ウイスキー好きの間で長年愛されてきた「グレンドロナック15年」。
濃厚なシェリー香と深みのある味わいでファンを魅了してきた一本ですが、「最近見かけなくなった」「終売になったらしい」という声が増えています。
この記事では、グレンドロナック15年がなぜ終売になったのか、そして再販の可能性があるのかを徹底的に掘り下げます。
グレンドロナック15年とはどんなウイスキー？
まずはこのウイスキーがどんな存在だったのかをおさらいしておきましょう。
グレンドロナック蒸溜所はスコットランドのハイランド地方、アバディーンシャー州フォーグの近郊に位置する老舗蒸溜所です。1826年創業と歴史が古く、「シェリー樽熟成の名門」として知られています。
グレンドロナック15年は、オロロソ・シェリー樽で15年以上熟成された原酒を使用。
濃厚なドライフルーツやチョコレートの香り、深みのある甘みとほのかなスパイスが特徴で、「グレンドロナック15年 リバイバル（Revival）」という名前でも親しまれていました。
ウイスキー愛好家の間では「シェリー系モルトの代表格」と呼ばれるほど人気が高かったのです。
なぜグレンドロナック15年は終売になったのか？
結論から言えば、主な理由は「原酒不足」と「蒸溜所の操業休止期間」にあります。
グレンドロナック蒸溜所は1996年から2002年まで操業を休止していた時期がありました。
この6年間は当然新しい原酒が造られていないため、その間に生じた“熟成年数の空白”が後のボトリングに影響を及ぼしました。
15年熟成というのは、最低でも15年以上の原酒を使う必要があります。
つまり、2002年に操業を再開しても、15年後の2017年までは「15年物」を造ることができないということになります。
結果として、蒸溜所のストックが枯渇し、2015年頃にグレンドロナック15年は一度終売となりました。
また、原酒の安定供給が難しくなっただけでなく、シェリー樽自体の入手も年々困難になっています。
高品質なシェリー樽はスペインでも需要が高まり、世界的に品薄状態が続いており、グレンドロナックのように「オロロソ樽熟成」にこだわる蒸溜所には大きな負担となりました。
こうした複合的な事情が重なり、終売という判断に至ったと考えられます。
終売後、再販（復活）はあったのか？
ここがファンにとって朗報です。
グレンドロナック15年は、実は完全に消滅したわけではありません。
2018年、「グレンドロナック15年 リバイバル」として再販されました。
ただし、旧版とは中身が少し異なります。
旧15年はオロロソ・シェリー樽のみで熟成されていましたが、再販版ではオロロソとPX（ペドロ・ヒメネス）シェリー樽の両方を使用。
PXシェリー由来のより濃厚な甘みと、オロロソ由来の深いコクが調和した仕上がりになっています。
つまり、「終売」ではなく「一時的な休止とリニューアル」だったというわけです。
再登場したリバイバル版は、以前よりもリッチで芳醇な味わいを楽しめると高評価を得ています。
それでも「再び終売」と言われる理由
では、なぜ今になって「グレンドロナック15年がまた終売になった」という噂が広まっているのでしょうか。
その背景には、次のような事情があります。
- 世界的な原酒需要の高まり
スコッチウイスキー全体の人気が世界的に高まっており、長期熟成モルトの在庫が慢性的に不足しています。
グレンドロナックも例外ではなく、15年や18年といった中長期熟成原酒の確保が難しくなっています。 - 流通量の制限と価格上昇
蒸溜所側はブランド価値を維持するため、特定の市場への出荷量を調整していると見られます。
日本市場でも正規輸入品の入荷が限られ、在庫が少なくなることで「終売では？」という誤解を招いています。
実際、再販後の希望小売価格は上昇傾向にあり、2010年代半ばの1万円前後から現在では1万5,000円を超えるケースもあります。 - 再販版と旧版の混在
ラベルや仕様の違いから、旧ボトルと現行ボトルを混同する人も少なくありません。
「旧ボトルが終売＝グレンドロナック15年が終売」と誤認されているケースもあります。
現在の販売状況と入手難易度
2025年現在、グレンドロナック15年 リバイバルは限定的ながらも生産が続いており、国内外の一部販売店で入手可能です。
ただし、入荷量は以前よりも少なく、通販サイトではすぐに在庫切れになることが多いです。
正規品が入手しづらくなっており、並行輸入品や旧ボトルがプレミア価格で取引されるケースも増えています。
このため、「終売＝完全に買えない」というわけではないものの、「探すのが難しい」「価格が高騰している」というのが実情です。
特にオロロソ単一熟成の旧版を求める場合、オークションやヴィンテージ専門店での購入が中心になるでしょう。
グレンドロナック15年の代わりに選ばれている銘柄
もしグレンドロナック15年が手に入らない場合、代替候補として次のようなシェリー系モルトが挙げられます。
- グレンドロナック18年 アラダイス
さらに長熟で、オロロソシェリー樽由来の重厚な甘みが特徴。15年よりも奥行きのある味わいです。 - グレンドロナック12年 オリジナル
若い原酒ながら、ドロナックらしいシェリー香をしっかり楽しめる一本。価格も比較的手頃です。 - グレンファークラス15年／グレンファークラス18年
同じくシェリー樽熟成の代表的蒸溜所。よりドライな仕上がりで、グレンドロナックと飲み比べると面白いです。 - アベラワー アブーナ
カスクストレングスで力強いシェリー香を持つ人気シリーズ。
グレンドロナックの「甘み重視」とはまた違った骨太さが楽しめます。
今後の再販やリニューアルの可能性
グレンドロナック蒸溜所は、過去にも終売と復活を繰り返してきました。
15年に限らず、18年や21年など上位モデルも一時的に流通が止まった後、再リリースされた例があります。
そのため、「再び終売」という言葉が出ても、完全に消滅する可能性は低いと見てよいでしょう。
むしろ、原酒の成熟状況や市場動向を見ながら、今後も「新ロット」「リニューアル版」として再登場する可能性が高いです。
ただし、旧版の味わいをそのまま再現することは難しいため、「あの味がもう飲めない」という意味では“実質的な終売”と言えるのかもしれません。
グレンドロナック15年 終売まとめ
グレンドロナック15年が終売となった背景には、蒸溜所の操業休止による原酒不足、シェリー樽の調達難、そしてブランド戦略の変更がありました。
しかし2018年に「グレンドロナック15年 リバイバル」として再販され、現在も限定的ながら流通しています。
旧版を超える芳醇な味わいを評価する声も多く、人気は衰えていません。
とはいえ、再び供給が不安定になる可能性もあり、見かけたら早めに確保しておくのが賢明です。
また、18年や21年といった上位モデル、あるいは他のシェリー系モルトを試してみるのも良い選択です。
終売という言葉に惑わされず、ウイスキーの“熟成の流れ”そのものを楽しむことが、真の愛好家のスタイルと言えるでしょう。
グレンドロナック15年 終売という話題は、ウイスキーが「時間と共に変化し続ける生き物」であることを思い出させてくれます。
今後も復活や新ボトルに期待しつつ、グレンドロナックというブランドの歩みを見守っていきましょう。
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