「離乳食のひらめが売ってない…」と感じたことはありませんか？
赤ちゃんにあげる白身魚といえば、たらやたい、かれいなどが定番ですが、栄養が豊富でクセの少ない「ひらめ」も本来は理想的な食材の一つです。
それなのに、スーパーやドラッグストア、さらにはネット通販でもなかなか見つからない――。
今回はその理由と、代わりに使えるおすすめ食材までを詳しく解説します。
ひらめは離乳食に向いている？その栄養と魅力
まず、ひらめが離乳食に適している理由を整理しておきましょう。
ひらめは淡白な白身魚で、脂質が少なく、赤ちゃんの消化器にも優しい食材です。クセがなく食べやすい味わいで、魚特有の匂いが苦手な赤ちゃんでも比較的受け入れやすいと言われています。
さらに、ひらめにはビタミンB群やタウリンなど、成長期にうれしい栄養が含まれています。
同じ白身魚の「たら」や「かれい」と比べても、柔らかく上品な風味を持ち、食べ慣れを促すにはぴったり。
そのため、レシピサイトや育児本などでは「白身魚デビューにおすすめ」と紹介されることもあります。
ところが、実際にベビーフード売り場を探しても「ひらめ入り」の商品はほとんど見当たりません。
なぜこんなに珍しいのでしょうか。
離乳食のひらめが売ってない理由① 原料の安定供給が難しい
ひらめは高級魚として扱われることが多く、天然物の割合が非常に高い魚です。
漁獲量が限られており、季節や地域によって入荷にムラが出るため、食品メーカーが安定的に調達するのが難しいのです。
特に、ひらめの旬は冬場（11月〜3月頃）。
この時期以外は価格が高騰したり、質が安定しなかったりと、ベビーフードの大量生産には向かないという課題があります。
安定供給できない原料は、製品ラインを継続する上で大きなリスクになるため、メーカーが敬遠するのは当然ともいえます。
離乳食のひらめが売ってない理由② コストと採算の問題
もう一つの理由は「コストの高さ」です。
ひらめは刺身や高級料理に使われることが多く、原価がそもそも高め。
ベビーフードのように小容量・低価格で販売する商品では、採算を合わせるのが難しいのです。
実際、ひらめを使った離乳食は一時的に販売されても、定番商品としては続かないケースが多いようです。
「グーグーキッチン ひらめのリゾット」といった商品も存在しますが、常に店頭に並んでいるわけではなく、在庫が安定しない時期もあります。
つまり、「販売終了」というよりも「採算が合わず、継続できない」というのが実情に近いのです。
離乳食のひらめが売ってない理由③ 他の魚で十分代用できる
白身魚の中でひらめに似た栄養バランスを持つ魚は多く、わざわざ高価なひらめを使う必要性が低いことも理由の一つです。
たとえば、
- たら：クセがなく柔らかく、離乳初期にぴったり。流通も安定して安価。
- かれい：骨が少なく扱いやすい。脂肪分が少ないため消化にも良い。
- たい：旨味が強く、離乳中期以降の味慣らしに最適。
これらの魚はスーパーや冷凍食品売り場でも比較的手に入りやすく、調理もしやすいという利点があります。
そのため、メーカー側も「ひらめ」を使うメリットを感じにくく、代わりに他の白身魚を選ぶ傾向があるのです。
実店舗・ネット通販でも見かけない？流通の現実
「近所のスーパーを何軒回っても見つからない」という声も多いですが、これは地域差や流通経路の影響が大きいです。
鮮魚コーナーの小さい店舗や内陸部では、そもそもひらめ自体の取り扱いが少ない場合があります。
一方、ネット通販では冷凍ひらめや刺身用の切り身を取り扱っているショップもあります。
ただし、ベビーフード専用としては「白身魚」としか表記されていない商品が多く、実際にひらめが使われているかは原材料を見ないと分かりません。
時期や在庫状況によって販売が変動するため、「今は在庫切れ」「入荷待ち」状態のことも多く、これも“売ってない”と感じる一因になっています。
自宅でひらめを使う場合の注意点
もし冷凍ひらめや鮮魚を手に入れられた場合は、自宅で調理して離乳食に使うこともできます。
ただし、いくつかの注意点を守ることが大切です。
- 必ず加熱すること
刺身用のひらめでも、生では与えず、中心までしっかり火を通しましょう。 - 骨・皮・血合いを完全に除くこと
ひらめは骨が細かいため、目視だけでなく指先で確認を。赤ちゃんの喉に詰まるリスクを防ぎます。 - 初めて与えるときは少量から
魚はアレルギー反応が出やすい食材の一つです。小さじ1程度から始め、体調を見ながら量を増やしましょう。 - 冷凍保存は小分けで
調理後に製氷皿などで1食分ずつ冷凍しておくと便利です。ただし、再加熱時に水分が分離することがあるため、食べる直前に作るのが理想です。
離乳初期ならすりつぶしたペースト状、中期以降は細かく刻んでおかゆに混ぜるなど、月齢に応じた形で工夫すると良いでしょう。
ひらめが手に入らないときのおすすめ代替品
「ひらめが売ってない」ときに頼れる代替魚を改めてまとめます。
- たら：安定した価格と供給量。初期の離乳食におすすめ。
- かれい：骨が取りやすく、やさしい味わい。
- たい：風味が豊かで、魚慣れを進めたいときに最適。
これらは多くのベビーフードメーカーでも採用されている定番素材です。
もし「魚を調理するのが大変」という場合は、魚入りのレトルトベビーフードを利用するのも手。
市販品なら加熱や骨処理の手間が省けるうえ、月齢別に食感が調整されているため安心です。
販売終了というより「希少」なだけ？メーカー事情を考える
「販売終了」という言葉を見かけても、実際には公式に終了が発表されているケースは多くありません。
多くは「期間限定」「在庫限り」「流通停止中」といった状態で、メーカーとしては明確に終売を打ち出していないことがほとんどです。
ベビーフード業界では、限られた棚スペースで定番商品を展開するため、売れ行きが少ない商品は自然に姿を消します。
ひらめのように高価で扱いが難しい素材は、需要が低ければ短期で入れ替えになるのも無理はありません。
したがって、「販売終了＝製造中止」ではなく、「継続が難しいため実質的に入手困難」というのが現実的な見方です。
離乳食のひらめが売ってないときは柔軟に代用を
結論として、「離乳食のひらめが売ってない」理由は、
- 原料の確保が難しい
- コストが高い
- 他の魚で代用が効く
この3点に集約されます。
ひらめは確かに上品でおいしい魚ですが、同等の栄養を持つ白身魚は他にもたくさんあります。
無理に探し回るよりも、手に入りやすい「たら」や「かれい」を使ってみる方が現実的で、赤ちゃんにとっても十分です。
旬の時期に鮮魚店で見つけたら、ぜひ少し買って離乳食にチャレンジしてみるのも良いですね。
けれども、見つからなくても落ち込む必要はありません。
離乳食づくりで一番大切なのは「無理せず、安全に、楽しく続けること」。
「離乳食のひらめが売ってない」という悩みも、そう考えると少し気が楽になるはずです。
