「ぬまっちゃが終売って本当?」
そんな声がSNSを中心に広がったのは、2024年秋のことでした。
静岡県沼津市のご当地緑茶として長年親しまれてきた「ぬまっちゃ」。観光土産としても人気で、ラブライブ!サンシャイン!!とのコラボ缶などでも知られていました。
そんなローカルブランドがなぜ姿を消すことになったのか。その背景と、今後の再販・代替商品について詳しく紹介します。
ぬまっちゃとは?沼津発のご当地緑茶ブランド
「ぬまっちゃ」は、静岡県沼津市周辺で育てられた茶葉を使用した缶入り緑茶飲料です。
生産・販売を行っていたのは、JAふじ伊豆(旧JAなんすん)で、愛鷹山麓の豊かな自然の恵みを受けた「ぬまづ茶」を100%使用。香ばしくまろやかで、後味すっきりとした味わいが特徴でした。
観光地・沼津港や内浦地区の土産店では定番商品となり、地元民だけでなく観光客にも人気。特にアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台となったことで注目度が急上昇し、コラボデザイン缶が発売されるなど、一躍“聖地土産”の代表格となりました。
しかし、そんな人気商品にも終焉が訪れます。2024年9月、JAふじ伊豆の公式サイトで「ぬまっちゃ終売」のお知らせが発表されたのです。
ぬまっちゃが終売になった理由
1. 茶葉生産の減少と需要低下
ぬまっちゃが販売終了に至った最大の背景は、静岡県内のお茶産業の縮小と需要低下です。
全国的にペットボトル茶市場が飽和し、緑茶そのものの消費量が減少しています。
実際、沼津市の緑茶生産額は2014年の約7億6,000万円から、2023年には約3億9,000万円まで半減。
高齢化や担い手不足も深刻で、安定的に茶葉を確保し続けることが難しくなっていました。
一方で、大手メーカーの安価な緑茶飲料がコンビニ・スーパーを席巻し、地域ブランド飲料は流通・製造コスト面で不利な立場に。
こうした“お茶離れ”の波は、地元商品にも容赦なく押し寄せていました。
2. ブランド刷新による再編成
JAふじ伊豆は2022年に発足した新しい農協組織で、旧JAが統合された形で誕生しました。
統合後、商品ラインアップやブランド戦略の見直しが進み、地域特産品の再構築を図る中で「ぬまっちゃ」も整理対象となったと考えられます。
代わりに登場したのが、**「ふじぃーず彩々 緑茶ボトル缶」**という新ブランド。
この商品は管内で栽培された一番茶を100%使用し、1本あたり3円を茶産地振興に還元する仕組みを採用。
“お茶を飲んで地域を応援する”という新しいコンセプトが打ち出され、実質的に「ぬまっちゃ」の後継に位置付けられました。
3. 缶飲料市場の変化とコスト負担
ぬまっちゃは長らく缶入り飲料として販売されてきましたが、
缶製品はペットボトルよりも製造・輸送コストが高く、地域規模の販売では採算を取りにくいのが現実です。
物流費の高騰や、地元限定流通によるスケールの限界も重なり、継続販売が難しくなったとみられます。
さらに、缶飲料は保存・在庫管理の負担も大きく、販売店側でも扱いが減少傾向にありました。
こうした流通環境の変化も、終売の判断に影響したと考えられます。
「ぬまっちゃ」ブランドは消えていない?ぬまっちゃ粉末緑茶として復活
「ぬまっちゃがなくなるのは寂しい」という声が上がる中、朗報もありました。
実は、**“ぬまっちゃ”の名前を冠した新商品「ぬまっちゃ粉末緑茶」**が2024年9月14日に登場しています。
この粉末タイプは、沼津産茶葉を100%使用し、これまでの味わいを家庭でも手軽に楽しめる形で再構成したもの。
お湯や水に溶かすだけで飲めるほか、スイーツや料理へのアレンジにも使える万能タイプです。
パッケージデザインには、従来のぬまっちゃのロゴやカラーを引き継ぎ、“ブランドの灯を絶やさない”という想いが込められています。
地元JAの直売所やオンラインショップでも販売されており、「飲料としてのぬまっちゃは終わっても、ブランドは生き続けている」と言えるでしょう。
後継商品「ふじぃーず彩々 緑茶ボトル缶」もチェック
ぬまっちゃの後継とされるのが、2024年6月に発売された**「ふじぃーず彩々 緑茶ボトル缶」**です。
この商品はJAふじ伊豆が手掛ける新たな地域茶飲料で、静岡県東部の富士山南麓エリアで育てられた一番茶を使用しています。
まろやかな旨味と香ばしい香りを両立した味わいが特徴で、飲み口はスッキリ。
ラベルには再びラブライブ!サンシャイン!!とのコラボデザインが採用され、観光土産としても注目を集めています。
しかも、1本につき3円が茶産地振興に活用される仕組みになっており、「地域で飲み、地域を支える」新しい取り組みとして話題になりました。
価格は1本140円前後(400g缶)。24本入りケースの販売もあり、通販での取り扱いも始まっています。
観光地・沼津を訪れた際には、売店や道の駅などで「ぬまっちゃの次世代版」として探してみると良いでしょう。
静岡茶を取り巻く現状と課題
ぬまっちゃ終売の背景には、静岡県全体の茶産業の厳しい現状があります。
かつて日本一の生産量を誇った静岡県ですが、近年は鹿児島県に首位を譲り、茶栽培面積も年々減少。
2025年には前年から9%以上縮小する見通しというデータも報じられています。
要因は、後継者不足・原材料コストの上昇・気候変動による品質変化など多岐にわたります。
一方で、健康志向や地産地消の流れを追い風に、**「地域ブランド茶を守る」「小ロットでも高品質を届ける」**という動きも強まっています。
JAふじ伊豆が打ち出した「ふじぃーず彩々 緑茶ボトル缶」や「ぬまっちゃ粉末緑茶」は、
こうした時代の変化に対応した“地域再生型プロジェクト”の一環でもあるのです。
ぬまっちゃを愛した人たちへ
SNSを見ても、「最後にもう一度飲みたい」「沼津旅行の思い出が詰まった味」という声が多数寄せられています。
ぬまっちゃは、単なる飲料ではなく“沼津という土地の象徴”として、多くの人の心に残る存在でした。
終売というニュースには寂しさが伴いますが、ブランドが完全に消えたわけではありません。
新たな形で地域と共に歩む商品へと進化しているのです。
もし今も「ぬまっちゃ」を探している人は、JAふじ伊豆の直売所や地元土産店で在庫を見かけたらぜひ手に取ってみてください。
そして、次世代ブランド「ふじぃーず彩々 緑茶ボトル缶」や「ぬまっちゃ粉末緑茶」も合わせてチェックしてみましょう。
沼津の風土が育んだお茶の魅力を、これからも味わい続けることができます。
ぬまっちゃ終売まとめ:理由と今後の展望
ぬまっちゃの終売理由は、
- 茶産業の縮小と需要減少
- ブランド刷新による再構成
- 缶飲料市場のコスト課題
といった複合的な要因が重なった結果です。
しかし、終売は“終わり”ではなく“始まり”でもあります。
ぬまっちゃ粉末緑茶やふじぃーず彩々 緑茶ボトル缶といった後継商品を通じて、「沼津茶」の名はこれからも受け継がれていくでしょう。
静岡茶の歴史の一部として、そして地域を支える新たなブランドとして──
ぬまっちゃは形を変えて、これからも私たちのそばにあり続けます。

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