「素敵しぼり(すてきしぼり)」という名前、聞くだけでなんだかフルーツの香りが漂ってきそうですよね。果汁100%の贅沢チューハイとして人気だったこの商品が、いつの間にか店頭から姿を消してしまいました。
「え、あれ終売になったの?」「なんでなくなったの?」と驚いた人も多いはず。この記事では、そんな“素敵しぼり”が終売になった理由、そして後継商品や代替の選択肢までをわかりやすく整理していきます。
果汁100%チューハイとして愛された「素敵しぼり」とは
素敵しぼりは、富永貿易株式会社が販売していた缶チューハイシリーズで、2016年に登場しました。製造はアシードブリュー株式会社。
「果汁100%」という他のチューハイにはあまりない特徴を持ち、人工甘味料や保存料を使わずに果実そのものの味を楽しめる“贅沢系チューハイ”として注目されていました。
フレーバー展開も豊富で、
と、まるでジュースのようなラインナップ。
アルコール度数は4%前後と控えめで、果実感をしっかり感じられる“飲みやすいお酒”として人気を集めました。
口コミを見ても「果物をそのまま絞ったみたい」「ジュース感覚でゴクゴクいける」「甘めでアルコールが苦手でも飲める」といった好意的な声が多く、コンビニやスーパーで見かけるとつい手に取ってしまう存在でした。
終売の正式発表とその背景
そんな素敵しぼりの終売が発表されたのは、2023年10月。富永貿易の公式サイトで「素滴しぼり果汁100%チューハイ」シリーズの製造終了が案内されました。
対象は全フレーバーで、「在庫がなくなり次第販売終了」という文言が明記されています。
では、なぜ終売に至ったのか。
メーカーの発表では、RTD(Ready To Drink:そのまま飲める酒類)市場全体のトレンドが関係しているとされています。近年、「低アルコール志向」や「適度な飲酒」という考え方が広まり、より軽いお酒への需要が高まっていました。
素敵しぼりのアルコール度数は4%。一見低いようでいて、さらにライトな商品が求められる時代の流れの中では“やや中途半端”な立ち位置になっていたとも考えられます。
つまり、味は評価されつつも、市場トレンドと商品のコンセプトが少しずつズレ始めていたのです。
実質的な後継商品「100%カジューハイ」の登場
終売と同時期に、富永貿易は新ブランド「100%カジューハイ」を発表しました。発売日は2023年9月19日。
果汁100%というコンセプトはそのままに、アルコール度数を4%から3%へ引き下げ、デザインも刷新。まさに素敵しぼりのDNAを受け継ぐ“後継チューハイ”といえます。
「100%カジューハイ」は、“頑張った自分をやさしく癒やす時間”をコンセプトにした商品で、よりジュース寄りのテイストと軽い飲み心地が特徴。
レビューを見ると「素敵しぼりよりもまろやか」「似てるけど少し軽い」「甘みが控えめになった」といった声が多く、確かに方向性としては“リニューアル版”に近い印象です。
この動きから推測できるのは、「終売」=「撤退」ではなく、「刷新」や「再スタート」に近いということ。
つまり素敵しぼりは、時代の変化に合わせて姿を変えたというわけです。
終売の裏にあった“見直し”の理由を掘り下げる
表向きには「市場トレンドの変化」とされていますが、そこにはいくつかの現実的な理由も隠れていそうです。
まず、コストの問題。
果汁100%仕様というのは、一般的なチューハイに比べて原料コストが高くつきます。フルーツ果汁をふんだんに使う分、価格を抑えるのが難しい。
原材料の高騰や物流費の上昇が続く中で、採算の見直しが必要になったのは自然な流れでしょう。
次に、製品ポジショニングの問題。
素敵しぼりは“チューハイ”でありながら“ジュースのようなお酒”という独自ポジションにありました。しかし市場全体を見ると、同じく低アルコール・果実系の競合商品が増え、差別化が難しくなってきたのです。
さらに、ブランド鮮度の問題。
2016年の発売から数年が経過し、パッケージや訴求イメージに“新鮮さ”を出すのが難しくなっていたとも考えられます。消費者の興味を引き続けるには、デザインやブランド名の刷新が効果的。
「素敵しぼり」というネーミング自体は愛着がありますが、マーケティング的には“カジュアルで新しい印象”を持たせる「100%カジューハイ」への移行が理にかなっていたのかもしれません。
SNSで広がる“惜しむ声”とファンの反応
終売が発表されると、SNSでは「ショック」「もう飲めないの?」という声が相次ぎました。
特にピンクグレープフルーツや白ぶどう味のファンは多く、「あの果汁感が忘れられない」「在庫を探して箱買いした」という投稿も目立ちました。
一方で、後継商品「100%カジューハイ」に対しては「味が似ていて嬉しい」「軽くなって飲みやすい」といった好意的な意見もあります。
ただし、「アルコール感が少なくて物足りない」「もう少し濃い方が良かった」という声もあり、完全に同じ味を求める人にとっては“代替品ではあるが別物”という印象のようです。
こうした反応を見ると、素敵しぼりは単なる商品ではなく、“思い出の味”として多くの人の記憶に残っていることがわかります。
終売の本質:時代に合わせた“再構築”
素敵しぼりが終売になった背景には、単なる売上や人気の問題だけでなく、時代の価値観の変化があります。
かつては「しっかり飲んでリフレッシュ」が主流だったものが、いまや「少しだけ飲んでリラックス」へと変化しています。
健康志向や飲酒量の見直し、働き方の多様化――そうしたライフスタイルの変化に合わせて、商品もアップデートを求められる時代なのです。
メーカーとしても、果汁100%という価値を捨てたわけではなく、より現代的なコンセプトに沿った形で再出発を選んだ。
その結果が、「素敵しぼりの終売」と「100%カジューハイの誕生」という流れにつながったといえるでしょう。
代替商品を探している人へ
もし「素敵しぼりが好きだったのに」と感じている人は、まず「100%カジューハイ」を試してみるのが一番おすすめです。
果汁の濃さや飲みやすさなど、素敵しぼりらしさをしっかり継承しています。
また、他の選択肢としては、
- 果汁感の強い低アルコールチューハイ
- 果実酒ベースの微炭酸系リキュール
- 果汁入りサワー系ドリンク
なども、近い味わいを楽しめるジャンルです。スーパーやネット通販でも入手できるため、自分好みの“新しいお気に入り”を探すのも楽しいかもしれません。
素敵しぼりが終売になったのはなぜ?もう一度振り返る
改めてまとめると――
素敵しぼりの終売理由は、
- 低アルコール志向という市場の変化
- 果汁100%という高コスト構造の見直し
- ブランド刷新によるリニューアル戦略
これらの複合的な要因が重なった結果といえます。
「終売」という言葉の響きは少し寂しいですが、その裏には“より今の時代に合った形で生まれ変わる”という前向きな意図もありました。
果汁100%チューハイというカテゴリーを日本で定着させた功績は大きく、素敵しぼりは確かにひとつの時代を作ったブランドです。
そして今、その意志を受け継いだ「100%カジューハイ」が、新しい“果実系チューハイの顔”として歩き始めています。
もう店頭で見かけることは少なくなりましたが、もし在庫を見つけたら――最後にもう一度、その“果実のしずく”を味わってみるのも良いかもしれません。

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