バーボン好きの間で長年愛されてきた「エヴァンウィリアムス12年」。深いコクと50.5%というしっかりとした度数が魅力の1本ですが、最近では「終売したのでは?」「もう店頭で見かけない」という声が相次いでいます。本当に販売終了してしまったのか? 今回はその真相と、まだ購入できる方法について徹底的に調べました。
エヴァンウィリアムス12年とは?特別な赤ラベルの存在
まず、エヴァンウィリアムス12年(Evan Williams 12 Year)は、アメリカ・ケンタッキー州の老舗蒸留所「ヘブンヒル社(Heaven Hill Distilleries)」が手掛けるバーボンのひとつ。
同ブランドの中でも、もっとも長期熟成された特別なモデルで、アルコール度数は50.5%(101プルーフ)。ラベルの色が赤いことから「エヴァンウィリアムス赤ラベル」と呼ばれることもあります。
もともと「Evan Williams Black」などの廉価モデルが一般流通しているのに対し、12年熟成は非常に限定的な販売体制が取られていました。
日本では一時期、輸入代理店を通じて入手しやすかったものの、近年はその姿をほとんど見かけなくなっています。
終売の噂が広がった背景
「終売」という言葉が出てきた理由は、ここ数年で販売店や通販サイトから在庫が消えたことにあります。
特に国内の酒販店では「取扱終了」「在庫限り」といった表記が増え、「事実上の終売」と認識されるようになりました。
加えて、海外でもこの12年モデルは「Louisville(ルイビル)の蒸留所直販限定」として扱われており、一般的なアメリカ国内流通には乗っていません。つまり、日本向け輸出モデルが途絶えた=終売のように見えるという構図があるのです。
SNSやredditなどでも、「日本では買えたのに、今はもう手に入らない」「蒸留所のギフトショップでしか売っていない」といった声が目立ちます。
メーカー公式では「終売」と発表されていない
ここで重要なのは、ヘブンヒル社が公式に「Evan Williams 12 Yearを終売した」と発表していないという点です。
公式サイトには現在も商品情報が掲載されており、ラインナップから完全に削除されたわけではありません。
つまり、「終売」ではなく「流通縮小」「限定販売」に移行した可能性が高いと考えられます。
実際、米国ケンタッキー州の「Evan Williams Bourbon Experience」では今でも蒸留所限定ボトルとして販売されており、現地に行けば購入できるという報告もあります。
終売(または入手困難化)の理由として考えられる要素
では、なぜここまで流通が減ってしまったのでしょうか。
公式の説明はないものの、いくつかの要因が推測できます。
1. 熟成原酒の不足と需給バランスの調整
バーボンの12年熟成は非常に長い時間を要します。
特にヘブンヒルは多くのブランドを抱えており、原酒の配分には常に調整が必要です。需要の高まりに対して熟成原酒が足りなくなれば、特定モデルの出荷を絞るのは自然な流れです。
2. 輸出モデルの見直し
エヴァンウィリアムス12年は「日本専売」「輸出専用」として販売されていた時期がありました。
この契約や供給ルートが終了したことで、日本への輸入が止まった可能性もあります。
輸出コストや為替の影響も、流通停止の一因と考えられます。
3. ブランドのプレミアム化戦略
近年のウイスキーブームの中で、ヘブンヒル社は上位ブランド(例:エライジャクレイグ、ヘンリーマッケンナなど)を強化しています。
その結果、エヴァンウィリアムスの一部長熟モデルを限定化し、ブランド全体のポジショニングを再構築していると考えられます。
4. 国内販売網の縮小
かつては酒専門店やバー向けに定期輸入されていましたが、近年は並行輸入頼みになっています。
正規代理店が扱わなくなれば、「終売」と同じ状態になるのも時間の問題です。
現在の入手可能性:日本で買えるのは“今のうち”?
結論から言えば、完全な終売ではないものの、事実上の入手困難品となっています。
日本国内では、次のような販売ルートで稀に見つかります。
- ウィスキー専門通販(例:信濃屋・WHISKY PORTなど)
- 並行輸入業者が取り扱うECサイト
- オンラインマーケットプレイス(Amazon・楽天・ヤフオクなど)
- 個人経営のバーや酒販店の在庫放出
ただし、販売価格はかつての6,000円前後から現在は1万〜2万円超に跳ね上がっており、プレミア価格化しています。
海外サイトでも$120〜$150前後で販売されており、以前の日本価格($40程度)と比べると大幅な上昇です。
購入する際は、次の点に注意しましょう。
- 年数表記「12 Years」および「101 Proof」の刻印を確認
- 赤ラベル仕様(Japan Edition)かどうかを確認
- 並行輸入・古酒扱いの商品は、液面低下やコルク状態を要チェック
- 価格が不自然に安いものは偽物や旧ボトル詐称のリスクあり
現状、日本市場に新規出荷される見込みは極めて薄いため、見つけたら早めに確保するのが賢明です。
エヴァンウィリアムス12年の味わいと評価
長期熟成ゆえのまろやかさと深みは、同ブランドの中でも際立っています。
香りはバニラ、キャラメル、ドライフルーツ、オーク。口当たりは滑らかで、後味にはスパイスや焦げた樽香が残ります。
レビューサイトや海外掲示板では、「日本価格なら最高のコスパ」「米国価格だとやや高いが満足度は高い」といった評価が多く見られます。
また、度数が50.5%と高いため、加水やロックでも味の輪郭が崩れにくいのも特徴です。
重厚さの中に上品さがあり、バーボン上級者にも愛されてきた理由がよく分かります。
代替・後継として注目されるバーボン
もしエヴァンウィリアムス12年が手に入らない場合、近い系統の味わいを持つバーボンとして以下の銘柄が挙げられます。
- エライジャクレイグ12年/スモールバッチ
同じヘブンヒル社製で、味の方向性が最も近い。香りに厚みがあり、熟成感も強い。 - ヘンリーマッケンナ10年 シングルバレル
同社の熟成年数表記モデル。バランスが良く、12年よりもやや軽やか。 - ワイルドターキー13年 ディスティラーズリザーブ
50.5%の度数で共通点があり、よりスパイシーな印象。
これらも近年は価格上昇傾向にあるため、今のうちにチェックしておくのが良いでしょう。
まとめ:エヴァンウィリアムス12年は「実質的な終売状態」
総括すると、エヴァンウィリアムス12年は公式には終売していないが、事実上の流通停止状態です。
日本で見かけなくなったのは、輸出契約の終了や原酒不足、ブランド戦略変更が重なった結果と考えられます。
それでも、限定的ながら蒸留所直販や並行輸入ルートでは入手可能。
価格が上昇している今、「いつか買おう」と思っているうちに本当に市場から姿を消す可能性もあります。
長年愛された赤ラベルの12年。
もしあなたがまだその味を知らないなら、今こそ最後のチャンスかもしれません。
エヴァンウィリアムス12年が終売という噂は、単なる誤解であってほしい——そう願いつつ、今後の動向を静かに見守りたいところです。

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