子どものころ、風邪をひくと胸に塗ってもらったあの独特な香り。あたたかくて安心感のある薬――それが「ヴェポラップ」です。そんな長年親しまれてきた家庭薬が「終売」と聞くと、思わず「本当に!?」と驚いてしまいますよね。
今回は、ヴェポラップの販売終了の真相や、その背景、そして代わりに選べる市販薬について、くわしく見ていきます。
ヴェポラップとは？長年愛された「塗る風邪薬」
まずは、そもそもヴェポラップとはどんな薬だったのかを整理しましょう。
正式名称は「ヴイックス ヴェポラッブ（Vicks VapoRub）」。大正製薬が販売していた指定医薬部外品で、胸やのど、背中に塗るタイプの風邪緩和薬です。
主な効能は「鼻づまり」「くしゃみ」などの風邪症状をやわらげること。
成分にはカンフル、メントール、ユーカリ油などが含まれ、塗るとスーッとした清涼感が広がります。この香り成分が蒸気となって呼吸を楽にし、同時に塗布部を温めることで血行を促す効果も期待できます。
まさに「塗る吸入薬」ともいえる存在で、子どもから大人まで幅広く使われてきました。瓶入りやチューブタイプなど複数の形状があり、どの家庭にも一つはあったといっても過言ではない定番薬です。
本当に終売なの？大正製薬が発表した内容
気になる「終売」の話題について、まずは事実関係を確認しましょう。
2025年7月、大正製薬は公式サイトで「ヴイックス ヴェポラッブ」の販売を終了すると発表しました。対象はビン50g・ビン100g・チューブ80gの全ラインナップで、2025年9月30日をもって出荷が終了する予定とされています。
つまり、大正製薬が日本国内での販売を終了するということ。
これにより、全国のドラッグストアやネットショップでは、今後徐々に在庫がなくなっていくと見られています。
SNSでも「子どものころから使っていたのに寂しい」「あの香りが好きだった」といった声が多数投稿され、惜しむ声が相次ぎました。
ある感情分析によれば、SNS上の投稿のうち6割以上が「悲しみ」や「懐かしさ」を示す内容だったそうです。
なぜヴェポラップは販売終了になったのか？
販売終了の理由について、大正製薬は明確な「終売理由」を公表していませんが、背景にはいくつかの要因が考えられます。
1. 製品ラインナップの見直し
医薬部外品や一般用医薬品の分野では、定期的な製品整理が行われます。需要の変化や製造コストの見直し、原料調達の難しさなどから、長年続いた製品でも終了することがあります。
ヴェポラップも例外ではなく、販売効率の観点からラインナップを整理した可能性が高いといわれています。
2. 使用者層の変化
近年は「貼るタイプ」や「飲むタイプ」の風邪薬が主流となり、塗布タイプを使う家庭が減少している傾向があります。
とくに若年層では「香りが強い」「ベタつく」などの理由で敬遠されることもあり、需要が徐々に減っていたと見られます。
3. 製造・品質管理のコスト
2021年には、チューブタイプの一部ロットで成分が規格を下回ったとして自主回収が行われました。安全上の問題はなかったものの、こうした管理コストの増加も影響している可能性があります。
4. ブランド戦略の転換
「ヴイックス」ブランドは世界的にはP&G（プロクター・アンド・ギャンブル）が展開しています。
今回の発表では「今後、P&Gが新たな販売元とともに再展開を準備中」との記載もありました。つまり、完全に消滅するわけではなく、販売元の変更による一時的な供給停止の可能性もあります。
現在の販売状況と入手可否
現時点（2025年11月）では、すでにチューブタイプは多くの店舗で在庫切れ。瓶タイプ（50g・100g）も在庫限りとなっており、ネットショップでは「販売終了」「在庫限り」「終売予定」といった表示が増えています。
ドラッグストアでも棚から姿を消し始めており、「どこにも売っていない」「見つけたら即買い」という声がSNS上で目立ちます。
一方で、転売サイトなどでは通常価格より高額で販売されるケースもあるため、購入時には正規販売ルートを確認することが重要です。
なお、大正製薬が発表しているとおり、今後は新たな販売体制で再登場する可能性もゼロではありません。
ただし、いつ再開されるかは未定であり、現時点では「一旦市場から姿を消す」と理解しておくのが現実的です。
代わりになる市販薬は？香りと効能が近いものを選ぼう
「じゃあヴェポラップが手に入らなくなったら、代わりは何を使えばいいの？」
そう感じている人も多いでしょう。ここでは、同じように風邪や鼻づまりに役立つ市販薬のタイプを紹介します。
1. 塗るタイプの鼻づまり緩和薬
ヴェポラップと同じように、メントールやユーカリ油などを配合した塗布薬がいくつかあります。
代表的なのは「タイガーバーム」や「メンソレータム系の外用薬」など。
ただし効能や対象症状が異なる場合もあるので、使用前には成分と効能書きを確認しましょう。
2. 鼻づまりを改善するスプレー・吸入タイプ
「点鼻スプレー」や「アロマ吸入タイプ」の市販薬も人気です。鼻づまりを即効的に改善したいときに便利ですが、使用回数や期間には制限がある場合もあります。
使用の際は、薬剤師や登録販売者に相談すると安心です。
3. 内服タイプの総合感冒薬
もし鼻づまりに加えて咳や喉の痛みなど複数の症状がある場合は、内服の総合感冒薬を選ぶのも一つの方法です。
体質や持病によっては服用できない成分もあるため、自己判断せず相談のうえで選びましょう。
4. アロマや温感グッズを活用する
薬ではありませんが、ユーカリやティーツリーなどのアロマオイルを使った芳香浴、温かい蒸しタオルを胸や首に当てるなどの民間的なケアも人気です。
「香りで呼吸を楽にする」という点ではヴェポラップの代わりになります。
ヴェポラップ終売のニュースに感じること
SNSを見ていると、「実家にあった」「あの香りをかぐと安心する」「子どものころを思い出す」といった声がとても多く見られます。
ヴェポラップは、単なる風邪薬というより“思い出の薬”だったのかもしれません。
近年は、便利で使いやすい新製品が次々に登場していますが、こうしたロングセラーが姿を消すとやはり寂しいもの。
しかし、ブランドとしての「ヴイックス」はまだ健在で、将来的に何らかの形で復活する可能性も十分あります。
今は少しのあいだ、お別れのとき――そんな気持ちで見守っていきたいですね。
ヴェポラップ終売のまとめと今後の選び方
ここまでの内容を整理すると、次のようになります。
- ヴェポラップは大正製薬が2025年9月で販売終了を発表
- ブランド自体はP&Gが継続しており、再販の可能性もある
- 現在は在庫限りで入手困難
- 代替には塗るタイプ・スプレータイプ・内服タイプなどさまざまな選択肢がある
- 使用目的（鼻づまり・温感ケアなど）に合わせて選ぶのがポイント
終売のニュースは残念ですが、安心できる香りや温かさは、今もほかの方法で取り入れられます。
お気に入りの代替品を見つけて、これからの季節も快適に過ごしましょう。
そしてもし「ヴェポラップがまた帰ってきたら」、そのときはまた懐かしい香りを胸いっぱいに感じたいものです。
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