最近、「HPEのUPSが販売終了したらしい」という話を耳にした人も多いのではないでしょうか。データセンターやオフィスでの電源保護に欠かせないUPS(無停電電源装置)だけに、「入手できない」「保守はどうなる?」と不安に感じる方も多いはずです。この記事では、HPEのUPSの販売終了の背景や現在の在庫状況、後継モデル・代替機種の情報をまとめてわかりやすく解説します。
HPE UPSの販売終了は本当?公式情報を確認
まず結論から言うと、Hewlett Packard Enterprise(HPE)のUPS製品は、すでに多くのモデルが販売終了またはサービス終了の段階に入っています。
HPEの公式サポートサイトでは、UPSの主要シリーズ(R3000XRやR/T3000など)について「End of Service Life(サービス終了)」と明記されています。さらにEaton(イートン)社が公開したEOL通知では、**2023年9月1日までを最終注文期限(ラストタイムバイ)**とし、2023年12月末をもって販売完了とする内容が示されていました。
また、日本国内では2025年3月31日をもってHPEブランドのUPS(OEM品を含む)が販売終了となる旨の案内が出ています。これはHPEが直接製造しているわけではなく、APCやシュナイダーエレクトリック、EatonなどのOEM製品をHPEブランドで販売していたためです。
つまり、ブランドとしてのHPE UPSは今後新規販売を終了し、既存ユーザーへのサポート段階に移行している状況です。
販売終了の背景:HPEの戦略とOEM関係の変化
なぜHPEはUPSの販売を終了したのでしょうか。その理由は、電源装置分野からの事業整理とOEM供給契約の終了が背景にあります。
HPEは長年、自社ブランドでUPSを提供してきましたが、実際には他社(EatonやAPCなど)の製品をベースにしたOEMモデルでした。HPEとしてはサーバーやストレージなどの中核事業に注力する方針を進めており、周辺機器領域の一部を縮小しているとみられます。
一方、OEM元である各社は自社ブランドでの製品ラインを強化しており、結果的にHPEブランドでの供給を終了する形になりました。
この流れは海外でも同様で、海外フォーラムやエンジニアコミュニティでも「HPE UPSの取扱いが終了し、EatonやAPCへの切り替えを推奨された」という報告が多数寄せられています。
在庫状況:すでに入手困難、保守部品も限定的
販売終了が発表されて以降、流通在庫は急速に減少しています。代理店や販売店によっては一部のモデルを「在庫限り」として扱っていますが、新品のHPE UPSを通常ルートで購入するのは難しくなっているのが現状です。
また、サポート面でも注意が必要です。HPEのサポート文書によると、交換部品の提供は「在庫がある限り対応」とし、在庫がない場合は「後継品を優先的に提供する」としています。つまり、同一仕様の部品が必ず入手できるとは限らず、互換パーツや改良版への置き換えが発生する可能性があります。
特にUPSの心臓部であるバッテリーユニットは消耗品のため、3〜5年ごとに交換が必要です。販売終了後は純正バッテリーの調達が難しくなるため、早めに交換計画を立てておくことをおすすめします。
後継モデルと代替機:APC・Eaton・オムロンが有力候補
販売終了となったHPE UPSに代わる機種として、Eaton、APC(シュナイダーエレクトリック)、オムロンの各社が代替製品を提案しています。
Eatonの代替モデル
HPEと長年OEM関係にあったEatonは、HPE UPSの後継として「Eaton 5PX」「9PX」「9SX」シリーズなどを推奨しています。これらはラックマウント対応で、HPE製品と同等の出力・機能を備えています。
APC(Schneider Electric)の代替モデル
APCの「Smart-UPSシリーズ(SRT3000RMXJ2U、SRT5KXLJなど)」は、HPE G5シリーズの代替品として紹介されています。特にSRT3000RMXJ2UやSRT5KXLJは、HPE R/T3000やR5000モデルに近い性能を持ち、すでに日本の代理店でも「置換推奨モデル」として案内されています。
オムロンの代替提案
国内ではオムロン製UPSが法人向け代替として注目されています。オムロンはHPE UPSの置換検索サイトを開設しており、「HPEのR1500 → オムロンBYシリーズ」といった対応表を提示しています。信頼性と供給継続性の両面で安心感があります。
現在HPE UPSを使っている場合の注意点と対策
もしあなたのオフィスやサーバールームでHPE UPSを利用している場合、次の点を確認しておくと安心です。
- 型番をチェックする
機器前面や背面に記載されている型番を確認し、それが販売終了対象モデル(例:R1500 G5、R/T3000 G5など)に含まれていないかを調べましょう。 - 保守契約の内容を再確認
現在の保守契約がいつまで有効か、延長が可能か、部品供給の保証期間があるかを確認してください。保守期限を過ぎると修理費が高額になる場合があります。 - バッテリー交換のタイミングを把握
使用期間が3年以上経過している場合は、バッテリーの交換を検討しましょう。販売終了後は純正品の入手が難しくなるため、早めの対応が安心です。 - 後継モデルへの移行計画を立てる
同等仕様の他社製品への移行を検討しましょう。特にEatonやAPCの新モデルはHPE UPSの管理ソフトとも親和性が高く、導入ハードルが低いです。
法人・データセンター運用者が知っておくべきポイント
HPE UPSの販売終了は、システム全体の運用にも影響します。電源保護はITインフラの基盤であり、UPSが停止すればサーバーやストレージにもリスクが及びます。法人・データセンター運用者は次の点を意識することが重要です。
- 冗長化の再設計:UPSを単体で運用せず、並列構成やバックアップ電源を含めた冗長設計を再評価する。
- 運用ソフトの互換性:HPE Power Protectorなど、HPE純正の電源管理ソフトを使用している場合は、他社製UPSでの互換性を確認する。
- 予算計画:移行に伴うコストを早めに算出し、年度内の更新計画に組み込む。
- 中古品の利用リスク:オークションや中古市場でHPE UPSを購入するケースもありますが、サポート対象外の可能性が高く、長期的には非推奨です。
HPE UPS販売終了まとめ:今後は早めの移行がおすすめ
ここまで見てきたように、HPEのUPSはすでに販売終了フェーズに入り、流通在庫も限られています。短期的には既存機器をそのまま使い続けることも可能ですが、バッテリーや部品の入手が難しくなる前に、早めの後継機種への移行を検討するのが賢明です。
特にEatonやAPC、オムロンといった主要メーカーは、HPE UPSユーザー向けに置換モデルを積極的に案内しています。これらの機種は性能や信頼性も高く、今後の長期運用にも安心です。
停電や電源トラブルはいつ起きるかわかりません。HPE UPSをお使いの方は、この販売終了のタイミングをきっかけに、自社の電源保護体制を見直してみてください。
以上、HPEのUPSが販売終了?在庫状況と後継モデルを徹底解説しました。
