「ナボリンEB錠が販売終了したらしいけど、なぜ？」
最近、ドラッグストアなどで「販売終了」「在庫限り」と書かれた札を見て驚いた人も多いのではないでしょうか。長年、肩こりや手足のしびれに愛用してきた方にとっては突然のニュースですよね。
ここでは、ナボリンEB錠がなぜ販売終了になったのか、その背景やメーカーの発表内容、今後の代替薬についてわかりやすく紹介します。
ナボリンEBとはどんな薬だったのか
ナボリンEB錠は、製薬会社エーザイが製造・販売していた第3類医薬品です。主成分は「メコバラミン（活性型ビタミンB12）」で、末梢神経の修復を助け、肩こり・手足のしびれ・腰痛・眼精疲労などの症状を改善する目的で販売されていました。
さらに、ビタミンB1誘導体やビタミンB6、天然型ビタミンE（酢酸d-αトコフェロール）などを配合し、血流を促し、神経の働きを整える効果をサポート。
まさに「神経と血流のWケア」をうたった製品で、疲れやしびれを感じやすい世代を中心に支持を集めていました。
長年にわたって店頭に並び、ブランドとしても知名度が高かったナボリンシリーズ。その代表格ともいえるのが、このナボリンEB錠だったのです。
突然の販売終了――メーカー公式発表の内容
エーザイは2024年2月21日付で、公式サイトにて「ナボリンEB錠 製造終了のお知らせ」を公表しました。
そこには、次のような記載があります。
「長年のご愛顧に感謝申し上げます。誠に勝手ながら『ナボリンEB錠』の製造を終了させていただくこととなりました。弊社在庫がなくなり次第、出荷終了といたします。」
つまり、メーカーの倉庫在庫をもって終了という段階的な販売終了です。
また、「本製品の代替となる商品はございません」とも明記されています。つまり、同成分・同ブランドの後継品は現時点では用意されていないということです。
ドラッグストアや通販サイトでは、その直後から「販売終了」「在庫限り」の表記が並び、入手が難しくなっています。
一部店舗にはまだ残っているケースもありますが、時間の問題といえるでしょう。
販売終了の理由は？公式発表には明記なし
気になるのは「なぜ販売終了になったのか」という点です。
メーカーの発表では、具体的な理由は明かされていません。いわゆる「企業判断による製造終了」とだけ記載されています。
ただし、医薬品業界の傾向や周辺状況を踏まえると、いくつかの背景が考えられます。
背景①：需要の減少と市場の変化
ビタミンB12を中心とした「肩こり・しびれ対策系の市販薬市場」は、かつてほどの勢いがなくなってきています。
ドラッグストアではサプリメントや機能性表示食品が充実し、消費者がより安価で自由な選択をするようになりました。
特に「メコバラミン（活性型B12）」を含む市販薬は競合が多く、価格帯やパッケージも似通っていたため、ブランドの差別化が難しくなっていたとも言われます。
エーザイとしても、販売数量が減少し続ける製品の製造ラインを維持するより、より需要の高い新製品や主力ブランドへリソースを集中させた方が合理的だったのかもしれません。
背景②：製造コストや原料価格の上昇
医薬品に限らず、ここ数年は原材料費や輸送コストが大幅に上がっています。
特に医薬品の原料は厳しい品質基準のもとで管理されているため、わずかなコスト上昇でも採算を圧迫します。
また、製造設備の維持や品質管理基準（GMP）対応など、製造コストの負担が重くなっていることも事実。
古い製品の場合、設備更新やパッケージ表示の見直しが必要になることも多く、そうしたタイミングで「製造終了」の判断が下されるケースが少なくありません。
背景③：ブランド再編・ラインナップ整理の可能性
エーザイの「ナボリン」シリーズには、ほかにも「ナボリンS錠」など複数のラインが存在します。
これらは成分や効能が似通っており、販売店でも並列して置かれていました。
そのため、ブランドを整理・集約して分かりやすくする目的で「EB」を終了させた可能性も考えられます。
