ウイスキー好きなら一度は耳にしたことがあるであろう「竹鶴12年」。
日本を代表するピュアモルトウイスキーとして長年親しまれてきましたが、いつの間にかお店の棚から姿を消してしまいました。
「え、竹鶴12年って終売になったの?」
「もう手に入らないの?」
そんな疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「竹鶴12年が終売になった理由」から「現在でも入手できる方法」まで、ウイスキー愛好家の目線でじっくり解説していきます。
今なお根強い人気を誇る名酒の“背景”を一緒に掘り下げていきましょう。
竹鶴12年とはどんなウイスキー?
「竹鶴12年」は、ニッカウヰスキーが誇る「竹鶴ピュアモルト」シリーズの一つ。
創業者・竹鶴政孝氏の名前を冠したブランドで、日本ウイスキーの礎を築いた象徴的な存在です。
余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所、二つの個性をブレンドしたピュアモルト(モルトウイスキーのみをブレンドしたもの)で、12年以上熟成された原酒を使用。
香りは華やかでまろやか、口当たりは優しく、それでいてしっかりとしたコクがある──そんなバランスの良さが特徴でした。
発売当時の価格帯は2,000〜3,000円台。
いわゆる“手が届くプレミアムウイスキー”として人気を博していました。
日常でも特別な夜でも楽しめる、まさに万能型の一本だったのです。
竹鶴12年が終売になったのはいつ?
「竹鶴12年」は、2014年2月頃にメーカー出荷が終了しています。
つまり、2014年を境に新たな生産・販売は行われていません。
その翌月、2014年3月に登場したのが「竹鶴ピュアモルト(ノンエイジ)」です。
熟成年数の表記をなくし、より幅広い原酒を使うことで、安定供給を目指した新たなスタンダードモデル。
竹鶴12年の後継といえるポジションですね。
終売の理由①:原酒不足が深刻化したから
終売の一番大きな理由は「原酒不足」です。
ニッカだけでなくサントリーや他社も同様に、2010年代前半から急激なウイスキーブームの波に直面しました。
特に日本ウイスキーは海外評価の高まりもあり、需要が爆発的に増加。
ところが、ウイスキーの熟成には最低でも数年、長いもので十数年かかります。
2010年代の需要増に対し、2000年代初頭に仕込まれた原酒量が追いつかなかったのです。
その結果、熟成年数を保証できる「12年」「17年」「21年」などの年数表記モデルを維持するのが困難に。
「限られた原酒をどう配分するか」という苦渋の選択の末、12年モデルを中心に整理されることになりました。
終売の理由②:『マッサン』効果による需要爆発
2014年といえば、NHKの朝ドラ『マッサン』が放送された年。
この作品は、ニッカ創業者・竹鶴政孝氏とその妻リタの実話をもとにした物語でした。
ドラマ放送により「竹鶴」という名が全国的に知られ、ウイスキーに興味を持つ層が一気に拡大。
もともと限定的だった原酒が、さらに引っ張りだこになってしまったわけです。
実際、当時の酒販店では竹鶴12年をはじめとする竹鶴ピュアモルトシリーズが軒並み売り切れ。
“幻のウイスキー”と呼ばれるようになったのも、この頃からです。
終売の理由③:ブランド戦略の転換
もう一つの要因として挙げられるのが、ニッカのブランド再編です。
原酒不足を背景に、「年数表記モデル」から「ノンエイジモデル」へのシフトが進みました。
年数表記を外すことで、熟成年数の異なる原酒を柔軟にブレンドできるようになり、品質を保ちながら安定供給を実現。
「竹鶴ピュアモルト(ノンエイジ)」や「余市」「宮城峡」など、より幅広い味わいのラインナップを展開する方針に切り替わったのです。
竹鶴12年の終売は、単なる原酒不足による一時的な措置ではなく、長期的なブランド戦略の一環でもありました。
終売後の市場動向:価格は高騰、希少化が進む
販売終了から10年以上が経過した現在、竹鶴12年はすっかり“プレミアウイスキー”の仲間入りを果たしています。
- 定価:約2,450円前後(当時)
- 現在の市場価格:10,000〜20,000円前後(未開封品)
