「最近、サントリーのブランデーサントリーVSOPフロスティを見かけなくなった…」そう感じた方、多いのではないでしょうか。かつてバーや家庭の棚を彩っていたフロスティボトル。その洗練されたデザインとまろやかな味わいで愛されてきた一本ですが、どうやら“終売”の波が静かに訪れたようです。
ここでは、サントリーVSOPフロスティがなぜ市場から姿を消したのか、今でも手に入るのか、そして代わりに楽しめるブランデーはあるのか――徹底的に掘り下げます。
サントリーVSOPフロスティとは?その魅力と歴史
まず、このボトルを知らない方のために簡単におさらいしましょう。
「サントリーVSOPフロスティ」は、国産ブランデーの代表格として長く親しまれてきたシリーズ。
“VSOP”とは「Very Superior Old Pale」の略で、熟成期間の長い上級ブランデーに使われる格付けです。サントリーVSOPが誇るこのラインは、フルーティで華やかな香りと、なめらかで奥行きのある味わいが特長でした。
特に人気だったのが“フロスティボトル”仕様。
すりガラスのような質感で、手にしたときのひんやりとした感触が印象的でした。見た目の美しさと上品さも相まって、贈り物として選ばれることも多かったのです。
発売当初は「660ml」で約2,400円(税別)という手頃な価格設定。
手に取りやすく、それでいて高級感がある――そんな絶妙な立ち位置が、愛飲者の心をつかみました。
サントリーVSOPフロスティが終売になった理由
では、なぜそんな人気商品が終売してしまったのでしょうか。
実は、サントリー公式の「製造終了商品一覧」にも、サントリーVSOPフロスティが掲載されています。明確な終了時期は明らかにされていませんが、流通現場では「メーカー終売」「在庫限り」として扱われており、すでに製造が終了していることは確かです。
背景を探ると、いくつかの要因が見えてきます。
- ブランデー市場の縮小
ウイスキーやジン、リキュールなどの人気が高まる中、ブランデー全体の需要が減少。国内市場では、サントリーを含む大手メーカーがラインナップを見直す傾向にあります。 - ボトル仕様の統合・コスト見直し
“フロスティボトル”は特殊な加工が施されており、一般的なスリムボトルやデキャンタタイプに比べてコストが高いといわれています。製造・流通の合理化の流れの中で、ライン統合の一環として姿を消した可能性があります。 - 新しいボトルデザインへの移行
同シリーズには「スリムボトル」や「デキャンタ」タイプも存在し、そちらが現行ラインとして継続中。つまり、フロスティは“形を変えて”残っているともいえます。
つまり、「フロスティ」という仕様はなくなったものの、サントリーVSOP自体の伝統や味わいは、別の形で受け継がれているのです。
まだ買える?在庫・流通の現状
「もう手に入らないの?」――そんな声が多く聞かれますが、結論から言えばまだ入手できる可能性はあります。
通販サイトや酒販店を調べると、「終売品」「在庫限り」「古酒」といった表記でサントリーVSOPフロスティが販売されています。
ただし、これらはあくまで流通在庫。メーカーからの供給は止まっており、在庫がなくなればそれで終了です。
価格にも変動があります。
定価2,400円ほどだったものが、現在ではプレミアム価格として4,000〜7,000円で取引されているケースも。
さらに、メルカリやヤフオクなどでは未開封の古酒ボトルとして出品され、コレクター需要が高まっています。
購入を検討する際は、次の点に注意しましょう。
- 状態の確認:古酒の場合、液面低下やコルクの劣化があることも。写真や説明文をよく確認。
- 信頼できる販売元:評価の高い専門店や公式取扱店を優先。
- 価格の妥当性:過度に高額なプレミア価格には注意。
「今のうちにもう一度飲みたい」「記念に保管しておきたい」という方は、早めにチェックするのがおすすめです。
サントリーVSOPフロスティの味わいを振り返る
終売の話を聞くと、どうしても“もう一度飲みたい”という気持ちが湧いてきます。
このブランデーの最大の魅力は、華やかでフルーティな香りと、まろやかで角のない味わい。
果実感のある香りが立ち上がり、余韻にほんのり甘さが残る上品な仕上がりでした。
飲み方のおすすめは、やはりロック。氷が溶けるにつれ、香りがゆっくりと開き、口当たりがより柔らかくなります。
また、ソーダ割りにしても爽やかに楽しめ、ストレートで味の深みをじっくり堪能するのも通好みです。
「フロスティボトル」という見た目の美しさも、この味わい体験を特別なものにしていました。
光を受けて淡く輝くすりガラスの質感は、今思えばサントリーらしい繊細なデザイン哲学の象徴だったのかもしれません。
終売後の代替品・おすすめブランデー
フロスティが終売になった今、同じように楽しめるブランデーを探す方も多いでしょう。
ここでは、代替候補としておすすめできるものを紹介します。
サントリーVSOP(スリムボトル・デキャンタ)
フロスティの兄弟的存在。現在も公式サイトで紹介されている現行モデルです。
味わいの方向性はフロスティとほぼ共通で、華やかでバランスの取れた香味。
違いはボトルデザインと質感だけといってもいいでしょう。
価格も手頃で、フロスティの代わりに日常的に楽しむには最適です。
サントリーナポレオン
より深みのある味わいを求めるなら、同サントリーの「ナポレオン」シリーズも選択肢。
まろやかさの中にコクがあり、食後酒としても楽しめます。
海外VSOP(コニャック系)
もし“同格の格付け”で比べたいなら、ヘネシーVSOP、カミュVSOP、マーテルVSOPなどのVSOPクラスも候補に。
ただし価格帯が上がるため、気軽さを求めるならやや贅沢です。
それぞれ個性は異なりますが、フロスティの“華やかで親しみやすい味わい”を求めるなら、やはり同社の現行サントリーVSOPが最も近いでしょう。
終売は残念…でもその魅力は今も生きている
サントリーVSOPフロスティの終売は、多くのファンにとって寂しいニュースです。
しかし、これは“消えてしまった”というより、“形を変えて受け継がれた”と捉えるのが正しいかもしれません。
サントリーは、時代や嗜好の変化に合わせてブランドを進化させてきました。
フロスティもその過程のひとつ。今でもスリムボトルやデキャンタで、その味わいを楽しむことができます。
そして、もし運良くサントリーVSOPフロスティボトルを見つけたなら、それはまさに“時を封じた一本”。
特別な日に開けて、あの優雅な香りをもう一度感じてみるのもいいかもしれません。
サントリーVSOPフロスティ終売のまとめ
・サントリーVSOPフロスティは公式に製造終了済み。
・現在は在庫限りで、流通在庫や古酒として入手可能。
・終売の背景には市場縮小やボトル仕様統合の影響がある。
・味わいの継承モデルとして、スリムボトル/デキャンタ版が現行販売中。
・終売品は希少価値が高く、購入時は保存状態や価格に注意。
長年愛されてきた国産ブランデーの名品、サントリーVSOPフロスティ。
確かに終売となりましたが、その香りと余韻は、今もなお多くの人の記憶に残っています。
もし今、店頭やネットで見かけたら――それはもう、最後の出会いかもしれません。
あなたもぜひ、その一本を手に取ってみてください。

コメント