「最近、ESETが販売終了したらしい」といった話を見かけて不安になった人も多いのではないでしょうか。長年使っているユーザーにとっては「サポートはどうなるの?」「今後も使えるの?」というのが一番気になるところですよね。
結論から言えば、ESETそのものが日本市場から撤退したわけではありません。ただし、一部の旧製品が販売を終了し、新しいラインアップに置き換えられたというのが正しい状況です。この記事では、販売終了の背景や理由、今後のサポート体制、移行先の製品情報まで、わかりやすく解説していきます。
ESETの販売終了は一部製品だけ。ブランドは継続中
まず押さえておきたいのは、「ESETが完全に販売終了した」という誤解です。
実際には、個人向けや法人向けの一部製品が段階的に販売終了となっただけで、ESETブランドの提供は続いています。
例えば、個人向けの人気パッケージ「ESET インターネットセキュリティ まるごと安心パック」は、2023年11月21日で新規販売が終了、更新販売は12月14日で終了しました。その後のユーザー登録期限は2024年6月30日、サポート終了は2027年12月31日と明記されています。
一方で、これを引き継ぐ新ラインアップとして「ESET HOME セキュリティシリーズ」が2023年末から順次展開されています。つまり、旧製品が整理されただけで、サービス自体は今も継続しているのです。
なぜESETは販売終了を行ったのか?背景にある3つの理由
ESETの販売終了・製品統合には、いくつかの明確な理由があります。主な要因を3つに整理してみましょう。
1. セキュリティ脅威の高度化
ここ数年、フィッシングや個人情報の不正利用など、サイバー攻撃の手口は急速に進化しています。
従来のウイルス対策だけでは守り切れない場面が増え、より総合的なセキュリティ対策が求められるようになりました。ESET側もこれに対応するため、単なるウイルス対策ソフトから、プライバシー保護・VPN・パスワード管理などを統合した新モデルへ移行しています。
2. 製品ラインの整理と統一
旧ESETシリーズでは「まるごと安心パック」「ファミリーセキュリティ」「インターネットセキュリティ」など複数のパッケージが存在し、ユーザーから「違いがわかりづらい」という声もありました。
これを受けて、シンプルでわかりやすい構成に整理したのが新シリーズです。現在は「ESET HOME セキュリティ エッセンシャル」「ESET HOME セキュリティ プレミアム」「ESET HOME セキュリティ アルティメット」の3種に統合されています。
3. サポート体制の刷新
旧パッケージでは自動延長や登録方法が複雑で、サポート管理にも手間がかかっていました。
新ラインアップでは、ESET HOMEアカウントを軸にライセンスやデバイスを一元管理できるようになり、ユーザー側も操作しやすくなっています。
つまり、旧モデルを終売にしてでも、より快適で安全な仕組みに移行したかったということです。
法人向けでも販売終了とラインアップ変更が進行中
ESETの法人向け製品でも、販売終了や統合が進められています。
2023年10月にはキヤノンITソリューションズが「一部法人製品の販売終了とラインアップ変更」を発表しました。
特に、オンプレミス環境で利用されていた「ESET PROTECT Entry」などは、2025年3月末で販売終了となる見込みです。
企業においてもクラウド管理のニーズが高まり、ESETもクラウド対応型の管理コンソールや統合ソリューションにシフトしています。これは「クラウドセキュリティ」「ゼロトラスト」「多層防御」といった現在の潮流に合わせた動きです。
サポートはいつまで?ESET旧製品のサポート期限まとめ
販売終了と聞くと「もう使えないのでは」と不安になりますが、すぐに利用できなくなるわけではありません。
旧製品にも明確なサポート期間が設定されています。
たとえば「まるごと安心パック」は2027年12月末までサポートが続きます。
法人版でもバージョンごとにサポート終了日が公開されており、たとえばESET PROTECTシリーズの一部では2026〜2028年ごろまで段階的にサポートが提供される予定です。
つまり、販売終了=即利用停止ではなく、サポート期間内は安心して使えるという点を押さえておきましょう。
旧製品から新ESET HOME セキュリティシリーズへの移行方法
旧バージョンを使っている場合、移行はどうすればよいのでしょうか。
基本的には以下のような流れになります。
- 現在の有効期限を確認する
- 期限が90日以内になったら新製品への切り替えを検討する
- 「ESET HOME セキュリティ」シリーズの中から自分に合ったプランを選ぶ
- 新しいライセンスで再インストールまたは上書き更新を行う
なお、「まるごと安心パック」のような特定のサポート付き製品は後継が存在しません。そのため、必要に応じて通常のESET HOMEシリーズ+他社のサポートサービスを組み合わせるのが現実的です。
注意したい更新・登録期限と自動延長の終了
旧製品の中には「ユーザー登録期限」「更新販売終了日」「自動延長終了日」などが明記されているものがあります。
たとえば「まるごと安心パック」は、2024年6月30日をもって自動延長サービスが終了。以降は有効期限を迎えても自動で更新されません。
つまり、放置しておくとライセンスが切れて防御機能が止まる可能性があるので、必ず手動で更新や切り替えを行う必要があります。
新ラインアップ「ESET HOME セキュリティ」シリーズの特徴
ESETが新たに展開しているESET HOMEシリーズは、従来のアンチウイルスに加えて、次のような機能を統合しています。
- VPN機能(アルティメットのみ搭載)
- パスワードマネージャー
- プライバシー保護とフィッシング防止の強化
- デバイス一元管理(ESET HOMEポータル経由)
- Windows/Mac/Android対応
これにより、個人・家族のオンライン利用環境を総合的に守る設計となっています。
ESETらしい軽快な動作はそのままに、クラウド時代のリスクに合わせた構成へと進化した形です。
ESET販売終了に関するよくある誤解
インターネット上では「ESETが日本から撤退した」「もう使えない」といった情報も見かけますが、これは誤りです。
実際には、販売終了は旧製品のみに限定されており、ESETブランドは継続しています。
また、旧バージョンでもサポート期間内はウイルス定義の更新も行われているため、すぐに危険になるわけではありません。
ただし、サポート終了後に使い続けると脆弱性が放置されるため、早めの移行がおすすめです。
ESETの価格改定と今後の展望
2025年10月には新価格が導入される予定です。機能追加とともに価格体系も見直され、より柔軟なライセンス管理が可能になります。
この動きは単なる値上げではなく、長期的に安定したサポートを維持するための施策とも言えます。
また、今後のアップデートではAIベースの検知精度向上や、クラウド管理の強化が予定されています。
ESETは引き続きキヤノンITソリューションズを通じて国内展開を続けるため、日本市場でのサポート終了予定は現時点で発表されていません。
ESET販売終了のまとめ:今後も安心して使い続けるために
ここまで見てきたように、ESETが「販売終了した」というのは一部の旧製品だけの話です。
セキュリティ対策そのものやサービス提供は今後も継続しており、新しいESET HOMEシリーズが後継として登場しています。
今後のポイントは次の3つです。
- 旧製品を利用中なら、有効期限とサポート終了日を必ず確認する
- 自動延長が停止する前に、新ラインアップへの移行を検討する
- 新しいESET HOMEシリーズの特徴を理解し、自分に合ったプランを選ぶ
販売終了のニュースに驚いた人も多いと思いますが、ESETはむしろ進化の過程にあります。
これまでの安心感はそのままに、より強力で快適なセキュリティ環境を目指して変化しているのです。
今後も公式サイトのサポート情報をチェックしながら、最新のセキュリティ環境を維持していきましょう。
