000〜25,000円前後で取引されるケースが多く、状態や流通経路によってはさらに高値がつくこともあります。
ただし、古酒の購入には注意も必要です。保管環境や液面低下、コルクの劣化など、品質リスクを理解したうえで信頼できる販売元を選ぶことが大切です。
記事としては「価格高騰」よりも「終売による希少化」「コレクション価値が高まっている」といった表現が適切でしょう。
代替となるおすすめウイスキー
「カティサーク18年をもう一度飲みたい」「似た味わいを探したい」という声も多いでしょう。
ここでは、風味やスタイルが近い代替ウイスキーをいくつか紹介します。
カティサーク 12年
同ブランドの12年は、18年の弟分的存在。熟成年数は短いものの、カティサークらしいライトでフルーティなブレンドが楽しめます。
オレンジや蜂蜜の香り、やわらかなモルト感は健在で、日常的に飲みやすい一本です。
カティサーク プロヒビション・エディション
アルコール度数50%の特別仕様。禁酒法時代のアメリカにちなんだ力強いスタイルで、スパイスと甘みのコントラストが魅力。
18年のような上品さとは異なりますが、ブランドの新しい方向性を体感できるウイスキーです。
グレンロセス 18年
カティサークのブレンド核となっていたグレンロセス蒸留所の18年もの。フルーツケーキのような香りとリッチな口当たりで、ブレンドの源流を感じられる一本です。
バランタイン 17年
同じブレンデッド・スコッチとして、スタイルが近いのがバランタイン 17年。柔らかな果実香と滑らかなモルト感があり、落ち着いた味わいを好む人におすすめ。
これらの銘柄を比較しながら、自分にとっての“カティサーク18年の代わり”を見つけるのも楽しみのひとつです。
終売が示すウイスキー業界の今
カティサーク18年の終売は、単なる一本の消滅ではなく、ウイスキー業界の潮流を象徴しています。
世界的な需要の拡大と熟成原酒の不足、企業間のブランド再編——これらは他の銘柄にも共通する課題です。
多くの蒸留所やブランドが、年数表記を外したノンエイジ製品へシフトしており、「安定供給」と「ブランド再構築」の両立を模索しています。
熟成年数付きのボトルは今後も減っていく可能性があり、「18年」という数字そのものが一層貴重になっていくでしょう。
一方で、終売によって改めて注目を集める銘柄もあります。
過去の名作が再評価され、「あの時の味をもう一度」と探すファンが増えることで、古酒市場が盛り上がるきっかけにもなっています。
カティサーク18年も、そんな“記憶の中の名作”として語り継がれる存在になるかもしれません。
カティサーク18年 終売のまとめとこれから
カティサーク18年が終売となった理由は、ブランド譲渡、原酒不足、戦略転換など複数の要因が重なった結果といえます。
その味わいは、軽やかでありながら奥行きがあり、ブレンデッドスコッチの魅力を凝縮した一本でした。
今では市場から姿を消し、希少価値が高まっていますが、そのDNAは現行ラインや他ブランドにもしっかり受け継がれています。
ウイスキーは“終売”になっても、その香りや記憶が消えることはありません。
もしこの一本に思い出があるなら、今後は代替ウイスキーや後継ボトルを探しながら、その系譜を味わっていくのも一つの楽しみ方です。
そして何より、カティサーク18年のような名ボトルが再び世に出る日を、静かに期待して待ちたいですね。

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