ウイスキー好きの間でじわじわと人気を集めていた「キャンベルタウン・ジャーニー」。いつの間にか店頭から姿を消し、「終売？」「もう買えないの？」という声がSNSや愛好家の間で広がっています。この記事では、なぜキャンベルタウンジャーニーが販売終了となったのか、その背景と今後の展開について丁寧に解説していきます。
キャンベルタウン・ジャーニーとはどんなウイスキー？
「キャンベルタウン・ジャーニー」は、スコットランドのインディペンデントボトラーであるハンター・レイン社（Hunter Laing）が手がける「ジャーニー・シリーズ（Journey Series）」の一本です。
このシリーズは、スコットランド各地のウイスキー産地を「旅するように味わう」ことをコンセプトにしており、キャンベルタウン版はその中でも特に個性的な存在でした。
キャンベルタウンという地域は、かつて30を超える蒸溜所が存在したスコッチの聖地の一つ。しかし現在稼働しているのはわずか数か所。そんな限られた原酒を使い、ブレンデッドモルトとして仕上げられたのがこのボトルです。
香りはハチミツやパイナップル、バニラ、少し潮の香り。味わいはフルーティーでミネラル感があり、爽やかな余韻が特徴です。価格帯も比較的手頃で、「キャンベルタウン入門」として愛飲されてきました。
終売の兆し：なぜ店頭から消えたのか
2024年頃から、国内外の酒販サイトで「在庫限り」「メーカー終売予定」という表示が目立ち始めました。
ハンター・レイン社の公式サイトでも「Sold Out」のまま在庫補充が行われておらず、海外ショップでも同様の状態が続いています。
一部の国内流通サイトでは「関東限定流通」や「終売予定」という記載も確認され、再入荷の見込みが立たない状況に。愛好家たちはSNSで「いつの間にか消えていた」「また復活してほしい」と惜しむ声を上げています。
この動きから考えると、キャンベルタウン・ジャーニーは実質的に「終売（または在庫限り）」の段階に入っていると言えるでしょう。
終売の背景① 原酒の確保が困難に
最も大きな要因と考えられるのが、「原酒不足」です。
キャンベルタウン地区は現在、スプリングバンク、グレンスコシア、グレンガイルなど、稼働している蒸溜所が限られています。特にスプリングバンクの人気は世界的に高く、原酒の確保が極めて難しい状況です。
キャンベルタウン・ジャーニーは「キャンベルタウンの蒸溜所の原酒を複数ブレンド」と説明されており、供給量の少なさから継続生産が困難になった可能性が高いです。
ハンター・レイン社のようなインディペンデントボトラーは、蒸溜所から樽を買い付けてボトリングするため、原酒供給が止まれば商品自体を維持できません。
終売の背景② 人気と需要の急増による在庫枯渇
もう一つの理由は、人気の高まりによる“品薄”です。
ジャーニー・シリーズは「手頃な価格で地域ごとの個性が楽しめる」と評判を呼び、特にキャンベルタウン版はSNSやレビューサイトで高評価を獲得していました。
「コスパ最強」「軽やかで飲み飽きない」「これでこの値段は奇跡」といった口コミが広まり、発売のたびに即完売する店舗も多かったようです。
メーカー側のプレスリリースでも「需要が供給を上回る状態が続いている」と記載されており、人気が想定を超えていたことが伺えます。
結果として、短期間で市場在庫が消え、次のロットを確保できず“終売”とされた可能性があります。
終売の背景③ シリーズ構成の見直しと限定版への移行
2025年には「キャンベルタウン・ジャーニー 10年」という熟成年数付きの限定ボトルが登場しました。
通常版と同じコンセプトながら、熟成を重ねたよりリッチな味わいに進化しています。
これはつまり、ハンター・レイン社がシリーズのリニューアルやブランド戦略の転換を行った可能性を示唆しています。
手頃な“通常版”を一旦終了させ、熟成年数を明確にしたプレミアム路線にシフトする流れです。近年のスコッチ業界全体でも、限定・高付加価値化の傾向が強まっており、その一環と見ることができます。
終売の背景④ 輸入コスト・為替の影響
キャンベルタウン・ジャーニーはイギリスからの輸入品であり、為替レートや物流コストの影響も無視できません。
近年のポンド高や燃料費上昇、酒税・関税の改定などにより、輸入業者にとって採算が取りづらくなったケースも多いです。
販売価格を維持したまま継続供給するのが難しくなり、「次回入荷なし」「在庫限り」という形で流通が終了したと考えられます。
特に関東限定流通という情報もあり、全国展開していなかった点を踏まえると、流通コストの影響を受けやすい商品だったと言えるでしょう。
今後の再販やリニューアルの可能性は？
「もう二度と買えないのか？」という点は、多くのファンが気になるところです。
結論から言えば、「同仕様の再販は難しいが、派生モデルの登場はあり得る」というのが現実的な見通しです。
前述のとおり、ハンター・レイン社は原酒の確保や熟成年数の異なる限定版を定期的にリリースしています。
そのため、「キャンベルタウン・ジャーニー」の名を冠した新バージョンや数量限定復刻が出る可能性は十分あります。
ただし、原酒の構成や味わいは同一ではなく、ラベルデザインや熟成年数が変わる可能性が高いため、初期版を求めるなら今ある在庫を探すほかありません。
現在の入手状況と価格の動き
終売の報が広まるにつれ、在庫を抱えるショップでは価格が上昇傾向にあります。
正規価格帯での購入は難しく、ネット通販ではプレミア価格がついていることも珍しくありません。
また、一部店舗では「お一人様1本限り」「次回入荷未定」といった販売制限が設けられています。
オークションサイトや個人取引ではさらに高値で取引されており、コレクターズアイテム化が進んでいます。
もし手に入れたい場合は、信頼できる店舗で早めに探すのが得策でしょう。
終売が示すもの：キャンベルタウンという地域の特別さ
今回の終売は残念ではありますが、同時にキャンベルタウンという地域の希少性を改めて感じさせます。
小規模で独立した蒸溜所が多いこの地域では、量よりも個性を重視する生産スタイルが根付いており、その希少さがブランド価値を高めています。
つまり、「キャンベルタウン・ジャーニー」の終売は、単なる供給停止ではなく、スコッチウイスキー全体の構造変化の一端とも言えます。
小規模生産・限定流通・高付加価値化が進む今後、こうした銘柄は増えていくでしょう。
まとめ：キャンベルタウンジャーニー終売の真相と今後の楽しみ方
キャンベルタウン・ジャーニーの終売は、
・原酒の確保難
・需要急増による在庫枯渇
・プレミアム化戦略への移行
・流通コストや為替の影響
といった複数の要因が重なった結果と考えられます。
一方で、ジャーニー・シリーズ自体はまだ継続しており、他地域版や限定熟成版など、新しい展開が続いています。
もしキャンベルタウンの個性を味わいたいなら、同シリーズの他のボトルや、グレンスコシア、スプリングバンクといった同地域のシングルモルトを試してみるのもおすすめです。
終売という言葉に少しの寂しさを覚えつつも、ウイスキーの世界は常に新しいボトルとの出会いがあります。
キャンベルタウンジャーニーが教えてくれた「旅するように味わう」楽しみ方を、次の一杯に活かしていきましょう。
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