ウイスキー好きの間でじわじわと人気を集めていた「十年明7年（じゅうねんみょうセブン）」が、ついに終売となりました。北陸・富山の三郎丸蒸留所が手がけるクラフトウイスキーの中でも、個性ある一本として知られていただけに、「なぜ終売に？」「もう手に入らないの？」と気になる方も多いはずです。
この記事では、終売の背景からリニューアルの経緯、そして今からでも手に入れる方法や代替銘柄まで、わかりやすくまとめて紹介します。
十年明7年とは？富山生まれのスモーキーウイスキー
まずは「十年明7年」がどんなウイスキーだったのかを簡単におさらいしましょう。
「十年明（じゅうねんみょう）」は、富山県砺波市にある若鶴酒造の三郎丸蒸留所が手がけるブレンデッドウイスキーシリーズです。その中でも「十年明7年」は、同蒸留所のモルト原酒をキーモルトとして使用した一本で、アルコール度数は46％。7年以上熟成されたモルト原酒のコクと香りが特徴です。
「十年明」という名前は、蒸留所近くの地名に由来します。かつて菜の花油で灯をともした「十年明」という地は、“明かりのように人々の心を照らしたい”という願いから名付けられたといわれています。そんなストーリー性も、このウイスキーの魅力のひとつでした。
味わいはスモーキーでピートの香りが強く、モルトの甘みと塩気が調和した個性派。アイラモルトを思わせる深みがありつつ、国産らしい繊細なバランス感も感じられる一本として、多くのウイスキー愛好家に愛されてきました。
十年明7年が終売に至った理由
「なぜ十年明7年が終売になったのか？」
その答えは、製造元である若鶴酒造の公式発表にあります。
シリーズ全体のリニューアル
若鶴酒造は2022年7月、「十年明7年」の終売を公式に発表しました。そして同時に、新しいブレンドコンセプトによる後継商品「十年明Noir（ノワール）」の登場を告知しています。
つまり、「廃止」ではなく「刷新」。ブランドを新たな方向に再構築するためのステップだったわけです。
公式サイトでは、「多様な原酒をブレンドし、より味わいの幅を広げた新しいウイスキーを目指す」と明記されており、十年明シリーズ全体がリニューアルされる流れが示されています。
熟成原酒の切り替えと製造体制の変化
終売理由の裏側には、原酒の在庫や熟成ストックの問題も関係しています。
三郎丸蒸留所は、クラフト規模ながらも近年急速に注目を集めており、原酒需要が急増。7年以上熟成の原酒を使用する「十年明7年」は、供給バランスの面で難しくなっていたと見られます。
さらに、2024年11月末で製造を終了、2025年1月末には出荷を終了することも公表されています。こうしたタイムラインからも、ストック切り替えとブランド再構築の両立を狙った判断だったことがわかります。
終売後に登場した「十年明ノワール」との違い
終売発表と同時に登場した後継銘柄「十年明ノワール（Noir）」は、Sevenとはブレンド方針が異なります。
Sevenは「7年以上熟成原酒」にこだわり、キーモルトを中心に構成していました。一方のノワールは、熟成年数に縛られず、幅広い原酒を組み合わせて香りとコクの調和を重視。結果として、より滑らかで飲みやすく、香りに奥行きをもたせたスタイルへと進化しています。
ウイスキー愛好家の間では「Sevenの方がピート感が強く、アイラ系が好きな人にはSevenが好み」「ノワールは全体的にまろやかで飲みやすい」と評価が分かれる傾向があります。
いずれにしても、シリーズとしての方向性が変化したことは確かです。
十年明7年の魅力を改めて振り返る
終売となった今だからこそ、十年明7年の魅力をもう一度整理してみましょう。
- しっかりとした熟成感：7年以上のモルト原酒による厚みと余韻。
- スモーキーで個性的な香り：ピート香が際立ち、飲み応えのある味わい。
- 手に取りやすい価格帯：発売当初は4,000円台と、コスパの良さも人気の理由。
- 地域性とストーリー性：富山という地域の文化と歴史を背負ったネーミング。
- 冷却濾過・着色なしの製法：自然な風味を大切にした造り手のこだわり。
クラフトウイスキーが注目され始めた時期に登場した一本として、国産ウイスキーの多様化を象徴する存在でもありました。
まだ手に入る？十年明7年の再入手方法
「もう買えないの？」という声が多い中、実は今でもまだ入手のチャンスはあります。
店頭在庫・酒販店を探す
公式サイトでも「店頭在庫限り」と案内されている通り、販売終了後も一部の酒販店では在庫が残っている場合があります。特に、地方の専門店や三郎丸蒸留所を扱うショップでは、在庫が眠っているケースも。
オンラインショップ・フリマサイト
Amazonや楽天などの大手通販サイトのほか、メルカリやヤフオクなどの二次流通でも「終売品」「希少」として出品されています。
ただし価格はすでに上昇傾向で、定価の2倍以上で取引されることもあります。購入の際は、未開封・箱付き・保存状態をしっかり確認しましょう。
蒸留所やイベントでの限定販売
三郎丸蒸留所は、時折限定ボトルや旧シリーズの再販イベントを行うことがあります。公式SNSやニュースリリースをチェックしておくと、思わぬタイミングで手に入るチャンスがあるかもしれません。
十年明7年の代替・後継ウイスキーを探す
「十年明7年」に似た味わいを探すなら、以下のような選択肢もあります。
- 十年明ノワール
Sevenの後継モデル。より柔らかでバランスの良い仕上がり。 - 三郎丸蒸留所の限定ボトル
シングルモルトシリーズや、ZEMON蒸留器以降の新原酒シリーズなど、個性派のラインアップが豊富。 - AMAHAGAN
長濱蒸留所の人気クラフトブランド。スモーキー好きにおすすめ。 - 厚岸ブレンデッドウイスキー
北海道・厚岸蒸留所のブレンデッドシリーズで、ピート香とモルト感のバランスが特徴。
ウイスキーの味わいは原酒の構成や熟成年数によって大きく異なりますが、十年明7年のような“ピート香とモルトの甘みのバランス”を持つ銘柄を探すのがポイントです。
終売の意味と、今後の三郎丸蒸留所に期待
終売という言葉には、少し寂しさもあります。
しかし、十年明7年の販売終了は「終わり」ではなく「新しいスタート」といえるでしょう。
若鶴酒造・三郎丸蒸留所は、伝統を守りながらも積極的に挑戦を続けるクラフト蒸留所です。
新たなブレンドや熟成原酒の試み、ZEMON蒸留器による革新的な製造方法など、国内外からの注目も高まっています。
「七年以上熟成」というこだわりを一度手放したことで、より柔軟で創造的なウイスキー造りに挑める環境が整ったともいえるでしょう。今後の新シリーズや限定リリースにも期待が高まります。
十年明7年終売まとめ：今こそ、希少な一本を手に取る時
「十年明7年が終売へ」というニュースは、多くのファンにとって驚きでした。
しかし、シリーズ刷新の背景を知ると、これはブランドを前進させるための前向きな決断でもあります。
ピートの効いたスモーキーな香り、モルトの厚み、そして富山の自然を感じさせる物語性――。
それらすべてが詰まった「十年明7年」は、間違いなく日本のクラフトウイスキー史に残る一本です。
店頭やネットで見かけたら、今が最後のチャンスかもしれません。
終売をきっかけに、もう一度その味わいをゆっくりと確かめてみてはいかがでしょうか。
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