こんにちは。そろそろ家の火災保険の更新が近づいてきた方、更新のお知らせを見て「え、こんなに上がるの?」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。
実は今、火災保険の保険料が全国的に大きく値上がりしています。何気なく更新していたら、前回の契約時から倍近くになっていた…なんてケースも珍しくありません。
でも、どうしてこんなに上がっているのでしょう?理由がわからないと、対策のしようもありませんよね。
そこで今回は、火災保険がなぜ値上げされるのか、その具体的な要因と今後の見通しについて、できるだけわかりやすくお話しします。この記事を読めば、値上げの背景が理解でき、ご自身の保険を見直すためのヒントも得られるはずです。
火災保険料が上がるのは当たり前?実は複雑な理由が重なっている
「火災保険料が上がっている」と一口に言っても、その理由は一つではありません。いくつもの社会的・経済的な変化が複雑に絡み合って、保険料に影響しているんです。
簡単に言えば、保険会社が将来支払うかもしれない「リスク」が高まり、そのリスクに備えるための「原資」を集める必要が強まっているからです。
具体的には、自然災害の多発、建物の老朽化、建築費の高騰など、さまざまな要素が組み合わさっています。一つひとつ見ていきましょう。
最大の要因は「自然災害の激甚化」と「支払いの急増」
まず何と言っても、これが最大の原因です。火災保険は「火災」だけでなく、台風、大雨、洪水、竜巻、雹など、多くの自然災害による損害を補償しています。つまり、契約するたびに「火災だけじゃなく、色んな災害も補償しますよ」という広い保障(補償)を買っているわけです。
近年、気候変動の影響か、台風の強大化や線状降水帯による集中豪雨など、大規模な自然災害が日本列島を毎年のように襲っています。記憶に新しい大規模水害も何度かありましたよね。
その結果、保険会社が支払わなければならない「保険金」の総額が激増しています。報道でも伝えられていましたが、ある年度の支払総額は1,360億円を超えたこともあります。保険会社は、集めた保険料を元手に将来の支払いに備えているので、過去の支払い実績が悪化すれば、将来に備えて保険料を引き上げるのは必然的な流れです。
「地球温暖化」という大きな問題が背景にあるため、この傾向は当分続くと考えられます。これが保険料値上げの根本的な「圧力」となっています。
大きな転換点!「水災補償」の考え方が大きく変わった
2024年10月に、火災保険の世界で大きな制度変更がありました。それが「水災料率の細分化」です。これが、皆さんの保険料に直接、そして大きく影響している可能性が高いです。
これまで、水災(洪水や土砂災害など)の保険料率は、リスクの高い地域も低い地域も、全国でほぼ一律でした。でも、よく考えてみると、河川のすぐそばの家と高台の家では、洪水のリスクは全然違いますよね?
この不公平感や、リスクの高い地域にお住まいの方々の負担感を解消するため、新制度では、市区町村単位で水災リスクを5段階に評価し、保険料率を細かく分けることにしたのです。
リスクが最も低い「1等地」 と、最も高い「5等地」 では、水災部分の保険料に最大で約1.2倍の差がつくようになりました。
つまり、浸水リスクの高い地域では保険料が大きく上がり、逆に高台など安全な地域では上がり幅が小さく済む、あるいは変わらないケースも出てきたのです。この変更は、お住まいの場所によって値上げの影響に「地域格差」を生み出す大きな要因になりました。
見落としがちなリスク「建物の老朽化」と「建築費の高騰」
自然災害だけではありません。私たちの家そのものの「経年劣化」も保険料に影響しています。
日本の住宅は、築30年、40年を超えるものが増えています。古い家では、給排水管の劣化による水漏れ事故や、設備の故障・汚損といったトラブルが起こりやすくなります。
そこで保険会社は、この「老朽化リスク」を保険料に反映させるため、築年数別の料率を導入するところが増えています。新築や築浅の家には割引を適用する一方で、築年数が経過した家の保険料は段階的に引き上げていく仕組みです。「古い家ほど修理リスクが高い」という現実を、公平に負担してもらおうという考え方です。
もう一つ、忘れてはならないのが「物価上昇」、つまりインフレの影響です。
火災保険で設定する「保険金額」は、家が全焼した場合に、同じ家を建て直すのに必要な費用(再調達価額)を基準にします。近年、建築資材(木材、鉄鋼など)や職人さんの人件費が大きく上がっています。
5年や10年前に設定した保険金額では、今の建築費をカバーできず、万一の時に「修理費用が足りない」という事態になりかねません。そのため、保険金額そのものを引き上げる必要が出てきて、それがそのまま保険料の増加につながっているのです。
契約期間が短くなったことで感じる「値上げショック」
皆さんは、火災保険の契約期間がどれくらいか覚えていますか?実はこれも、値上げを実感する一因になっています。
以前は住宅ローンに合わせて最長36年契約も可能でしたが、自然災害リスクの予測が難しくなったため、まず最長10年、そして2022年10月からは最長5年にまで短縮されました。
