最近「キリンの零ICHI(ゼロイチ)を見かけなくなった」「終売したの?」という声がSNSなどでちらほら見られます。
実際のところ、零ICHIはどうなったのでしょうか。そして、ノンアルビール市場全体にはどんな変化が起きているのでしょうか。
今回は、終売の噂の真相から、現在のノンアルコールビール事情、さらに代替商品まで、じっくり掘り下げていきます。
零ICHI(ゼロイチ)とは?改めてその魅力を整理
まずは「零ICHI」という商品がどんなものだったかをおさらいしておきましょう。
零ICHIは、キリンビールが2017年に発売したノンアルコールビールテイスト飲料です。
名前の「零」はアルコール0.00%、「ICHI」はキリンの主力ブランド「一番搾り」から来ています。
つまり、“一番搾り製法でつくるノンアル”という、ちょっと特別な位置づけの商品でした。
人工甘味料・着色料を使わず、麦のうまみをしっかり感じられる味わいが特徴。
カロリーも100mlあたり9kcalほどと控えめで、健康志向の人や「休肝日をつくりたいけど、ビールの味は楽しみたい」という層から支持されていました。
発売当初は爆発的な人気で、発売10日で1000万本を突破したとも言われています。
それだけに、近年「売ってない」「見かけなくなった」となると、気になる人が増えるのも当然ですよね。
零ICHIは本当に終売したのか?噂の真相
結論から言うと、「零ICHIは終売していません」。
公式サイトでも現在も製品ページが存在しており、製造・販売は継続されています。
ではなぜ「終売?」という噂が広がったのでしょうか。いくつかの要因が重なっているようです。
1. 瓶タイプの出荷終了
零ICHIにはかつて缶と瓶の両タイプがありました。
そのうち小瓶タイプの出荷が2023年ごろに終了しており、これをきっかけに「販売終了では?」という誤解が広がりました。
瓶タイプを愛飲していた人にとっては、「もう売ってない」と感じるのも無理はありません。
2. リニューアルによる一時的な在庫切れ
零ICHIはこれまで何度かリニューアルを繰り返しています。
2018年や2019年には味わいやパッケージを変更しており、その切り替え時期には旧商品が一時的に姿を消すことがありました。
このタイミングで「店頭から消えた=終売」と勘違いした人も多かったようです。
3. 取扱店舗の減少と棚スペースの変化
近年、ノンアル飲料のラインナップは急速に増えています。
チューハイテイストやワイン風などの新ジャンルが増えたことで、限られた棚スペースの中で零ICHIの取り扱いが減った店舗も出てきました。
結果として「最近見かけない」「どこに行っても置いていない」と感じる人が増えたのです。
つまり、「終売したように見えるが、実際には流通や仕様の変化が原因」というのが真相です。
ノンアルコールビール市場の変化
零ICHIの存在が“見えにくく”なった背景には、ノンアル市場そのものの変化があります。
ここ数年で、ノンアルコール飲料は「飲めない人の代替品」から「積極的に選ぶ飲み物」へと進化しました。
健康志向と「飲まない選択」の広がり
健康意識の高まりや働き方の変化、さらには若年層の“そもそも飲まない”傾向も重なり、ノンアルの需要は急上昇。
特に「休肝日を設けたい」「運転前でも飲みたい」「お風呂上がりにスッキリしたい」といったライトな需要が拡大しています。
ある調査によると、ノンアル飲料の国内市場はこの10年で約1.6倍に拡大。
2024年時点では約4,500万ケース規模まで成長し、2025年も引き続き拡大が見込まれています。
もはや「代わりに仕方なく飲むもの」ではなく、「あえて選ぶ飲み物」になったわけです。
ジャンルの多様化とビールテイストの頭打ち
市場が広がる一方で、構成比の変化も見逃せません。
以前はノンアル=ビール風という印象でしたが、最近ではレモンサワー風やハイボール風、さらにはノンアルワインやモクテルなどが人気を集めています。
その結果、ビールテイスト飲料のシェアはやや落ち着き、棚スペースが分散。
零ICHIのような“王道のノンアルビール”が以前ほど目立たなくなったのも、この流れの中にあります。
なぜ零ICHIが「終売っぽく」見えたのかを整理
ここまでの流れをまとめると、「零ICHIが終売したように見える理由」は次の4つです。
- 小瓶タイプの販売終了で一部ユーザーが離脱
- リニューアル期に一時的な在庫切れが発生
- ノンアル市場の多様化で棚スペースが減少
- 他のノンアル商品(グリーンズフリーなど)との入れ替えが進んだ
つまり、商品自体が消えたわけではなく、“見えづらくなった”だけ。
販売継続中であり、缶タイプを中心に流通しています。
零ICHIの魅力をもう一度
終売ではないとわかったところで、改めて零ICHIの良さを振り返ってみましょう。
- 一番搾り製法による本格的な麦のうまみ
- アルコール0.00%、人工甘味料・着色料不使用
- 控えめなカロリーで健康志向にもマッチ
- 食事との相性が良く、飲みごたえがしっかり
味わいとしてはやや“麦の厚み”を感じるタイプで、ビール感を求める人にはピッタリ。
炭酸もやや控えめで、泡立ちが穏やかなので、食中にゆっくり飲むスタイルに向いています。
零ICHIが手に入らないときの代替商品
とはいえ、「近所のスーパーで見つからない」という人もいるかもしれません。
そんなときは、以下の代替商品を試してみるのもおすすめです。
キリンビール グリーンズフリー
同じキリンビールのノンアルブランド。
ホップの香りが爽やかで、軽やかな飲み口が特徴です。
零ICHIよりも少しライトで、のどごし重視の人に向いています。
サントリー オールフリー
「カロリーゼロ・糖質ゼロ・プリン体ゼロ」を全面に打ち出した定番の一本。
健康面を意識したい人や、日常的にノンアルを取り入れたい人に人気です。
アサヒ ドライゼロ
本格派志向のノンアルならこちら。
キレのある味わいと強めの炭酸で、最も“ビールらしい”と感じる人も多いです。
運転前やスポーツ後など、リフレッシュしたいシーンにも合います。
それぞれ方向性が違うので、好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
「味の濃さ重視なら零ICHI」「軽さ重視ならグリーンズフリー」「すっきり系ならドライゼロ」──そんな棲み分けができます。
ノンアル市場のこれからと零ICHIの立ち位置
今後もノンアルコール飲料市場は拡大していく見込みです。
特に「お酒を飲まない日を意識的に作る」動きが定着しており、飲用シーンの多様化が進んでいます。
一方で、各社の開発競争も激しくなっており、味・香り・成分・デザインまで進化が止まりません。
零ICHIは、そうした中でも「麦のうまみ」「自然な味わい」「一番搾りブランドの信頼感」を武器に、今も静かに存在感を放っています。
派手なキャンペーンをしなくても、リピーターが多いのは“本当においしいノンアル”として支持されている証拠でしょう。
零ICHIが終売?──本当のところは「まだ現役」
ここまで見てきたように、零ICHIは終売していません。
ただし、瓶タイプの終了やリニューアル、流通の変化などで一時的に“見えづらく”なっているのは事実です。
もし近くのスーパーやコンビニで見つからないときは、ネット通販で探してみるのも一つの方法。
また、同じキリンビールの「グリーンズフリー」や他社の人気ノンアルも試しながら、自分に合う1本を探してみるのも楽しいですよ。
ノンアルコールビールは、もう「飲めない人の代替」ではなく、
“飲みたいから選ぶ”時代に入りました。
その流れの中で、零ICHIはこれからも確かな存在感を持ち続けるでしょう。

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