北海道でいちじくが売ってない？その疑問の背景とは
「最近スーパーでいちじくを見かけない」「北海道ではどこにも売ってない」──そんな声がSNSなどでも増えています。確かに、いちじくは本州の果物売り場では秋口に多く並ぶ一方、北海道では取り扱いが少なく、「販売終了？」と感じてしまう人も少なくありません。
ではなぜ、北海道ではいちじくが売っていないように見えるのでしょうか。その理由を気候・流通・市場などの観点から詳しく見ていきます。
北海道ではいちじく栽培が難しい理由
いちじくは暖かい気候を好む果実です。日本では愛知県、和歌山県、大阪府など温暖な地域が主要な産地であり、特に愛知県の出荷量は全国の約3割を占めています。
一方で北海道は、冬季の厳しい寒さや霜の影響で露地栽培が難しく、果樹として根付きにくい地域です。
そのため、北海道で栽培されるいちじくはごくわずか。家庭菜園レベルや一部ハウス栽培の農園に限られており、商業規模での出荷量はほとんどありません。
さらに、いちじくは寒さだけでなく風にも弱く、樹皮が凍害を受けやすい植物です。北海道で生産する場合、冬越しには徹底した防寒対策やハウス設備が不可欠。そのため栽培コストが高く、地域産品として定着しにくいのが現状です。
出回る時期が短く、北海道ではさらに希少
いちじくの旬は、全国的に8月から10月頃です。ちょうど夏の終わりから秋にかけての限られた期間だけが、最も甘みが強く美味しい季節とされています。
しかし北海道では流通ルートが長いため、旬の終わりが早く、9月半ばを過ぎると店頭で見かけなくなることも。
本州の果物専門店では10月まで販売しているケースがある一方、北海道では1カ月以上早く“終売”状態に入ってしまうことも珍しくありません。
つまり、「販売終了」というよりも「流通の季節が早く終わる」というのが実情です。
いちじくが北海道に流通しにくい流通・物流上の問題
いちじくは非常にデリケートな果実です。収穫後すぐに熟し始め、皮が薄く傷みやすいため、流通中に劣化しやすいのが最大の弱点。
そのため、一般的な果物よりも日持ちが短く、長距離輸送には不向きです。
本州から北海道へ輸送する際には、通常よりも輸送時間がかかり、冷蔵・温度管理のコストも上がります。結果として「販売価格が高くなる」「取り扱う店が限られる」といった悪循環が生まれています。
加えて、スーパーなどの量販店では、販売ロスを避けるために痛みやすい果物を敬遠する傾向があります。これが「北海道では売ってない」と感じる最大の理由の一つです。
店頭での販売が終了する“時期のズレ”
秋の果物コーナーには、ブドウ、梨、柿など人気の旬果が多く並びます。いちじくはその中でも消費者の購入頻度が低く、売り場面積の縮小対象になることもしばしばです。
北海道ではそもそも入荷数が少ないうえに、売り切れやすく、再入荷がないままシーズン終了を迎えることもあります。
特に大型スーパーでは、「いちじくは年に1〜2回の入荷のみ」「すぐ完売」「翌週には別の果物に切り替え」といった動きが一般的です。
このような供給サイクルの短さも、「販売終了」と誤解される一因になっています。
通販なら北海道でも購入できる？取り寄せの実態
もし地元の店舗で見つからない場合、通販を活用するのが現実的な選択肢です。
楽天市場やJAタウンなどでは、愛知・和歌山などの産地直送いちじくが多数出品されています。
ただし、注意すべきポイントがいくつかあります。
通販購入時の注意点
- 配送地域制限：「北海道・沖縄は配送対象外」と明記されている商品がある。
- 送料・クール便対応：鮮度維持のためクール便が必要になり、送料が高くなりやすい。
- 出荷時期：多くの商品は「8〜10月限定販売」「販売期間終了」の記載がある。
特に北海道は距離的に遠いため、到着までの時間を考慮して「出荷直後に注文」することが重要です。鮮度が落ちやすい果物だからこそ、発送日や収穫日を明記したショップを選ぶのがおすすめです。
ドライいちじく・いちじくジャムなど代替商品も人気
生果が手に入りづらい北海道でも、「ドライいちじく」や「いちじくジャム」なら通年で購入可能です。
トルコ産ドライいちじくは大手スーパーでも取り扱いが多く、保存期間も長いのが特徴。
また、国産いちじくを使ったコンポートやジャムも通販で人気を集めています。
加工品なら旬を気にせず楽しめるため、「生いちじくがない季節の代替」として利用する人が増えています。
特に、パンやヨーグルトに合わせるドライいちじくは健康志向の層にも根強い人気があります。
北海道でも育てられる？いちじくの家庭栽培事情
「売ってないなら自分で育ててみたい」と考える人もいるかもしれません。
実際、北海道でも一部では鉢植えやハウス内でいちじくを育てる人が増えています。
耐寒性の高い品種（ドーフィン、蓬莱柿など）を選べば、屋内栽培や冬越しも不可能ではありません。
ただし露地栽培では難易度が高く、積雪・霜害・低温によって枯れるリスクがあります。
ガーデニング好きの間では、秋に小さな実を収穫する楽しみを味わう人もいるようです。北海道内でも温室を持つ農家や家庭菜園では成功例があり、近年少しずつ“北限いちじく”の試みが増えています。
北海道でいちじくを探すならここをチェック
・地元の産直市場・直売所
→ 札幌近郊や新篠津などでは、ハウス栽培いちじくを扱う農園が存在。例年8〜9月頃が出荷のピーク。
・果物専門店・百貨店の青果コーナー
→ 高級フルーツとして取り扱われることが多く、価格は高めだが品質が安定。
・ネット通販（楽天市場・JAタウン・食べチョクなど）
→ 北海道配送可能か確認し、クール便・到着日指定を活用。
・加工品・スイーツ専門店
→ 「いちじくタルト」「ドライいちじくチョコ」など、スイーツを通して楽しむのもおすすめ。
このように探す範囲を広げれば、北海道でも意外と多くの“いちじくに出会える場所”が見つかります。
北海道でいちじくが売ってない理由をまとめると
- 気候的に栽培が難しいため、地元産がほぼ存在しない。
- 流通距離が長く、日持ちしない果物のため入荷数が少ない。
- 旬が短く、販売期間が本州より早く終わる。
- 輸送コストが高く、価格が上がりやすい。
これらの要因が重なり、北海道では「いちじくが売ってない」と感じられる状況になっています。
しかし、通販や産地直送を利用すれば新鮮ないちじくを手に入れることも可能ですし、ドライいちじくやジャムで味わう方法もあります。
「北海道では手に入りにくい果物＝楽しめない」ではありません。少し工夫すれば、季節限定の甘い味わいをしっかり堪能できます。
北海道でいちじくが売ってない？今後の展望と楽しみ方
最後にもう一度、「北海道でいちじくが売ってない？」という疑問に戻ると、
それは“完全に消えた”のではなく、“出回る時期・地域が限られている”というのが実情です。
今後はハウス栽培や流通技術の進化により、北海道でも少しずつ入荷機会が増えていく可能性があります。
また、SNSなどを通じて「どこで買えるか」「今年はいつ入荷したか」といった情報共有も活発になっており、旬を逃さず購入できる人も増えています。
いちじく好きにとっては短い季節のごちそう。北海道でも、少しアンテナを立てておけば、きっとそのやさしい甘さに出会えるはずです。
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