バーボン好きなら一度は耳にしたことがある「ファイティングコック」。その名の通り“闘鶏”を意味し、力強い味わいとパンチのあるアルコール感で知られた一本です。そんなファイティングコックが「終売したらしい」との噂が広がっています。果たしてそれは本当なのでしょうか? この記事では、実際の流通状況や入手方法、さらには代わりに楽しめるバーボンまでをまとめて紹介します。
ファイティングコックとは?力強い103プルーフの“闘うバーボン”
ファイティングコックは、アメリカ・ケンタッキー州の老舗「ヘブンヒル蒸留所(Heaven Hill Distilleries)」が生産するストレート・バーボンです。アルコール度数は51.5%(103プルーフ)と高く、名前の通り“キックのある”味わいで人気を集めました。
一時期は「6年熟成」の表記があり、同価格帯では珍しい長熟仕様としてコスパ抜群の一本とされていました。味の特徴は、バニラやキャラメル、オークの香りに加え、ライ麦由来のスパイスやほのかなミント感。濃厚でありながらキレのある後味が、多くのファンを惹きつけてきた理由です。
「Kickin’ Chicken(蹴る鶏)」というキャッチコピーで親しまれ、アメリカ南部では“男のバーボン”の象徴として根強い人気を誇っていました。
終売の噂は本当?6年熟成版は消えたがブランドは健在
ネット上では「ファイティングコックが終売した」「もう買えない」という声が多数あります。確かに、かつて存在した“6年熟成表記のボトル”は2015年ごろに生産が終了したとされており、その後は「年数表記なし(NAS)」の仕様に切り替わりました。
つまり、ブランド自体が完全に消滅したわけではなく、“6年表記バージョン”が終売したというのが正確な状況です。
実際、ヘブンヒル蒸留所の公式サイトでは現在もファイティングコックのページが存在し、販売継続が確認できます。ただし、旧仕様と比べて味わいの傾向がやや変化しており、ファンの中には「以前のパンチがなくなった」と感じる人も少なくありません。
日本での入手はほぼ困難?在庫限りの希少ボトルに
日本国内では、すでに一般の酒店やスーパーではほとんど見かけなくなりました。輸入代理店による正規流通は終了しているため、現在は並行輸入品か、古酒・コレクター品として出回っているのみです。
通販サイトでは「在庫限り」「販売終了」「終売」といった表記が目立ち、価格も年々上昇。6年表記の旧ボトルに至っては、オークションやフリマで数万円以上のプレミア価格がつくこともあります。
「昔よく飲んでいたからもう一度味わいたい」という人にとっては、まさに“幻のバーボン”になりつつある存在です。
なぜファイティングコックは終売扱いになったのか?
終売の背景について、メーカーから公式な説明はありません。ただし、いくつかの要因が重なったと考えられます。
- 熟成年数の維持が難しくなった
原酒需要の高まりや生産量の制約により、6年熟成を維持するのがコスト的に難しくなった可能性があります。 - バーボン人気の世界的高騰
2010年代以降、世界的にバーボンブームが再燃。ヘブンヒル蒸留所社の人気ブランド(エヴァン・ウィリアムスやヘンリーマッケンナなど)に生産リソースが集中したとも考えられます。 - ブランド戦略の見直し
ファイティングコックはかつて“荒々しい個性派”として売られていましたが、現代ではより洗練された味わいが主流に。そのため、旧仕様は方向転換の中でフェードアウトしたと見る向きもあります。
いずれにせよ、「6年表記の旧ボトルが市場から消えた」という事実は間違いありません。
現行版ファイティングコックの味はどう変わった?
現在手に入るファイティングコック(NAS版)は、以前の6年熟成ボトルと比べると、全体的にマイルドで飲みやすい仕上がりになっています。
スパイス感やオークの深みがやや控えめになり、代わりにキャラメルやトーストした穀物の香ばしさが際立つ印象。アルコール度数は相変わらず51.5%と高めなので、パンチは健在です。
「以前より落ち着いた味になった」「昔のような個性が少し薄れた」と感じる人もいますが、価格を考えれば依然として高コスパなバーボンであることは確かです。
ファイティングコックを探すなら?入手方法まとめ
今の日本でファイティングコックを手に入れる方法は、ほぼ以下の3つに絞られます。
- Amazon・楽天など通販サイトで探す
並行輸入品や在庫限りの商品が時折出品されています。価格や出品者の信頼性を必ず確認しましょう。 - フリマ・オークションをチェック
メルカリやヤフオクでは、未開封の旧ボトルが出品されることがあります。希少品につき価格は上昇傾向です。 - バーでの取り扱いを探す
古いバーボンをストックしているバーなら、グラスで楽しめる可能性があります。バーテンダーに尋ねてみると良いでしょう。
ただし、オークションや個人取引では保存状態や真贋に注意が必要です。特に古酒は保管環境によって味が劣化している場合もあるため、信頼できる出品者から購入することが大切です。
ファイティングコックに近い代替バーボンは?
もし現行版が見つからない、あるいは旧仕様の味わいを求めるなら、以下の銘柄が代替候補としておすすめです。
- ワイルドターキー101
同じく103プルーフ級の力強いバーボン。スパイシーさと深みのある甘さがファイティングコックを思わせます。 - エヴァン・ウィリアムス 1783
ヘブンヒル蒸留所の兄弟ブランド。よりまろやかで香ばしい味わいが特徴です。 - J.W.ダント
比較的安価ながら本格的なバーボン感を楽しめ、通好みの一本。マッシュビルが近いと言われています。 - ヘンリーマッケンナ10年
同じヘブンヒル蒸留所社製で、熟成感をしっかり味わえる上位モデル。ファイティングコックの“6年”が好きだった人には特におすすめです。
これらの銘柄はいずれも日本国内で比較的入手しやすく、ファイティングコックの“熱い個性”を感じさせてくれます。
プレミア化が進む旧ボトル、今後の再販はある?
ファイティングコック6年の再販を期待する声もありますが、現時点でヘブンヒル蒸留所社から復刻の公式発表はありません。
ただし、近年はクラシックバーボンの人気が高まっており、他ブランドでも“旧ラベル再現”や“限定復刻”の動きが見られます。ファイティングコックも、ファンの声が高まれば再登場する可能性はゼロではありません。
一方で、古酒市場では今後さらに希少価値が上がると予想されます。もし未開封ボトルを持っているなら、大切に保管しておくのも一つの選択肢です。
ファイティングコック終売は本当?まとめと今後の楽しみ方
ファイティングコックは「6年熟成版」が実質的に終売しているものの、ブランド自体は現在も存続しています。
しかし旧仕様はすでに市場からほぼ姿を消し、国内では入手が難しいのが現状です。手に入れるには通販やオークションを活用するしかありません。
もし見つけたら、それは幸運。力強くも滑らかな“闘うバーボン”をもう一度味わえる貴重な機会です。
そして、今後は代替銘柄を試しながら、自分なりの「パンチ系バーボン」を探していくのも楽しいはずです。
ファイティングコック終売の噂をきっかけに、改めてバーボンの奥深さを感じてみてはいかがでしょうか。

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