「ストラテラを飲んでいるけど、どうも合わない気がする」「供給が不安定で手に入りにくい」「副作用がつらい」──そんな悩みを抱えている方は少なくありません。
この記事では、ADHD治療薬として知られる**ストラテラ(アトモキセチン)の代替品を一覧で紹介し、それぞれの効き目・副作用・費用面の違い**を比較しながらわかりやすく解説します。
ストラテラとはどんな薬?特徴と課題を整理
まずは、代替薬を考える前にストラテラがどんな薬なのかを理解しておきましょう。
ストラテラは、ADHD(注意欠如・多動性障害)の治療に使われる「非中枢刺激薬」で、アトモキセチンという成分が脳内のノルアドレナリン濃度を高め、注意力や集中力を改善する働きを持ちます。
ストラテラの特徴は、依存性が少なく、コンサータなどの刺激薬と違って急激な覚醒作用がない点です。そのため、じわじわと効果が出る“穏やかな薬”として多くの人に処方されています。
一方で、いくつかの課題も指摘されています。
代表的なのが、副作用と効果の発現の遅さです。
吐き気や食欲不振、眠気、頭痛などが比較的多く報告されており、服用を続けにくい人もいます。さらに、効果が出るまでに数週間から数か月かかるため、「合っているのかわからない」と不安になることもあります。
近年では、供給の不安定さから薬局で入手が難しいケースもあり、「代替薬に切り替えたい」という相談が増えています。
ストラテラの代替薬として使われる代表的な3つの薬
ここからは、現在日本で処方可能な**ストラテラの代替薬候補**を紹介します。
それぞれの薬には特徴があり、「どの症状に強いか」「副作用の傾向」「費用の違い」を理解することが大切です。
インチュニブ(グアンファシン)|非刺激薬でストラテラに最も近い存在
ストラテラと同じく非刺激薬として分類されるのが「インチュニブ」です。
ストラテラがノルアドレナリンの“再取り込み”を防ぐのに対し、インチュニブはα2A受容体を刺激して神経の過活動を落ち着かせる働きを持ちます。
つまり、どちらも「落ち着きのない思考や衝動性を抑える」効果がありますが、アプローチが少し異なります。
インチュニブは、多動性や衝動性が強いタイプのADHDにより効果を発揮する傾向があります。
眠気、血圧低下、だるさといった副作用が出ることもありますが、依存性がなく長期的に使いやすい薬です。
費用は1錠あたり150〜200円前後(容量により変動)とやや高めですが、効果が安定している点で支持されています。
コンサータ(メチルフェニデート)|即効性が高い刺激薬タイプ
「すぐに集中力を高めたい」「朝から仕事や勉強に集中できるようになりたい」という人に処方されるのが**コンサータ**です。
こちらはストラテラとは異なり、中枢神経刺激薬に分類されます。ドパミンやノルアドレナリンの働きを活性化し、集中力・注意力を高める効果が短時間で現れます。
服用後1〜2時間ほどで効果を実感しやすく、日中のパフォーマンス向上に役立つ一方で、食欲低下や不眠、心拍数上昇などの副作用が起きやすい傾向があります。
また、刺激薬のため依存性リスクがあり、処方には医師の登録制度(コンサータ登録医制度)が必要です。誰でも簡単に処方できる薬ではない点に注意が必要です。
薬価は1錠あたり約130〜150円程度で、比較的安価ですが、服用管理は慎重に行う必要があります。
ビバンセ(リスデキサンフェタミン)|小児・若年者向けの新しい刺激薬
ビバンセはコンサータと同じく刺激薬に分類され、ドパミンとノルアドレナリンの放出を促すことでADHD症状を改善します。
最大の特徴は、「徐放型(体内でゆっくり作用する)」であること。
コンサータよりも穏やかに効き、効果が長く続く点が評価されています。
ただし、日本では小児・若年者向けに限定されているため、成人の代替薬としては使えないケースが多いです。
