「ひもQ、もう売ってないの？」──そんな声をSNSでよく見かけるようになりました。
かつて駄菓子コーナーで誰もが一度は手に取ったあの長〜いグミ、「ひもQ」。
実はすでに終売となっており、今では店頭で見かけることがなくなっています。
この記事では、ひもQがなぜ終売になったのか、その歴史とファンの反応、そして今後の可能性についてじっくり紹介します。
ひもQとは？駄菓子界のロングセラーだった長〜いグミ
「ひもQ」は明治が1993年に発売した、ひも状のグミキャンディ。
長さはなんと1メートル以上もあり、遊びながら食べられるユニークなお菓子として人気を集めました。
細長いグミをびよーんと伸ばしたり、友だちと長さを競ったり。
ただ食べるだけでなく“遊べるお菓子”として、子どもたちの記憶にしっかり残っている人も多いでしょう。
当時のラインナップは「フルーツミックス」や「トロピカルミックス」などのカラフルな組み合わせ。
1本で2つの味を楽しめるタイプも登場し、「コーラ＆ソーダ味」「マスカット＆グレープ味」など、時期ごとに新しい味が登場していました。
やがて2000年代に入ると、「超ひもQ」という改良版も登場。
長さは約126cmに進化し、パッケージデザインもよりポップに。
駄菓子コーナーだけでなくコンビニやスーパーにも並ぶようになり、まさに「ひもQ＝子どもの定番おやつ」という地位を確立しました。
愛された理由：ただのグミじゃない“遊びと思い出”が詰まっていた
ひもQがここまで愛された理由は、味や価格だけではありません。
そこには「遊び」「共有」「記憶」という3つの要素がありました。
1. 遊びの要素が強い
ひもQはその名の通り、紐のように長い形が特徴。
子どもたちは食べる前に引っ張ったり、腕に巻きつけて遊んだり、時には“縄跳び”の真似をしたり。
食べる前から楽しめるという点が、他のグミにはない魅力でした。
2. 友だちとの共有
遠足や放課後に「一緒に食べよう」と友だちと分け合うシーンも多く、
コミュニケーションのきっかけになるお菓子でもありました。
SNS世代が「子どもの頃、友だちと伸ばして遊んだなあ」と懐かしむのも納得です。
3. 記憶に残る見た目と味
グミ市場は数多くの商品が登場しては消えていきますが、
ひもQのように視覚的にも記憶に残る商品はそう多くありません。
“カラフルで長いグミ”という強烈な個性が、世代を超えて記憶に残り続けた理由でしょう。
終売の真相：2019年、突然の別れ
そんなロングセラー商品・ひもQにも、ついに終わりが訪れます。
明治は2019年7月生産分をもって、「超ひもQ」の製造を終了しました。
当時の報道によると、終売理由は「製造設備の老朽化」。
つまり、売れ行きが悪かったわけではなく、設備を維持・更新するコストの問題が主な原因でした。
明治の広報担当者も「2019年7月をもって生産を終了し、現在市場にある分で販売を終了」とコメントしています。
グミ市場全体は拡大していたにもかかわらず、製造ラインの維持が難しくなったことで幕を下ろす形になりました。
駄菓子メーカーにとっては、単に“売れる・売れない”だけでは判断できない事情もあります。
長年使ってきた専用設備の部品が手に入らなくなる、修理コストがかさむ――。
そうした“ものづくりの宿命”が、ひもQの終売を決定づけたのです。
SNSで広がる「ひもQロス」──惜しまれる声が続々と
終売が発表されると、SNSでは瞬く間に「#ひもQロス」という言葉が拡散。
「子どもの頃の思い出がなくなる感じ」「ひもQは青春だった」
「最後にもう一度食べたい」など、惜しむ声が相次ぎました。
実際、発表直後にはスーパーや駄菓子屋でまとめ買いする人も続出。
“最後のひもQ”を探して走り回ったという投稿も多く見られました。
こうした反応からも、ひもQが単なるお菓子以上の存在だったことがわかります。
子ども時代の思い出を共有する象徴的なアイテムだったのです。
終売の裏側にある“駄菓子業界の現実”
ひもQのようなロングセラー商品が終売となる背景には、業界全体の変化も関係しています。
近年、駄菓子メーカーの多くは「選択と集中」によるライン縮小を進めています。
売上よりも生産効率を優先し、限られた設備で収益性の高い商品に注力する傾向が強まっているのです。
加えて、遊び要素のあるお菓子は製造工程が複雑で、パッケージコストも高め。
単価が低い駄菓子の中では利益率が上がりづらく、設備の老朽化が進むと維持が難しくなります。
つまり、ひもQの終売は「人気がなくなったから」ではなく、
「長年の人気を支えてきた仕組みが限界を迎えた」という構造的な理由によるものでした。
ひもQの後継？代替品として話題の“なが〜いグミ”
ひもQが終売になって以降、「もう一度あの長いグミを食べたい」という声に応えるように、
他メーカーから似たコンセプトの商品も登場しています。
その代表が「なが〜いなが〜いつなひきグミ」。
見た目も遊び方もひもQを彷彿とさせ、SNSでは「これは実質ひもQの後継では？」と話題になりました。
もちろん味や食感は異なりますが、子どもたちが“遊びながら食べるグミ”を求めていることに変わりはありません。
ひもQが築いた文化は、形を変えて今も受け継がれているのです。
復活の可能性はある？明治のコメントとファンの期待
では、ひもQが再び店頭に並ぶ日は来るのでしょうか。
結論から言えば、現時点では復活の予定は発表されていません。
ただし、終売理由が「設備の老朽化」である以上、
新しい製造ラインが整えば再販の可能性はゼロではありません。
過去にも、他のロングセラー菓子が“期間限定復刻版”として再登場した例は数多くあります。
SNSでも「明治さん、復活してほしい」「令和版ひもQを！」という声が続いており、
メーカー側にとっても今後の再開を検討するきっかけになるかもしれません。
ひもQが残したもの──駄菓子文化の象徴として
ひもQの終売は、多くの人にとってひとつの時代の終わりを意味しました。
それは単なるお菓子ではなく、
「友だちと笑い合った放課後」「遠足のおやつ」「遊びとお菓子の境界線」そのものだったからです。
駄菓子は、安価でシンプルながらも子どもの心を掴む“体験”を提供してきました。
ひもQはその象徴であり、遊びと味を融合させた稀有な存在でした。
今後、もし復刻されることがあれば、それは懐かしさだけでなく、
「遊びながら食べる楽しさ」という文化を次の世代に伝える貴重な機会となるでしょう。
ひもQ終売のまとめと今後への期待
ひもQは1993年の発売以来、26年以上にわたり子どもたちに愛され続けたグミ。
製造設備の老朽化により2019年に終売となりましたが、
その存在は今もSNSや記憶の中で語り継がれています。
遊びながら食べるという独自のスタイル、
友だちと笑い合う時間、
そして誰もが一度は体験した“あの長いグミ”。
たとえ終売となっても、ひもQが残した思い出は消えることはありません。
いつかまた、あの懐かしいグミが再び私たちの前に現れる日を、静かに楽しみに待ちましょう。
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