「イエロー・ローズ・オブ・テキサス」というバーボンをご存じでしょうか。かつて日本でも人気を集めた、ケンタッキー産のストレートバーボンです。ラベルの色ごとに熟成年数が異なり、青・緑・黄・赤という4種が存在したことで知られています。ところが近年、このウイスキーを店頭で見かけなくなったという声が増え、「終売したのでは？」と話題になっています。
この記事では、イエロー・ローズ・オブ・テキサスの終売の真相や販売終了の背景、さらに現在も購入できる可能性について詳しく解説します。
イエロー・ローズ・オブ・テキサスとは？ケンタッキー生まれの日本向けバーボン
イエロー・ローズ・オブ・テキサスは、アメリカ・ケンタッキー州バーズタウン近郊で蒸留されたバーボンウイスキーです。製造元はヘヴン・ヒル蒸留所系の企業で、ボトリングや熟成を担当していたのはケンタッキー・リザーブ・ディスティリング社とされています。
日本では比較的早い時期から流通しており、「Japanese Export」としてボトリングされた“日本市場専用仕様”の存在が確認されています。そのため、アメリカ国内よりも日本のバーやウイスキー愛好家の間で親しまれてきたブランドでした。
ラベルには複数の色があり、色ごとに熟成年数が違います。一般的に次のような分類で流通していました。
- 青ラベル：ノンエイジ（熟成年数表記なし）
- 緑ラベル：8年熟成
- 黄ラベル：12年熟成
- 赤ラベル：15年熟成
青ラベルは手頃な価格で、赤や黄は“古酒”としてコレクターにも人気。日本市場では特に12年や15年のボトルが人気を集めていました。
イエロー・ローズ・オブ・テキサスは本当に終売したのか？
結論から言うと、日本市場では一時的に“終売状態”となっていたのは事実です。
国内の酒販店やネットショップでは「終売」や「販売終了」といった表記が多く見られ、特に「イエロー・ローズ・オブ・テキサス 12年」「15年」は2010年代後半にかけて在庫がなくなり、流通が途絶えた時期がありました。
あるウイスキーブロガーによれば、約3年以上にわたり新規入荷が止まっていたものの、2019年春ごろに“復活ボトル”が入荷したとの記録もあります。このことから、一度は販売停止（休売）となり、その後に数量限定で再流通した可能性が高いと考えられます。
とはいえ、その“復活”以降も継続的な出荷は確認されておらず、一般的な量販流通からは消えたまま。現状では、実質的に「終売品」として扱われています。
終売・販売終了となった理由
イエロー・ローズ・オブ・テキサスの終売理由について、メーカーから公式な発表はありません。ただし、複数の業界関係者・愛飲者の証言をもとにすると、いくつかの要因が重なったことが推測されます。
原酒不足による製造ストップ
最も有力とされるのが「原酒不足」です。
2010年代、アメリカではバーボン人気が再燃。世界的なウイスキーブームにより、熟成庫の樽が逼迫し、長期熟成原酒を確保できない蒸留所が続出しました。
イエロー・ローズ・オブ・テキサスも例外ではなく、8年・12年・15年といった長期熟成ものの在庫が枯渇し、生産を継続できなくなったと考えられます。
日本向け輸出量の減少
このブランドは“日本専用仕様”という位置づけでボトリングされていたため、アメリカ本国の販売よりも日本への輸出に依存していました。ところが近年、アメリカ国内需要が急増したことで、輸出割り当てが減少。日本向けボトルの生産が後回しになり、結果として供給が途絶えた可能性があります。
ブランド仕様変更・リニューアル
ラベルデザインや熟成年数の表記が複数存在していたことから、ブランド全体のリニューアルや再編が行われた可能性も指摘されています。
一部の店舗では“新ラベル版”が「復活」として販売された例もありますが、従来の熟成年数入りボトルと同一仕様ではなかったようです。
価格高騰と流通整理
終売・在庫僅少により市場価格が高騰。メルカリやオークションでは12年ボトルが8万円を超える出品も確認されています。
