「サントリー VSOP」が店頭から姿を消した――そんな声がここ数年で増えました。ブランデー好きの人なら一度は聞いたことがある定番ボトル。なぜ、長く愛されてきたこの国産ブランデーが「終売」となってしまったのでしょうか。今回はその背景と、現在でも入手する方法、そして代わりとなる選択肢までを徹底的に掘り下げます。
サントリー VSOPとは？日本を代表する国産ブランデーの定番
まずは「サントリー VSOP」とはどんなお酒だったのかを振り返っておきましょう。
“VSOP”とは「Very Superior Old Pale」の略で、一定以上の熟成年数を重ねた上質なブランデーを意味します。サントリーブランデー VSOPは、手ごろな価格ながら本格的な香りと味わいを楽しめる国産ブランデーとして人気を博していました。
華やかでありながらも穏やかな甘み、まろやかな口当たり。ウイスキー人気の陰に隠れがちなブランデー市場において、「家飲みで少し贅沢したい」と思う人たちの定番ボトルだったのです。
ボトルデザインも印象的で、特に「VSOP フロスティ」は半透明のガラスボトルが美しく、ギフトやコレクションとしても評価されていました。
サントリー VSOPが「終売」となった理由を探る
では、なぜサントリー VSOPは終売となってしまったのか。公式な発表はありませんが、複数の要因が重なったと考えられます。
1. ブランデー市場の縮小と需要変化
国内では近年、ウイスキーやクラフトジンなどの人気が高まり、ブランデーの消費量は減少傾向にあります。特に若年層を中心に、手軽な缶チューハイやハイボールへ嗜好が移っており、ブランデーは“重厚なお酒”という印象から敬遠されがちになりました。
こうした市場環境の中で、サントリーがブランドラインを整理した可能性は高いでしょう。
2. 原酒確保とコストの問題
ブランデーはぶどう原料の蒸留酒であり、熟成に長い時間とコストがかかります。特にサントリーのように国内で製造・熟成を行う場合、原酒在庫や熟成庫の維持コストは軽視できません。ウイスキー事業の好調によって原酒貯蔵スペースや人員がそちらに集中した結果、ブランデー生産が縮小されたと考えられます。
3. ブランド戦略の再構築
サントリーはここ数年、「山崎」「白州」「響」などウイスキー事業を中心にグローバル戦略を進めています。ブランデー分野は海外ブランド（コニャックなど）との競合が強く、国内市場限定のブランドを維持する優先度が下がったとみられます。
その結果、サントリー VSOPは「在庫がなくなり次第終売」という形で静かにラインナップから姿を消したようです。
現在の入手方法：終売でもまだ手に入る？
「もう買えないの？」と思うかもしれませんが、実はまだいくつかの方法で入手できます。
1. 酒販店・ネットショップの在庫を探す
一部の通販サイトや業務用酒販店では、倉庫在庫や旧流通品としてサントリー VSOPを扱っている場合があります。「在庫限り」「メーカー終売」と記載されている商品をチェックしてみましょう。
ただし、流通量は極めて少なく、タイミングによってはすぐ売り切れることも。定期的に検索するのがおすすめです。
2. オークション・フリマサイト
メルカリやヤフオクなどの中古市場では、「終売品」「古酒」としてサントリー VSOPが出品されています。中には「花の万博 ’90」など、限定ラベルのレアボトルも。
購入時は、液面低下やコルクの劣化、ラベルの汚れなど保存状態を必ず確認しましょう。特に古酒は味や香りの変化が大きいため、飲用目的かコレクション目的かを明確にしておくと安心です。
3. 買取専門店や古酒店をチェック
酒類専門のリユースショップでは、サントリー VSOPを“希少な国産ブランデー”として扱っています。こうした店舗では保管環境が管理されているため、状態の良いボトルに出会える可能性があります。
ただし、終売品ゆえにプレミア価格がつくことも。数千円から1万円前後と価格帯は幅があります。
終売品を購入する際の注意点
サントリー VSOPはすでにメーカー出荷が終了しており、すべて流通在庫または中古品です。購入の際は次の点に注意しましょう。
- 品質の確認：ボトルの液面が下がっていないか、澱や濁りがないかをチェック。
- 保管状態：直射日光・高温多湿を避けて保管されたものを選ぶ。
- 販売元の信頼性：中古サイトよりも専門酒販店やリユース業者の方が安全性が高い。
- 価格の相場感：終売品だからといって極端に高額な場合は要注意。希少性と状態を見て判断する。
終売ボトルを探すときは、“安く買う”よりも“良い状態で手に入れる”ことを優先するのがポイントです。
サントリー VSOPの代わりに楽しめるおすすめブランデー
終売後も「似た味わいを楽しみたい」という人に向けて、いくつかの選択肢があります。
- サントリー ブランデー XO デラックス
VSOPの上位モデルで、より深い熟成香と厚みのある味わい。今も入手可能な定番品です。 - ニッカ ブランデー XO デラックス
国内メーカーの中ではニッカもブランデーづくりに定評があります。軽やかでフルーティーなタイプ。 - ヘネシー
本場フランス産コニャックの代表格。世界中で愛される定番ブランドです。 - カミュ
本場のブランデーに挑戦したいなら、VSOPクラスのコニャックを選ぶのも良いでしょう。価格はやや高めですが、品質は安定しています。
ブランデーは熟成による香りの変化が魅力。メーカーや産地が違っても、ゆっくり時間をかけて味わう楽しみ方は共通しています。
終売品の今後と再販の可能性
現時点で、サントリーから「VSOP」の再販予定は発表されていません。公式サイトの「製造終了商品一覧」に掲載されていることから、少なくとも定常品としての復活は難しいと考えられます。
ただし、酒類業界では周年記念や限定企画として往年のブランドが復刻されるケースもあります。もし今後「復刻版」や「リミテッドエディション」として登場することがあれば、再び注目を集める可能性は十分あります。
ブランデー市場が再び盛り上がる兆しが見えれば、そのきっかけになるかもしれません。
まとめ：サントリー VSOP 終売の背景と、今できる選択肢
「サントリー VSOP 終売」というニュースは、多くのブランデーファンにとって残念なものでした。
しかしその背景には、時代の流れと市場構造の変化、そして企業のブランド戦略があります。
・ブランデー市場の縮小
・原酒・コストの問題
・ウイスキーへの注力
こうした要因が重なり、長年愛されてきたボトルが静かに幕を下ろしたのです。
それでも、終売品は完全に消えたわけではありません。中古市場や酒販店を探せば、まだ出会える可能性があります。手に入れる際は保存状態を確認し、大切に楽しむことをおすすめします。
もし入手が難しい場合は、代替となるブランデーやコニャックを試してみましょう。ブランデーの世界は奥が深く、一つの終売が新しい出会いにつながることもあります。
時代を超えて愛された「サントリー VSOP」。その味わいを知る人も、まだ知らない人も、この機会にブランデーの魅力を改めて感じてみてはいかがでしょうか。
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