クラウド会計ソフトとして多くの個人事業主や中小企業に利用されている「freee」。
ここ最近、「freeeが値上げした」というニュースやSNSでの反応を見かけた人も多いのではないでしょうか。
実際、2024年後半から2025年にかけて、freeeは個人・法人向けの料金を段階的に改定しています。
この記事では、その「値上げの理由」や「背景にある業界の動き」、そして「今後の影響」について、わかりやすく解説します。
freeeの料金改定はいつから?具体的な値上げ内容
まず押さえておきたいのが、いつ、どのプランが値上げされたのかという点です。
個人事業主向けプラン
2024年12月2日から、個人事業主向けの「freee会計」プラン料金が改定されました。
たとえば、スタータープランは月額1,480円(税抜)から1,780円(税抜)に、スタンダードプランは2,680円から2,980円へと上昇。
この改定は新規契約者だけでなく、既存の契約者にも更新時から適用される仕組みです。
App StoreやGoogle Play経由で課金している場合も同様で、税込み価格で数百円ほどの上昇が見られます。
法人向けプラン
さらに大きな変更があったのは法人向けプランです。
2024年7月から、従来の「ミニマム」「ベーシック」「プロフェッショナル」「エンタープライズ」といった4段階体系を廃止し、新たに5種類の新プランに再編。
たとえば、旧「ベーシック」相当のプランでは月額3,980円から5,480円前後へと上昇したケースもあります。
料金だけでなく、プランの構成や機能範囲も見直されたため、単なる値上げではなく「料金体系の再構築」といえる内容です。
値上げの背景にあるfreeeの公式な説明
「なぜ今、値上げをしたのか?」
freeeの公式発表では、その理由を次のように説明しています。
- 制度改正への継続対応コスト
- インボイス制度、電子帳簿保存法など、会計まわりの法令対応が急速に変化している。
- これに追随するための開発・維持コストが上昇している。
- AI・自動化技術の導入・改善
- freeeはAI仕訳やレシートOCRなど、自動化機能を強化しており、これらの開発に継続的な投資が必要。
- ユーザー価値向上のための投資
- UX(使いやすさ)の改善、セキュリティ強化、サポート体制の拡充といった「サービス全体の品質向上」を理由として掲げている。
つまり、freeeの値上げは「コスト増の転嫁」ではなく、「サービス改善・制度対応の持続性」を目的としたものと説明されています。
会計ソフトという性質上、法改正対応を怠ればユーザーに直接不利益が出るため、継続投資のための価格見直しは避けられなかったというわけです。
ユーザーの反応 ― 「理解できる」「高すぎる」で賛否両論
値上げに対するユーザーの反応は大きく分かれています。
肯定的な声
- 「これまでが安すぎた。ここまで機能が増えてこの値段なら妥当」
- 「サポートが改善されたので、むしろ安心して使えるようになった」
- 「インボイス対応も自動化されているから手間が減った」
など、提供価値の向上を評価する声も多いです。
特に税務知識が少ない個人事業主にとって、法令対応がワンクリックで済む利便性は価格以上の価値を感じるポイントになっています。
否定的な声
一方で、値上げと同時に「一部機能が制限された」という不満も出ています。
- 「口座連携の上限が変わった」
- 「料金が上がったのに、前より不便になった気がする」
- 「年額プランとの差額が大きくて乗り換えを検討中」
といった口コミも散見されます。
こうした不満は、「単なる値上げではなく“改定”の過程で仕様が変わった」ことへの混乱が背景にあります。
値上げの裏にある業界全体の構造変化
freeeの値上げを単体で見ると「企業都合の価格上昇」に見えるかもしれません。
しかし、実際にはSaaS(クラウド型ソフトウェア)業界全体で同じような流れが進んでいます。
市場の成熟と競争環境の変化
クラウド会計ソフトの市場は、かつての“導入拡大期”から“定着・高度化フェーズ”に入っています。
つまり、「安く広げる」段階から「品質で選ばれる」段階に移ったということです。
そのため、価格競争から価値競争へとシフトしており、各社ともプレミアムプランの強化や付加価値サービスに力を入れています。
freeeも例外ではなく、「料金の適正化」として値上げを行った側面があります。
技術・法対応コストの増大
インボイス制度や電子帳簿保存法の導入によって、クラウド会計サービスは単なる帳簿管理ツールから「法令対応プラットフォーム」へと進化しています。
法改正があるたびにアップデートを求められる環境では、一定のコスト上昇は避けられません。
freeeが値上げの理由として「制度対応の継続的投資」を強調しているのも、この構造的な変化に基づいています。
競合との比較とfreeeの戦略的立ち位置
競合としてよく比較されるのが「マネーフォワードクラウド会計」です。
マネーフォワードも過去数年で段階的に料金を改定しており、freeeだけが特別というわけではありません。
ただし、両社のアプローチには違いがあります。
- freeeは「操作のシンプルさ」と「法対応の自動化」を重視。
- マネーフォワードは「データ連携の幅広さ」と「法人機能の拡張性」を強みとしています。
この違いから、freeeは「会計初心者でも迷わず使えるクラウドソフト」としてのポジションを維持しつつ、法人領域にも広げる戦略をとっています。
その結果、ユーザー層が拡大し、より多様な機能要求に応える必要が出てきたのも値上げ要因の一つです。
値上げがもたらす今後の影響
freeeの値上げは、単なる価格改定にとどまらず、今後のSaaS業界全体の方向性を示すシグナルでもあります。
1. 個人事業主のコスト意識が高まる
これまで「安くて便利」だったfreeeに対し、「コストに見合う価値があるか」を見極める動きが広がるでしょう。
一部ではマネーフォワードや弥生オンラインへの乗り換え検討も増えています。
2. freeeの収益性と開発投資が強化される
企業側としては、値上げによって安定的な収益基盤を確保でき、AI分析機能や連携サービスなどの開発に再投資できるメリットがあります。
結果的に、長期的にはユーザー体験の向上につながる可能性もあります。
3. 法令対応のスピードアップ
2025年以降も法改正が続く見込みのなかで、迅速なアップデートができるかどうかは大きな差別化要因になります。
freeeはこの点を強みに、クラウド経理・労務・人事を一体化したサービス展開を進めていくとみられます。
これからの利用者が取るべき対応
値上げの波にどう向き合うべきか。ポイントは3つです。
- 現在のプランを見直す
不要な機能が多い場合、より低いプランに変更することでコストを抑えられる場合があります。 - 年額契約の検討
freeeは年額払いの方が割安です。長期的に利用する予定があるなら、年間契約を選ぶのも一つの方法です。 - 代替サービスと比較する
freeeに限らず、他社サービスも制度対応や料金体系を頻繁に更新しています。乗り換え前に機能差と移行コストを比較しておくと安心です。
freeeが値上げする理由を改めて整理すると
freeeが値上げする理由は、単なるコスト上昇ではありません。
- インボイス制度や電子帳簿保存法などの法改正対応
- AI・自動化機能の強化
- 継続的なサービス品質の改善
これらを持続的に行うための「構造的な価格見直し」です。
確かに、月額数百円の違いでも長期的には大きな負担になります。
しかし、その裏側ではユーザー体験を向上させ、法制度に確実に対応できる仕組みが整いつつあります。
freeeの値上げは、クラウド会計市場が“次の段階”に進んだ証ともいえるでしょう。
価格だけでなく、「自分の業務にどれだけ時間を生むサービスか」を基準に選ぶ時代に変わりつつあります。