メーカー・輸入元が価格維持の難しさから出荷を整理したという見方もあります。現在では定価販売している店舗はほぼなく、古酒・希少酒の扱いとなっています。
現在も買える？イエロー・ローズ・オブ・テキサスの入手方法
完全に姿を消したわけではなく、以下のようなルートで今でも入手できる可能性があります。
1. 古酒・終売品を扱う専門店
酒販免許を持つ古酒専門ショップでは、「イエロー・ローズ・オブ・テキサス 12年 終売品」「15年 古酒」として販売されていることがあります。
ただし価格はプレミアム化しており、1万円台後半〜数万円台が相場です。ボトルの状態（液面・コルク・ラベルなど）をよく確認して購入しましょう。
2. ネットオークション・フリマサイト
メルカリやヤフオクでは定期的に出品されています。特に8年・12年・15年ラベルは人気が高く、出品されると即完することも多いです。
古酒の場合、保管状態により品質が変化している可能性があるため、開封後の味わいには注意が必要です。
3. バー・専門店の在庫ボトル
意外と狙い目なのが、老舗バーやウイスキー専門店に眠る“旧ボトル”。
終売後もストックを大切に保管している店舗があり、グラス単位で味わえることもあります。
「もう一度飲みたい」「思い出の味を確かめたい」という方は、バーで出会うのが最も確実かもしれません。
4. 復活ボトルを探す
2019年春に一部で“復活”が確認された青ラベル（ノンエイジ）版が再流通していたという情報もあります。
数量限定での再販だったようですが、もし在庫が残っている店舗を見つけられれば、新品ボトルとして手に入る可能性もあります。
終売品を購入する際の注意点
終売・古酒を購入する場合には、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 真贋確認：出所が不明なボトルは偽物リスクがあります。正規輸入品・税ラベル付きのものを選ぶと安心です。
- 状態チェック：長期保管により液面が下がっていたり、コルクが劣化している場合があります。画像で確認し、説明文もよく読むこと。
- 価格の妥当性：希少価値を理由に過度に高額な価格設定になっていることもあります。相場を調べてから購入するのがおすすめです。
- 返品不可のケース：古酒販売では「未開封・現状渡し」となることが多いため、購入前に店舗のポリシーを必ず確認しておきましょう。
希少ボトルであるほど状態や価格の幅が大きいため、慎重な見極めが大切です。
イエロー・ローズ・オブ・テキサスが愛された理由
終売となってなお、多くのファンに惜しまれている理由はどこにあるのでしょうか。
特徴的なのは、そのまろやかで甘やかな味わい。ケンタッキーバーボンらしいトウモロコシ由来のコクと、熟成によるバニラ香、そして心地よいスパイス感が絶妙に調和しています。
青ラベルはライトで飲みやすく、黄や赤はしっかりとした重厚感。ラベルの色で味わいが変わるのもこのブランドの魅力でした。
また、ボトルデザインに描かれた「テキサスの美女」と星のモチーフは、アメリカン・ウエスタン文化を象徴する存在として人気を集め、バーの棚を華やかに彩っていました。
手頃な価格帯ながら本格的な味わいを楽しめる“通好みの1本”として、多くのファンを虜にしたのです。
イエロー・ローズ・オブ・テキサス終売の真相まとめ
イエロー・ローズ・オブ・テキサスが姿を消した背景には、原酒不足や輸出縮小など、業界全体の流れが関係していました。
一時的に復活したという情報もありますが、継続的な販売再開には至っていません。
現在では、古酒として市場にわずかに残るのみ。まさに“幻のバーボン”と呼ぶにふさわしい存在となっています。
もしこの銘柄をもう一度味わいたいなら、古酒専門店や信頼できる酒販店での購入、もしくはバーでの一杯を探してみるのが現実的です。
手に入れるのは難しくなりましたが、その分だけ味わいは特別。
「イエロー・ローズ・オブ・テキサス 終売」という言葉の裏には、時代に流されながらも愛されたウイスキーの物語が確かに息づいています。
コメント