「カロリーメイト缶が売っていない」「終売って本当?」──そんな声を最近よく目にします。ブロックタイプやゼリータイプは見かけるけれど、缶入りのカロリーメイトはどこへ行ってしまったのか。長年、栄養ドリンクのように手軽に飲める存在として親しまれてきた“あの缶”に、いったい何が起きたのでしょうか。
この記事では、カロリーメイト缶の終売と噂される背景、実際のリニューアル事情、そして今後の展開までをじっくり掘り下げていきます。
カロリーメイト缶とは? 栄養ドリンク感覚で飲める“もう一つの形”
「カロリーメイト」といえば、クッキーのようなブロックタイプを思い浮かべる人が多いでしょう。けれど実は、1980年代から「缶タイプ」も存在していました。
1983年に大塚製薬が発売した初代「カロリーメイト缶」は、ミルク味からスタート。のちにココア味、コーンスープ味、カフェオレ味、フルーツミックス味など、多彩なフレーバーが登場しました。
仕事中にサッと栄養補給したい人、朝食代わりにしたい人にとって、缶タイプはまさに理想の形。手軽に飲めて200kcal前後、ビタミンやタンパク質も摂れる──そんな“飲む栄養食”として、長年愛されてきました。
「終売」と言われるようになったきっかけ
では、なぜ「終売」という言葉が広がったのでしょうか。
その発端は、2019年10月に実施された大規模なリニューアルです。大塚製薬は従来の「カロリーメイト ドリンク(缶)」を刷新し、「カロリーメイト リキッド」として新シリーズを発売しました。
このとき、「36年間販売されてきたカロリーメイト缶が終売」と報じられたことがSNSで拡散。ニュースサイトや個人ブログでも「ついに終売」「在庫限りで終了」といった言葉が飛び交い、“カロリーメイト缶が消えた”という印象が定着してしまったのです。
しかし、実際には“完全な終売”ではありません。旧タイプ(従来の味・缶デザイン)が販売終了となり、同時に新仕様「リキッドタイプ」へとバトンタッチしたのです。
実際のところ「リニューアル」が正しい
つまり、「カロリーメイト缶=消滅」ではなく「缶タイプが刷新された」というのが真実です。
リニューアル後に登場した「カロリーメイト リキッド」は、見た目こそ変わりましたが、基本コンセプトは従来の“飲むカロリーメイト”そのまま。違いは、味や栄養バランスの改善にあります。
新シリーズでは以下の3フレーバーが登場しました。
- カフェオレ味(従来の人気味を改良)
- フルーツミックス味(新登場)
- ヨーグルト味(新登場)
1缶あたり約200kcal、タンパク質10g、1日に必要なビタミンの約半分を摂取できるという栄養設計。より飲みやすく、現代的な健康志向に合う味わいを目指した内容になっています。
缶のデザインも刷新され、よりスタイリッシュでシンプルな印象に。これにより「旧カロリーメイト缶は終売したが、リキッドが継続している」という構図になりました。
なぜリニューアルに踏み切ったのか? 背景にある5つの理由
1. 味の課題とユーザーの声
旧ドリンクタイプは“まずい”と評されることもありました。粉っぽさや後味のクセが気になるという意見が多く、味の見直しは長年の課題でした。リニューアルでは、飲みやすさ・香り・風味が大幅に改良され、口コミでも「以前よりおいしくなった」との評価が増えています。
2. ライフスタイルの変化
共働き世帯や忙しいビジネスパーソンの増加により、「短時間で栄養を摂りたい」ニーズが拡大。スムージー、プロテイン飲料など競合が増えたことで、ブランド刷新の必要性が高まっていました。
3. 栄養バランスの最適化
新リキッドはタンパク質量を増やし、脂質や糖質のバランスを調整。より現代人の栄養傾向に合わせた処方に変わっています。ブロックタイプに比べて水分補給も同時にできるのも強みです。
4. 販売チャネルの見直し
以前の缶タイプはドラッグストア中心でしたが、リニューアル後はスーパーや自販機でも取り扱いが拡大。反面、旧タイプの在庫が減ったことで「見かけなくなった=終売した」と誤認される要因にもなりました。
5. ブランドの節目
初代発売から36年を経ての刷新は、まさにブランドのターニングポイント。大塚製薬は“時代に合わせた栄養食”として、改めて若年層や健康志向層に訴求しようとしています。
「見かけない」「売ってない」と感じるのはなぜ?
SNSでは今も「カロリーメイト缶がどこにも売っていない」という声があります。これにはいくつかの理由があります。
- 店舗ごとに取り扱いの有無が異なり、地域差が大きい
- ブロックやゼリーのほうが売れ筋のため、棚から外れている
- 新しい「カロリーメイト リキッド」デザインを旧缶と認識できず、“無くなった”と思い込む
つまり、販売終了ではなく“見かけないだけ”。一部のスーパーや自販機、オンラインストアでは今も普通に入手可能です。Amazonなどでは3味セットなどの販売も続いており、安定供給は継続中です。
「終売」という誤解が広がった理由
「終売」という言葉がここまで広まったのは、メディア報道やSNSの表現の影響が大きいでしょう。
旧缶が“終売”になったことを指しているにもかかわらず、記事タイトルだけを見た読者が「カロリーメイト缶全体がなくなった」と誤解してしまったのです。
また、長年愛飲していた人ほど味の変更を敏感に感じ、「前の味がなくなった=終売」と捉えてしまう傾向があります。
ブランドとしての進化が、ファンにとっては“別物”に見える――それがカロリーメイト缶の「幻の終売」騒動の実態と言えるでしょう。
現在販売中の「カロリーメイト リキッド」を飲んでみた印象
実際にリニューアル版を飲んでみると、旧缶より明らかに飲みやすく、後味がすっきりしています。
- カフェオレ味:甘すぎず、仕事中でも飲みやすいバランス。
- フルーツミックス味:酸味が効いており、朝のエネルギーチャージに最適。
- ヨーグルト味:さっぱりとした口当たりで、軽い食事代わりにもなる。
缶のまま冷やして飲むと、まるで栄養ドリンクのような感覚。以前の“粉っぽさ”が苦手だった人にもおすすめできる味になっています。
また、リニューアル後は災害備蓄やアウトドア用途での需要も増えており、“常備できる栄養食”としての価値も再評価されています。
カロリーメイト缶(リキッド)の今後に期待すること
今後は、季節限定やコラボフレーバーの登場にも期待がかかります。ブランドとしての知名度は圧倒的で、SNSやコンビニ販促と組み合わせた展開次第では、再び「飲むカロリーメイト」が注目を集める可能性も十分あります。
また、近年はプロテインや完全栄養食市場が急拡大しており、カロリーメイトもそこに自然に並ぶポジションにあります。もしタンパク質量をさらに増やした「ハイプロテイン版」や、糖質オフタイプなどが登場すれば、再び脚光を浴びるかもしれません。
カロリーメイト缶が終売?──真実は“生まれ変わった”だけ
最後に改めてまとめます。
カロリーメイト缶は完全な終売ではなく、リニューアルにより「カロリーメイト リキッド」として継続中です。
旧缶の味やパッケージが消えたことで“終売”と感じる人が多いものの、ブランドとしては今も健在。むしろ、味・成分・デザインを時代に合わせて進化させた新しい形になりました。
「昔の味が懐かしい」「また飲みたい」と感じた人は、ぜひ新リキッド版を手に取ってみてください。
かつての名作“カロリーメイト缶”のDNAは、今も確かに生き続けています。

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