最近、「レスタミンコーワ糖衣錠が薬局にない」「どこにも売っていない」という声を見かけるようになりました。長年、じんましんや湿疹、かゆみ止めなどの定番薬として知られていたこの商品に、いったい何が起きているのでしょうか。今回は、販売中止の噂や背景、そして代替となる市販薬情報までを詳しく整理してお伝えします。
レスタミンコーワ糖衣錠とはどんな薬？
まずは、レスタミンコーワ糖衣錠の基本情報からおさらいしましょう。
製造販売元は興和株式会社（KOWA）。医療用医薬品としても知られる「レスタミン錠」の市販版で、アレルギーや皮膚のかゆみ、鼻炎などの症状を抑える第2類医薬品です。
主成分は「ジフェンヒドラミン塩酸塩」。これは抗ヒスタミン作用を持つ成分で、アレルギーによるかゆみや鼻水を抑える働きがあります。一方で、眠気が出やすいことでも知られており、服用の際には注意が必要な成分です。
長年にわたってドラッグストアで手軽に購入できる内服薬として親しまれてきましたが、2024年頃から「店頭で見かけなくなった」という声が増えています。
「売ってない」と言われる理由①：流通量の減少と在庫調整
まず考えられるのは、流通量の減少です。
現在もオンラインストアや一部のドラッグストアでは販売されていますが、「おひとり様1個まで」「在庫限り」など、販売制限がかかっているケースが目立ちます。これは卸や販売店側が在庫を慎重に扱っていることを示しています。
近年、医薬品の物流全体で「一部成分の供給不足」や「製造ライン見直し」による出荷調整が相次いでいます。レスタミンコーワ糖衣錠も、一定期間の生産・出荷抑制が行われている可能性があります。
実際、価格比較サイトでは一部店舗で在庫が減少し、価格変動も確認されています。全国的な「終売」ではないものの、供給バランスが不安定になっているのは確かです。
「売ってない」と言われる理由②：規制強化による販売体制の変化
次に注目すべきは、成分規制の強化です。
レスタミンコーワ糖衣錠の有効成分「ジフェンヒドラミン塩酸塩」は、眠気を引き起こすだけでなく、大量摂取による健康被害が報告されています。
厚生労働省は2025年に、この成分を含む製品を「指定濫用防止医薬品」に追加指定する方針を発表しました。施行予定日は2026年5月1日です。
この指定を受けると、販売時に薬剤師による説明や購入数制限、本人確認などが求められるようになります。これに先駆け、メーカーや販売店が流通を控えている可能性が高いと考えられます。
つまり、「販売終了」ではなく、今後の規制強化を見越した流通調整の段階にあると見るのが現実的です。
「売ってない」と言われる理由③：市場のニーズ変化と第二世代抗ヒスタミン薬の台頭
もうひとつの理由は、市場の移り変わりです。
ジフェンヒドラミンを主成分とする「第一世代抗ヒスタミン薬」は、即効性がある一方で、眠気や集中力の低下などの副作用が出やすいという特徴があります。
現在は、眠気の少ない「第二世代抗ヒスタミン薬」が主流となっており、薬局でもそちらが多く並ぶようになりました。
たとえば以下のような製品が代表的です。
これらは花粉症やじんましんにも幅広く使われ、眠気が少ないため日常生活に支障をきたしにくい点が評価されています。
結果として、旧来型の第一世代薬の売り場スペースが縮小され、消費者が「見かけない」と感じるようになっているのです。
販売中止の公式発表はある？
現時点（2025年11月）で、興和株式会社から「レスタミンコーワ糖衣錠」の終売や製造中止を示す公式発表は確認されていません。
薬局や通販サイトでも「販売中」扱いになっているケースが多く、製造そのものは継続中と見られます。
ただし、上述のように成分規制や市場シフトの影響で、一部地域・店舗での取り扱い終了が進んでいることは確かです。
ドラッグストアの棚から消えても「在庫切れ」や「販売縮小」の可能性があるため、「終売」とは言い切れません。
購入できる場所と注意点
2025年時点で確認できる購入方法としては、以下のようなものがあります。
- 大手通販サイト（Amazon、楽天、マツキヨ公式オンラインなど）
- 地域によってはドラッグストアの薬剤師カウンターでの取り寄せ注文
- 医療機関での相談を通じた処方薬への切り替え
ただし、規制強化に伴い、今後はネット販売にも制限がかかる可能性があります。
購入する際は、使用上の注意を守り、必要な期間だけ服用することが大切です。
眠気や注意力低下を引き起こすことがあるため、服用中の車の運転や機械操作は避けましょう。
レスタミンコーワ糖衣錠が買えないときの代替薬
もしレスタミンコーワ糖衣錠が手に入らない場合は、以下のような代替薬が候補になります。
症状や目的に合わせて、薬剤師に相談のうえ選びましょう。
1. 皮膚のかゆみ・湿疹対策
- 新レスタミンコーワ軟膏（同ブランドの外用薬）
- ムヒAZ錠
- アレグラFX・クラリチンEXなどの内服抗ヒスタミン薬
2. 鼻炎やアレルギー症状対策
3. 医療用成分と同等の効果を求める場合
どれも第一世代よりも副作用が少なく、長時間効果が続くのが特徴です。
ただし、症状の原因によっては医師の診察が必要なケースもあるため、自己判断での長期服用は避けるようにしましょう。
今後の販売動向と再販の可能性
2026年の「指定濫用防止医薬品」指定が正式に施行されれば、販売方法が変わるのはほぼ確実です。
その際には、
- パッケージの変更
- 販売店での対面販売限定化
- ネット販売制限
- 購入数制限
といった対応が実施される見込みです。
一時的に「入手困難」となる可能性がありますが、成分や安全性の観点から再構成・リニューアルされて再販される可能性も残されています。
興和がこれまで販売終了と同時にリニューアル品を発売してきた例は多く、今回も新たな形で「レスタミン」ブランドを継続する可能性があります。
まとめ：レスタミンコーワ糖衣錠が売ってないのは「終売」ではなく「移行期」
結論として、レスタミンコーワ糖衣錠が「売ってない」と言われている理由は、
- 成分規制の強化による流通調整
- 第一世代抗ヒスタミン薬の需要低下
- 店舗在庫の縮小
といった複合的な要因によるものです。
完全な販売中止ではなく、規制対応と市場変化の狭間にある「移行期」と捉えるのが現実的です。
今後、法改正に伴って販売体制が変更される可能性もあるため、購入を希望する方は早めに入手しておくか、代替薬を検討しておくと安心でしょう。
レスタミンコーワ糖衣錠が売ってない理由には、単なる供給不足を超えた社会的背景があります。
安全性を重視する流れの中で、医薬品のあり方そのものが変わりつつある今、私たち消費者も正しい知識を持って選択することが求められています。