長期契約には「長期割引」という保険料を抑えられる大きなメリットがありました。しかし、契約期間が5年に短くなったことで、この割引効果自体が縮小してしまったのです。
特に、以前10年契約で割引を受けていた方が、次に5年契約で更新する時は、割引の縮小に加えて、この数年の間に積み重なった基本料率の上昇分が一気に反映されるため、「急に高くなった!」と感じる方が多いのです。
値上げの直接的な引き金「参考純率」の大幅改定
火災保険料の計算のベースとなる「参考純率」というものがあります。これは、過去の膨大な損害データから「将来の支払いにいくら必要か」を計算した、公的な基準となる料率です。
この参考純率が、自然災害の多発や物価上昇を反映して、近年繰り返し引き上げられてきました。中でも、2023年6月に発表され、2024年10月から適用が始まった改定は、全国平均で13.0%アップという、過去10年で最大の上昇率でした。
この公的な基準値そのものが大きく上がったことが、昨今の保険料値上げの直接的な「引き金」となっているのです。
地域・家の条件でこんなに違う!値上げの影響
ここまでの要因が複雑に組み合わさった結果、保険料の値上げ幅はお住まいの条件によって大きく異なります。
- 地域差:先ほどの「水災リスク細分化」の影響が最も大きく、河川沿いや浸水想定区域に家がある場合は大幅アップ、高台では比較的抑えられるという格差が生まれています。
- 構造差:一般的に、鉄筋コンクリート造のマンションは木造一戸建てより基本料率が安い傾向がありますが、マンション特有のリスク(上の階の水漏れなど)もあるため、一概にどちらが得とは言えません。
- 築年数差:築年数別料率により、築浅の家は割引が受けられる一方、築20年以上の家は保険料が上がる傾向にあります。
このため、同じ地域でも、家の条件次第で値上げ幅に大きな差が出ているのが現状です。
さらに来る?「2025年問題」と今後の見通し
残念ながら、この保険料上昇の傾向は、しばらく続くと見られています。自然災害のリスクが減る兆しはありませんし、世界的な物価の動向も不透明です。
特に注意したいのが「火災保険の2025年問題」です。2015年〜2016年に「10年契約」を結んだ大量の契約が、2025年〜2026年に一斉に満期を迎えます。これらの契約者は、過去10年分の参考純率上昇分を一気に負担することになるため、更新時に大きなショックを受ける方が続出すると予想されています。
どう備える?家計を守るための賢い見直しポイント
ここまで、値上げの理由をお伝えしてきましたが、「ただ高い保険料を払い続けるしかないの?」と不安になった方もいるでしょう。安心してください。ご自身でできる対策はいくつもあります。
1. まずは「水災補償」を冷静に検討する
ご自宅の水災リスクを、市区町村の「洪水ハザードマップ」などで客観的に確認しましょう。マンションの中高層階で、土砂災害の危険もない「リスク低」エリアなら、水災補償を外す選択肢もあります。その場合、保険料はかなり抑えられるでしょう。ただし、都市型水害(内水氾濫)のリスクも忘れずに。
2. 「免責金額」を活用して保険料をコントロール
「免責金額」とは、損害が出た時に自己負担する金額のことで、これを設定すると保険料が割引になります。「0円」から「5万円」や「10万円」に上げるだけで、年間数千円〜2万円近く安くなることも。小さい損害は自分でカバーし、大きな災害に備えるという考え方です。
3. 保険金額を「今の再建費用」に合わせる
保険金額を安くすれば保険料は下がりますが、万一の時に再建費用が足りなくなる危険があります。逆に高すぎると無駄な保険料を払うことになります。保険会社が提示する「再調達価額」(今、同じ家を建て直す費用)を基準に、適正な金額を設定しましょう。
4. 適用できる「割引」は全て利用する
見落としがちですが、オール電化住宅や省令準耐火住宅、ホームセキュリティ設置、さらにはインターネットでの申し込みなど、様々な割引制度があります。ご自宅の条件を確認し、適用されていない割引がないかチェックしましょう。
5. 更新の半年前から「見積もり比較」を始める
保険料や補償内容は保険会社によってかなり違います。更新時期が来る半年前頃を目安に、現在の契約内容をメモし、最低3社以上から見積もりを取って比較することを強くお勧めします。特に「2025年問題」に該当する方は、早めの行動がカギです。
まとめ:知ることから始める、賢い保険選び
いかがでしたか?火災保険がなぜ値上げされるのか、その背景には、気候変動という地球規模の問題から、住宅の老朽化、物価上昇、そして制度改正まで、実にさまざまな要因が重なっていることがお分かりいただけたと思います。
この流れは当分続くでしょう。ですから私たちにできるのは、ただ保険料の高騰に戸惑うのではなく、「自分たちのリスクは何か」「必要な補償は何か」を考え、能動的に保険という「備え」をマネジメントすることです。
更新通知が来てから焦るのではなく、今のうちにご自宅のハザードマップを確認したり、現在の契約内容を確認したりする時間を作ってみてください。時には、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのも一手です。
リスクと備えのバランスを自分で考えることが、家計を守り、本当の安心につながります。この記事が、その第一歩の参考になれば幸いです。