眠気や食欲減退、口の渇きなどが副作用として報告されています。
費用は1日あたり200〜250円前後と高めですが、子どもにとっては負担の少ない選択肢のひとつです。
海外や研究で注目される非刺激性の代替薬
日本では未承認ですが、海外で「ストラテラの代替」として注目されている薬もあります。
代表的なのが**ビロキサジン(Qelbree)**です。
アメリカでは2021年にADHD治療薬として承認され、アトモキセチンに似た作用を持ちながらも、より副作用が少ないとされています。
また、抗うつ薬の中にはADHD症状を軽減する可能性があるものも存在します。
三環系抗うつ薬(デシプラミン、イミプラミンなど)はかつてADHD治療に使われたことがあり、現在も一部で代替として検討される場合があります。
ただし、これらは**オフラベル(適応外使用)**となるため、必ず医師の判断が必要です。
効果・副作用・費用を比較してわかる選び方のポイント
代替薬を選ぶときは、「どんな症状を改善したいのか」を軸に考えることが大切です。
- 不注意が主なタイプ
→ ストラテラ、インチュニブなど非刺激薬が合いやすい - 多動性・衝動性が強いタイプ
→ コンサータ、ビバンセなど刺激薬系が有効 - 副作用に敏感な人、刺激薬が不安な人
→ ストラテラやインチュニブを優先 - 即効性を求める人
→ コンサータが第一候補 - 供給不足でストラテラが手に入らない場合
→ インチュニブまたはコンサータに切り替え検討
副作用の出方は個人差が大きく、薬ごとに「合う・合わない」があります。
たとえばストラテラで吐き気が強くても、インチュニブに変えたら落ち着く人もいますし、その逆もあります。
自己判断で切り替えるのではなく、主治医と相談しながら少しずつ調整することが重要です。
ストラテラと代替薬の費用感(目安)
保険診療の場合、自己負担3割として計算した場合の一般的な目安は以下の通りです(2025年時点の薬価を参考)。
いずれも長期的に使う薬なので、費用負担も無視できません。
経済的な側面も踏まえて、医師と相談するのがおすすめです。
代替薬を検討する際の注意点
ストラテラの代替薬を検討する際、次のポイントに注意してください。
- 薬の種類によって作用機序が異なる
→ ストラテラと同じような「効き方」にはならない場合がある - 副作用の傾向が違う
→ 眠気や吐き気、血圧低下、心拍数上昇など、薬ごとにリスクが異なる - 処方制限や年齢制限がある
→ コンサータ・ビバンセは特定医師の登録が必要 - 中止・切り替えは必ず医師と相談
→ 自己判断での中断は、症状の悪化や離脱症状を招く可能性がある
特にADHD治療薬は、脳内の神経伝達物質に直接作用するため、医師の管理下で慎重に扱う必要があります。
ストラテラ代替薬の選び方まとめ
最後にもう一度、代替薬選びのポイントをまとめます。
- ストラテラが合わない・入手できない人は、同じ非刺激薬のインチュニブが第一候補
- 即効性を重視する人は、刺激薬タイプのコンサータが有力
- 子どもや若年者の場合は、ビバンセも選択肢のひとつ
- 副作用がつらい場合は、医師に伝えて容量を調整したり、薬を変える判断をしてもらうことが大切
それぞれの薬にメリット・デメリットがあり、「万人に合う薬」は存在しません。
大切なのは、自分の生活リズムや症状のタイプに合わせて、主治医と一緒に最適な薬を探すことです。
ストラテラの代替品一覧|自分に合う治療を見つけるために
ストラテラの代替薬は複数ありますが、それぞれ特徴や副作用、費用が異なります。
「薬が合わない」「供給が不安定」と感じたら、焦らず医師と話し合い、最適な治療法を見つけましょう。
薬を替えることは、決して“あきらめ”ではなく、“より自分に合う選択を探すプロセス”です。
ストラテラの代替品を正しく理解し、あなたの生活に寄り添う治療を見つけていきましょう。
