「最近、デリカD2って見かけなくなった?」そんな声を耳にした方も多いのではないでしょうか。ネット上では「販売終了した」「もう新車で買えない」といった噂も見られます。しかし、実際のところはどうなのか。今回は、三菱デリカD2の販売終了の真相や、後継モデル、再販の可能性までじっくり調べてみました。
デリカD2とは?三菱×スズキのコンパクトミニバン
まず、デリカD2という車について簡単におさらいしましょう。
デリカD2は、三菱自動車が販売する5ナンバーサイズのコンパクトミニバンで、スズキの「ソリオ」をベースにしたOEMモデルです。初代が登場したのは2011年3月。当時は「デリカ」というブランドのコンセプトをそのままに、コンパクトなボディと広々とした室内空間を両立したモデルとして人気を集めました。
その後、2015年にフルモデルチェンジ。ハイブリッド仕様や安全装備の拡充などが進み、ファミリー層を中心に一定の支持を得てきました。そして2020年12月には、現行となる3代目が登場しています。
つまり、デリカD2は長らく三菱のラインナップの中で「街乗りにちょうどいいデリカ」として存在してきた車なのです。
「販売終了した」という噂の出どころ
ではなぜ「販売終了した」という噂が出ているのでしょうか。
理由はいくつかあります。まずひとつ目は、旧モデル(2015〜2020年販売)がすでに生産終了となっていること。価格比較サイトなどでは「2020年12月で販売終了」と表記されており、これが「デリカD2全体が終了した」と誤解される原因になっているようです。
二つ目の理由は、デリカD2がOEM車であること。ソリオからの供給で成り立っているため、ソリオ側のモデルチェンジや供給契約の変更があると、デリカD2の販売に影響が出る構造になっています。自動車業界では、OEMモデルが本家モデルの改良タイミングで“整理”されるケースが少なくありません。
そして三つ目は、販売規模の小ささ。ソリオに比べるとデリカD2の販売台数は少なく、街で見かける機会も限られます。こうした“影の薄さ”が、「あれ、もう売ってないのでは?」という印象につながっているのです。
現在も販売は継続中!2025年に一部改良モデル登場
ここで重要なのは、2025年現在、デリカD2は販売終了していないという点です。むしろ、最新モデルの改良が正式に発表されています。
三菱自動車の公式サイトによると、2025年2月13日に「デリカD2/デリカD2カスタム」の一部改良モデルが登場しました。エクステリアのデザイン刷新、安全装備のアップデート、燃費性能の改善などが施されており、価格は2,101,000円から設定されています。
装備面では、電動パーキングブレーキやブレーキホールド機能、アダプティブクルーズコントロール(ACC)など、最新の運転支援機能も搭載。まさに今の時代に合わせてブラッシュアップされた仕様といえるでしょう。
つまり、「デリカD2はすでに終わった車」ではなく、「地道に改良が続いている現行車」というのが正確な現状なのです。
販売終了の噂が広がる背景
一方で、「販売終了の噂」が後を絶たないのも事実です。では、なぜそうした情報が拡散してしまうのでしょうか。
1つ目は、OEM車種という立場ゆえの不安定さです。ソリオのモデルチェンジや生産体制変更があるたびに、三菱版であるデリカD2の去就が話題になります。OEM契約の終了や生産ラインの調整があれば、三菱側が販売を取りやめる可能性も理論上はあり得ます。
2つ目は、三菱のブランド戦略の変化です。三菱自動車は近年、「アウトランダー」「エクリプスクロス」「デリカD5」などSUV寄りの車種に注力しており、ラインナップを整理する動きが見られます。そのため、コンパクト系のデリカD2が“整理候補”として取り沙汰されやすいのです。
3つ目は、電動化・安全基準強化への対応負担です。小型車ほどコスト負担が重く、OEMモデルでは改良の自由度も限られます。今後、環境対応や新基準への適合が難しくなると、販売終了を検討せざるを得ないタイミングが来る可能性もあるでしょう。
将来的に販売終了となる可能性は?
現時点でデリカD2の販売終了は確認されていませんが、将来的な「終了の可能性」はゼロではありません。
たとえば、ソリオが次期モデルをフルモデルチェンジした際にOEM供給を終了する、あるいは三菱が「デリカブランドをSUVに特化」させる方向に舵を切るなど、いくつかのシナリオが考えられます。
また、電動化の波に乗り遅れると、ガソリンエンジン車の整理対象になるリスクもあります。近年は三菱もEVやPHEVに注力しており、「デリカミニ」「ekクロスEV」など、次世代電動車の比重が高まっています。こうした戦略の中で、デリカD2がどう位置づけられるかが鍵になるでしょう。
後継モデルや次期型の可能性
「もし販売終了したら、後継モデルはどうなるの?」という点も気になりますよね。
現在のところ、三菱から「デリカD2の後継モデルを開発している」という正式発表はありません。ただ、OEM元のソリオが今後新世代プラットフォームに移行する予定で、その際には再び三菱向けに供給される可能性も残されています。
一方で、三菱が独自開発の小型電動ミニバンを検討しているという噂もあり、「デリカD2」という名前を残しつつ、将来的にはハイブリッドまたはEV仕様で再登場するシナリオも考えられます。もしそうなれば、“次世代デリカ”として再評価される日が来るかもしれません。
再販や特別仕様として復活する可能性も?
仮に一時的に販売終了となっても、復刻版・特別仕様として再登場する可能性もあります。
過去には、人気が根強い車種が「限定復活」するケースも少なくありません。デリカD2も根強いファンが多く、街乗り・子育て世代・高齢者層から支持されています。そのため、三菱がブランド価値を維持するために、特別仕様車や限定モデルを出す展開も十分にあり得ます。
また、中古市場では依然としてデリカD2の需要は高く、特にハイブリッドモデルは燃費・実用性のバランスが評価されています。「販売終了」と噂されても人気が衰えていないことは、再販の可能性を後押しする要素ともいえるでしょう。
今後の動向に注目
まとめると、デリカD2は2025年現在も販売継続中で、最新の一部改良モデルが発売されています。「販売終了」という情報は、旧モデルの生産終了やOEM供給の不安定さから派生した誤解に近いものでした。
ただし、今後の自動車業界は電動化・安全基準強化・ラインナップ再編といった要素が重なり、各メーカーが車種の見直しを進めています。その流れの中で、デリカD2が将来的に整理・再構築の対象となる可能性はあります。
いずれにしても、「販売終了の理由」を単に“売れなくなったから”と片づけるのは早計です。OEMの事情、メーカー戦略、環境規制など、複数の要因が関係しています。デリカD2が今後どのような進化を遂げるのか、あるいは「電動デリカ」として再登場するのか——その行方に注目しておきたいところです。
デリカD2が販売終了の理由は?まとめと今後の展望
最後にもう一度整理しておきましょう。
- デリカD2は2025年現在も販売継続中。販売終了ではない。
- 一部改良モデル(2025年2月)が登場し、安全・燃費性能が向上。
- 販売終了の噂は、旧モデル終了やOEM構造による誤解が原因。
- 将来的には、OEM契約や電動化戦略次第で整理・後継登場の可能性あり。
- 再販・特別仕様の形で復活するシナリオも十分にあり得る。
「販売終了した」と焦る必要はありませんが、電動化が進む今、次期モデルや新しい“デリカブランド”の展開に注目しておく価値はあります。
デリカD2がどんな形で進化していくのか――その答えは、もうそう遠くない未来に見えてくるかもしれません。