オークションや古酒専門店では、状態の良いボトルが高値で取引されています。
かつては手軽に楽しめた一本が、今やコレクター垂涎の逸品になったのです。
特に箱付きや旧ラベル仕様などは人気が高く、状態や流通時期によってはさらに価格が上がる傾向も見られます。
今でも買える?竹鶴12年の入手方法
「終売」とはいえ、完全に市場から消えたわけではありません。
現在でも入手するチャンスはあります。
主な方法をいくつか紹介します。
1. 信頼できる酒販店・ウイスキー専門店を探す
店舗によっては古酒や在庫を扱っている場合があります。
「旧ラベル」「終売品」などの表記があるか確認しましょう。
ただし、価格は定価の数倍になることがほとんどです。
2. 楽天市場・Amazonなどのネットショップ
一部の通販サイトでは、未開封在庫を販売しているショップも存在します。
ただし、相場より極端に安い商品は注意。保存状態や正規品かどうかを必ず確認しましょう。
3. オークション・フリマサイト
ヤフオクやメルカリなどでも取引があります。
最近の落札相場は1.5万〜2万円前後。
ただし、出品者の評価や保管状態の記載は要チェックです。
4. 買取専門店・リユース市場
ウイスキー買取業者の中には、販売も行うショップがあります。
こうした業者経由なら、未開封品の真贋チェックや保存状態の確認も比較的安心です。
5. 抽選・限定再販情報をチェック
公式再販はありませんが、酒販店による「倉庫放出」や「在庫抽選販売」が行われることがあります。
入荷通知サービスやメルマガ登録をしておくと見逃しにくくなります。
購入時の注意点
竹鶴12年は終売から時間が経っているため、購入時にはいくつか注意すべきポイントがあります。
- 保存状態を確認する:長期保管品のため、光・温度・湿度の影響を受けやすい。
- 未開封・液面低下のチェック:コルクやキャップの劣化による蒸発が見られる場合あり。
- 偽物・詐欺出品に注意:相場より極端に安い商品は警戒。信頼できる販売元から購入を。
- ラベル仕様の確認:「竹鶴12年ピュアモルト」と明記されているか、ボトル形状もチェック。
古酒市場での購入は一期一会。
出会ったときに迷わず押さえる、くらいの心構えがちょうどいいかもしれません。
現行モデル「竹鶴ピュアモルト」との違い
現行の「竹鶴ピュアモルト」は、年数表記がないノンエイジモデルです。
使用されている原酒は12年以上のものも含まれますが、若い原酒を組み合わせて全体のバランスを整えています。
竹鶴12年が持っていた熟成由来の重厚感や奥行きとは異なり、現行モデルはより軽やかでモダンな印象。
日常の一杯として飲みやすく、価格も比較的手頃です。
もし「竹鶴の味わいをもう一度体験したい」という方は、まず現行品を試してみるのもおすすめ。
その上で、余裕があれば12年モデルを探すのが良いでしょう。
終売から見えるジャパニーズウイスキーの現在地
竹鶴12年の終売は、単なる一商品の終了ではなく、日本ウイスキー業界の転換点でもありました。
“原酒不足”という言葉は、当時を象徴するキーワード。
しかしその結果、各社が熟成環境の拡充や新蒸溜所の建設に動くきっかけにもなりました。
近年では余市や宮城峡をはじめ、長期熟成の復活にも期待の声が上がっています。
つまり、竹鶴12年の系譜は終わったわけではなく、「次世代の竹鶴」へと受け継がれているのです。
竹鶴12年が終売?販売終了の理由と今でも買える入手方法のまとめ
改めてまとめると──
- 竹鶴12年は2014年に終売。理由は原酒不足とブランド再編。
- 『マッサン』ブームで需要が爆発し、供給が追いつかなくなった。
- 終売後はプレミア化し、現在は高値取引が主流。
- 今でも専門店・オークション・通販などで入手可能だが、価格と真贋には注意。
- 現行の「竹鶴ピュアモルト」は後継モデルとして健在。
手軽に飲めたあの時代を懐かしむ声も多いですが、竹鶴12年の価値は今も色あせていません。
もし出会えるチャンスがあれば、それはきっと“運命の一本”。
グラスを傾けながら、日本ウイスキーの歴史を感じてみてはいかがでしょうか。

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