居酒屋で超人気のレモンサワーが終売って本当?
「とりあえずレモンサワーで!」という声が飛び交うほど、居酒屋では定番中の定番になったレモンサワー。ビールよりも軽く、爽やかで食事にも合う──そんな万能ドリンクが、いま「終売」「提供終了」「見かけなくなった」と話題になっています。
SNSでは「いつも頼んでたレモンサワーがメニューから消えてた」「コンビニで全然見かけない」といった投稿も。なぜ、あれほど人気だったレモンサワーが姿を消しつつあるのでしょうか。
ここでは、終売の背景や業界の動き、そして代わりに楽しめる銘柄まで、徹底的に掘り下げていきます。
そもそも、なぜレモンサワーは居酒屋で人気なのか
レモンサワー人気の理由をひとことで言えば、「誰でも飲みやすい万能酒」。
すっきりとした酸味、炭酸の爽快感、そしてどんな料理にも合うバランスの良さが特徴です。唐揚げや焼き鳥、魚介類まで、脂っこい料理をさっぱりと流してくれる飲み心地は、まさに“居酒屋の救世主”。
さらに価格面でも優秀。ハイボールやワインより原価率が低く、提供スピードも早いため、店側にもメリットが大きい。結果、レモンサワーは「店も客も得をする」理想的な存在として居酒屋の定番に定着しました。
しかし、その定番に陰りが見え始めています。
人気のレモンサワーが終売・提供終了になっている現実
まずは、実際に「終売」や「出荷終了」になっているレモンサワーを見てみましょう。
- 発酵レモンサワー(キリンビール)
2024年11月をもって出荷終了。独自の発酵製法が話題を呼びましたが、コストや販売効率の面から姿を消すことに。 - こだわり酒場のレモンサワー〈神すっぱレモン〉(サントリー)
一部フレーバーが製造終了リストに掲載。特に高アルコール版(9度)は流通が止まり、店頭ではほとんど見かけなくなっています。 - [サッポロサワー 氷彩1984 涼しレモン仕立て](https://www.amazon.co.jp/s?k=サッポロサワー 氷彩1984 涼しレモン仕立て&tag=new39-22)(サッポロ)
サッポロビール公式の製造終了一覧に掲載。夏季限定として人気でしたが、再販の予定は未定です。
こうした“終売”は、居酒屋のメニューにも直結します。メーカーが製造を止めれば、居酒屋は仕入れができず、自然と提供終了になる。
つまり「居酒屋で消えた」は、実質的に「メーカーが終売を決めた」結果なのです。
なぜ超人気のレモンサワーが終売になるのか
人気商品がなくなるのは不思議に感じるかもしれませんが、理由は明確にあります。
メーカー、流通、そして居酒屋。それぞれの立場に「やむを得ない事情」があるのです。
1. ストロング系ブームの終焉と健康志向の高まり
かつて大ヒットしたアルコール度数8〜9%の“ストロング系レモンサワー”。しかし今では、各メーカーが相次いで販売を控える方針を発表しています。
高アルコール飲料は「酔いやすい・飲みやすい」反面、健康意識の高まりや社会的批判も増加。企業のブランド戦略上、イメージ維持のためにも見直しが進んでいます。
その結果、人気の「こだわり酒場9度」などが実質的に流通終了。レモンサワー市場全体も、“強さ”から“飲みやすさ”重視へと転換しました。
2. 原材料コストの高騰
近年、レモン果汁やスピリッツ、糖類、缶資材まで原価が急上昇しています。
輸送費・光熱費・人件費も増え、メーカーは採算が取れにくい製品を整理せざるを得ない状況。
「人気があっても利益が薄い」商品から先に終売になるのは、業界共通の現象です。
3. 居酒屋の仕入れ・提供コストの増大
居酒屋にとっても、レモンサワーは一見シンプルですが、実は管理が難しいドリンクです。
生レモンや冷凍スライスの仕入れ、カットや保管、グラスの洗浄など、手間とコストがかかります。
さらに光熱費・人件費の上昇で、1杯あたりの利益は年々圧迫。
「回転率を上げる」「ドリンクメニューを絞る」という流れの中で、扱いづらい銘柄を外す居酒屋も増えています。
4. トレンドの移り変わりとブランド再編
市場全体では、“素材系・果実感系”の新ブランドが続々登場。
