カクテル好きの方なら一度は見たことがあるであろう、美しい青色のリキュール「ヘルメス ブルー キュラソー」。
しかし最近、このおなじみのボトルを酒販店で見かけなくなったと感じていませんか?
実はこの「ヘルメス ブルー キュラソー」、現在では“終売”扱いとなり、正規ルートでの入手がほぼ不可能になっています。
この記事では、その終売の背景や理由をわかりやすく解説し、カクテルファンのために代替品の候補も紹介していきます。
ヘルメス ブルー キュラソーとはどんなリキュールだったのか
「ヘルメス ブルー キュラソー」は、サントリーが展開していたリキュールシリーズの一つ。
1950年代に誕生し、長年にわたってバーや家庭で愛用されてきました。
ベースはオレンジピールを使ったヘルメス ホワイト キュラソー。
そこに青色の着色を施したのが“ブルー キュラソー”で、まさにカクテル界の「青の象徴」と言える存在でした。
アルコール度数は40度と高め。トロピカルカクテルの“青い海の色”を演出するために欠かせない一本として、多くのバーテンダーに親しまれてきた歴史があります。
たとえば有名なカクテル「ブルーハワイ」「ブルーラグーン」「マリブブルー」などでは、ほぼ必ずブルーキュラソーが使われます。
特にヘルメスブランドは発色の良さと香りのバランスの良さから、業務用としても高い評価を受けていました。
なぜヘルメス ブルー キュラソーは終売になったのか
終売の理由について、サントリーから公式な発表はありません。
しかし流通情報や関連商品の販売状況から、いくつかの背景が推測できます。
1. シリーズ全体の整理
ヘルメスシリーズは、ブルーだけでなくホワイト、ヘルメス バナナ、ヘルメス グリーンティーなど、多彩なリキュールを展開していました。
しかしここ数年で多くの製品が「終売」や「在庫限り」となっており、ブランド全体として整理が進められた形跡があります。
採算や需要を見直した結果、販売量の少ないリキュールが優先的にラインから外された可能性が高いです。
2. カクテル需要の変化
かつてはバー文化が盛んで、カクテルに使うリキュールのバリエーションが豊富に求められていました。
しかし現在は、クラフトジンやウイスキーなど“素材重視”のトレンドが強まり、着色リキュールの需要は減少傾向。
家庭でカクテルを楽しむ層も増えたものの、ブルーキュラソーのような“見た目重視のリキュール”は必ずしも常備される存在ではなくなってきました。
3. 原材料・コストの問題
オレンジピールを使ったリキュールは、原材料の価格変動や輸入コストの影響を受けやすいカテゴリーです。
さらに、青色リキュールの着色料管理や製造ライン維持にもコストがかかります。
採算が取りづらくなった結果、継続生産を見送ったと考えるのが自然でしょう。
4. 酒税法・表示ルールへの対応
リキュール類は、酒税法や食品表示法の改定によってラベル表記の見直しを迫られることがあります。
ブランド刷新や規格変更を機に、古い製品を整理するケースも多く、ヘルメスシリーズ全体の再編成の流れの中でヘルメス ブルー キュラソーも終売となったと見られます。
終売後の現状:市場ではすでに希少品に
現在、「ヘルメス ブルー キュラソー」は一般流通から姿を消しており、酒販店の多くで「売り切れ」「終売」と表示されています。
中古市場やオークションサイトでは“終売品”として出品されており、コレクターズボトル化の兆しも。
かつては1,000円台で買えたボトルが、今ではプレミア価格で取引されることもあります。
ただし、古酒扱いになるため保管状態によっては品質が劣化している可能性もあり、飲用目的での購入は注意が必要です。
未開封でも液色変化や風味の劣化が起こりやすいので、実際にカクテル用途で使いたい方は代替品を選ぶのが現実的です。
ヘルメス ブルー キュラソーの代替品を探す
ここからは、「青いカクテルを作りたいけど、ヘルメスがない」という方のために、代替品の考え方を紹介します。
色と香りを重視するなら
ブルーキュラソーの本質は、オレンジリキュールを青く着色したもの。
したがって、代替には「ブルー キュラソー」表記のある他ブランド製品を選ぶのが基本です。
代表的な選択肢としては:
- ボルス ブルーキュラソー(オランダ)
発色が非常に鮮やかで、世界中のバーで定番。カクテルの色味を美しく仕上げたいなら最有力候補です。 - マリーブリザール ブルーキュラソー(フランス)
香りが上品で、甘さも控えめ。フルーティーなカクテルに合います。 - デカイパー ブルーキュラソー(オランダ)
価格も手頃で、量販店でも入手しやすい万能タイプ。家庭での使用にも最適です。
これらはいずれも発色が良く、味わいも安定しており、ヘルメスに近い感覚で扱えます。
風味・汎用性を優先するなら
もし“青さ”よりもオレンジの風味を大切にしたいなら、ホワイトキュラソーやトリプルセックも選択肢です。
- コアントロー:香りがクリアで上品。透明のためブルーの見た目は再現できませんが、味わいはより洗練されています。
- グランマルニエ:ブランデーベースでリッチな風味。色味は琥珀色ですが、カクテルの深みに大きく貢献します。
用途によっては、「色で魅せる」か「味で楽しむ」かを決めてから選ぶと失敗しません。
カクテル愛好家にとってのヘルメス ブルー キュラソーの存在
ヘルメスシリーズのリキュールは、昭和から平成にかけて日本のバー文化を支えた存在でした。
特にブルーキュラソーは、“青いカクテル”の象徴として多くのバーテンダーの手に渡りました。
その鮮やかな青は、グラスの中で南国の海を思わせ、見た瞬間に気分を上げてくれる存在でした。
終売という形で歴史に幕を下ろしたものの、日本のカクテル文化に残した影響は小さくありません。
今後、サントリーが「ヘルメス」ブランドを復刻する可能性は低いと見られますが、代替ブランドを通してその“青の遺伝子”は確かに受け継がれています。
現代のバーテンダーやカクテルファンにとっては、かつての名品を思い出しながら、新しいブルーキュラソーで表現を磨く時期なのかもしれません。
ヘルメス ブルー キュラソー終売から学ぶこと
この終売は、単なる“商品の消失”ではなく、時代とともに変化する嗜好や文化の象徴でもあります。
カクテル文化は常に進化しています。流行や生活スタイルの変化で、求められる味やビジュアルも変わっていく。
ヘルメス ブルー キュラソーは、その移り変わりを静かに物語る存在です。
そして、終売という出来事は「今あるお気に入りを大切にする」きっかけにもなります。
お気に入りのボトルがいつまでも当たり前に手に入るとは限りません。
時には、その一杯をゆっくり味わいながら、時代とともに変わるお酒の文化を感じるのも楽しいものです。
まとめ:ヘルメス ブルー キュラソー終売の背景とこれから
「ヘルメス ブルー キュラソー 終売」は、時代の変化を象徴する出来事でした。
需要の変化、コストや製造体制の問題、ブランド整理――それらが重なって静かに姿を消した名リキュール。
しかし、代わりに多彩なブルーキュラソーが登場し、カクテルの世界は今も進化を続けています。
これからも、グラスの中の青を見つめながら、自分だけの一杯を楽しんでみてください。
それが、ヘルメス ブルー キュラソーが残してくれた一番のメッセージなのかもしれません。

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