実際、「ナボリンS錠」は現在も販売が続いており、メーカー公式サイトでも現行品として案内されています。
背景④：法規制・表示基準の変更
医薬品の広告や表現に関する規制は年々厳しくなっています。
特に「神経修復」「しびれ改善」といった効能をうたう場合、成分のエビデンスや臨床データ、表示基準の見直しが必要になることがあります。
製品の更新や再承認手続きが必要になった際に、コストや労力の面で継続が難しくなることもあります。
これは多くの老舗医薬品が販売終了する際によく見られる背景です。
ナボリンEBの販売終了で困っている人へ
突然の販売終了で「どうすればいいの？」と戸惑う方も多いと思います。
まず知っておきたいのは、すぐに同じ成分の後継品があるわけではないという点です。
ただし、類似成分を配合した市販薬は複数存在します。
代替として検討できる市販薬
ナボリンEB錠と同様に、活性型ビタミンB12を中心とした市販薬はいくつかあります。
代表的なものを挙げると以下の通りです。
- ナボリンS錠（エーザイ）
メコバラミン、ビタミンB1誘導体（フルスルチアミン塩酸塩）、ビタミンB6、葉酸、ビタミンEを配合。肩こりやしびれ、眼精疲労などに対応。 - アリナミンEXゴールド（アリナミン製薬）
活性型ビタミンB群をバランスよく配合し、疲れや神経痛、腰痛の改善をサポート。 - エビオスビタミンB12プレミアム（エビオス製薬）
メコバラミンを中心に、B群全体を補える処方。日常的な疲労感やしびれの改善に向く。
これらはあくまで「似た目的・成分構成を持つ」一般用医薬品であり、完全な代替品ではありません。
成分量や効能の範囲が異なるため、使用前には薬剤師や登録販売者に相談することが大切です。
ナボリンEBの在庫はまだ手に入る？
すでにメーカー生産は終了しているため、店頭やオンラインショップに残っている在庫が最後となります。
一部のドラッグストアやECサイトでは、まだ販売されている場合がありますが、今後は徐々に姿を消していく見込みです。
もし使い慣れていて今後も使用したい方は、在庫のあるうちに確保しておくのも一つの方法です。
ただし、医薬品には使用期限があるため、まとめ買いしすぎないよう注意しましょう。
使用中の方への注意点
ナボリンEB錠をすでに服用している場合は、手持ちの分を使い切って問題ありません。
ただし、症状が改善しない・しびれが長引く・強い痛みが出るなどの際は、自己判断で継続せずに医療機関を受診することをおすすめします。
手足のしびれや神経痛には、糖尿病性神経障害や椎間板ヘルニアなど、病院での治療が必要なケースもあります。
市販薬で改善しないときは、早めに専門医へ相談しましょう。
今後のナボリンブランドはどうなる？
現時点でエーザイは、ナボリンEB錠に代わる新製品や後継品の発売を発表していません。
しかし「ナボリンS錠」や「ナボリンプレミアム」などの関連製品は継続中であり、シリーズ自体が消滅したわけではありません。
今後、ラインナップ再編や新しいフォーミュラの登場があるかもしれませんが、しばらくは現行製品を中心に展開されると見られます。
ナボリンEBが販売終了の理由は？まとめ
ナボリンEB錠の販売終了は、2024年2月にエーザイが公式発表したもので、理由は明らかにされていません。
ただし、市場の縮小、製造コストの上昇、ブランド統合など複数の要因が重なった可能性が高いと考えられます。
現時点でメーカー公式の代替薬は存在しませんが、同じビタミンB12を含む「ナボリンS錠」や「アリナミンEXゴールド」などが代替候補になります。
症状や体質によって合う製品は異なるため、薬剤師に相談しながら選ぶのが安心です。
肩こりや手足のしびれを感じる人にとって、ナボリンEB錠は頼れる存在でした。
その役目を引き継ぐ製品を探しながら、これからも自分の体調と向き合っていきたいですね。