「丸おろしレモン」「塩レモンサワー」「クラフトレモン」など、個性重視の方向にシフトしています。
そのため、定番銘柄であってもブランド再編やリニューアルの波にのまれ、“終売→後継商品へ”というパターンが増えています。
終売は決して人気の低下だけでなく、“次の時代に合わせた入れ替え”でもあるのです。
居酒屋での「提供終了」はどう起きるのか
メーカーが製造を止める以外にも、居酒屋が自らメニューを刷新するケースがあります。
- メニューの簡素化でドリンク数を絞る
- 新しいコンセプトドリンク(凍らせレモン・塩レモン)に入れ替え
- 酒類メーカーとの取引変更でラインナップを変更
特にチェーン系居酒屋では、仕入れルートや販売契約が大きく影響します。
同じ「こだわり酒場」でも、系列によって提供有無が異なることがあるのはそのためです。
また、飲み放題コースの見直しやコスパ重視の顧客層シフトも、提供継続を難しくしている一因です。
それでも飲みたい!代わりに楽しめるレモンサワー銘柄
「いつものレモンサワーが終売…でも、似た味を探したい」
そんな人のために、現行で楽しめる人気レモンサワーを紹介します。
1. 檸檬堂(コカ・コーラ)
レモンサワーブームの火付け役。果実をまるごと漬け込む“前割り製法”で、濃厚な果汁感が特徴。
2024年にパッケージ刷新を行い、「定番」「濃いめ」「はちみつ」などラインナップも豊富です。
甘味と酸味のバランスが良く、居酒屋でも代替導入が進んでいます。
2. こだわり酒場のレモンサワー(サントリー・現行版)
一部終売はあるものの、定番フレーバーは健在。レモンの皮ごと漬けた“旨苦い”味わいが特徴で、食中酒にぴったり。
アルコール度数は5〜7%と飲みやすく、居酒屋でも引き続き採用される人気ブランドです。
3. 氷結無糖レモン(キリン)
甘くない・食事に合うをコンセプトにした“無糖系チューハイ”の代表格。
すっきりとした後味で、唐揚げや焼き魚との相性が抜群。居酒屋メニューの「無糖レモンサワー」は、この氷結無糖レモン系がベースになっていることも多いです。
4. [サッポロ 濃いめのレモンサワー](https://www.amazon.co.jp/s?k=サッポロ 濃いめのレモンサワー&tag=new39-22)
果汁をしっかり感じるタイプで、近年人気急上昇中。
甘さ控えめ・苦味強めの“大人のレモンサワー”として、クラフトサワーブームの一角を担っています。
5. 自家製クラフトレモンサワー(居酒屋系)
多くの店舗が、既製品を使わずに自家製で仕込むスタイルに移行しています。
凍らせたレモンをグラスに詰める「丸ごと冷凍レモンサワー」や、「塩レモンサワー」「はちみつレモン」などのアレンジも人気。
原価は上がりますが、“SNS映え”する見た目とフレッシュ感で注目を集めています。
終売はショック。でも、レモンサワー文化は終わらない
確かに、居酒屋で超人気だった一部のレモンサワーは終売・提供終了になりました。
しかしそれは「ブームの終わり」ではなく、「次の段階への進化」とも言えます。
健康志向、果実感、クラフト志向。
トレンドは変わっても、レモンサワーという存在そのものは、今も飲み手の中心にあります。
むしろ各社が“次の味”“新しい体験”を模索している最中。
いま飲んでいる1杯の後ろには、常に新しい時代のレモンサワーが待っているのです。
居酒屋で超人気のレモンサワーの終売、その先にあるもの
「終売」という言葉は少し寂しい響きを持ちますが、それは市場が成熟している証拠でもあります。
消費者の嗜好が多様化し、メーカーも店も柔軟に対応するようになった今、レモンサワーは“形を変えて生き続ける酒”。
だからこそ、今しか味わえない1杯がある。
それが、居酒屋文化の楽しさでもあり、アルコールの面白さでもあります。
次に居酒屋へ行ったとき、メニューから“いつものレモンサワー”が消えていたら——。
少しだけ残念がって、そして新しい銘柄を頼んでみてください。
その1杯が、次の定番になるかもしれません。

コメント