「えっ、プレミアム角瓶って終売になったの？」
ウイスキー好きなら、そんな噂を耳にして気になった人も多いはず。あの独特のコクと上品な香りを楽しみにしていたファンからは、「もう買えないの？」「再販の予定はあるの？」という声が今も絶えません。
今回は、サントリーの人気ブランド「角瓶」シリーズの中でも特別な存在だった**プレミアム角瓶**がなぜ終売となったのか、その背景や今後の再販の可能性、そして代わりに楽しめるウイスキーまで、じっくり掘り下げていきます。
プレミアム角瓶とは？“上質な角”として登場した短命モデル
まずは基本情報から。
プレミアム角瓶は、サントリーの定番「角瓶（黄角）」の上位モデルとして2013年頃に登場しました。アルコール度数は43％。通常の角瓶（40％）よりもやや高く、より芳醇で厚みのある味わいを目指した一本です。
当時のキャッチコピーは「ハイボールでもストレートでも上質な一杯」。
山崎や白州の原酒をブレンドに加え、モルティーでリッチな風味を演出していました。ボトルデザインはおなじみの亀甲瓶を踏襲しながらも、金と黒を基調としたラベルで高級感を強調。まさに“角瓶”のプレミアム版という立ち位置でした。
しかし、このモデルは非常に短命。
一部のウイスキーファンの間では「たった3年ほどで姿を消した幻の角」と言われています。実際、2016年前後にはすでに製造・出荷が終了しており、現在では流通在庫やオークションでしか見かけることができません。
プレミアム角瓶が終売となった理由とは？
では、なぜ人気の角瓶ブランドの中で、プレミアム角瓶だけが姿を消してしまったのか？
その理由はいくつかの要因が複雑に絡んでいます。
原酒不足と生産体制の見直し
2010年代中盤、ジャパニーズウイスキーは国内外で爆発的なブームを迎えました。
山崎や白州、響といった銘柄が世界的に評価され、原酒需要が急増。その結果、各蒸溜所では長期熟成原酒の確保が難しくなり、ブレンドに使う原酒を調整せざるを得ない状況に陥りました。
プレミアム角瓶は、まさにこの“原酒が貴重な時期”にあたるモデル。
上質なモルト原酒を使うため、量産が難しく、結果として「限られた原酒を主力商品に集中させる」という判断が下されたのです。
ブランドの整理と戦略変更
角瓶シリーズはもともと多彩な派生モデルが存在していました。
「白角」「黒角」「プレミアム角瓶」など、異なる味わいや価格帯を展開していましたが、ブランドが細分化されすぎると販売効率が下がるという課題がありました。
そのため、サントリーは2016年頃にラインナップを整理し、主力の「黄角（通常の角瓶）」に注力。
プレミアム角瓶はその際に生産終了となったとみられています。
消費者ニーズとのギャップ
角瓶ブランドのファン層は、日常的にハイボールを楽しむユーザーが中心です。
「毎日気軽に飲める」「手頃で安定した味」という角瓶の強みが、そのまま支持の理由になっていました。
一方でプレミアム角瓶は、価格が高く、味わいもやや濃厚。
ハイボールには少し贅沢すぎる印象もあり、“日常使いには重い”という声もあったようです。結果として、販売量は想定より伸びず、コストとのバランスを考えて終売に至ったと考えられます。
プレミアム角瓶の現在価格と入手難易度
現在、プレミアム角瓶は一般販売されていません。
サントリー公式サイトの「製造終了商品一覧」にも掲載されており、在庫限りの扱いです。
一方で、オークションや中古市場では“幻の角瓶”として人気が続いています。
ヤフオクなどの落札データでは、2024年時点で平均落札価格が約1万円前後。発売当時の定価が2,000円台だったことを考えると、5倍近い値上がりです。
一部の酒販店では「終売品」「入手困難」の表記がされており、店頭で見つけることはほぼ不可能。
もし見つけたら、それはかなり貴重な在庫といえるでしょう。
再販の可能性はあるのか？
「もう一度あの味を飲みたい…」
そんな声が多い中、気になるのは再販の可能性です。
現時点でサントリーから「プレミアム角瓶再販」の正式発表は出ていません。
ただし、過去には「白角」が数量限定で復刻された例もあります。ブランドとしての角瓶は今も根強い人気を誇るため、限定版としての復活の可能性はゼロではありません。
とはいえ、再販には原酒の確保や生産コストの問題が伴います。
角瓶ブランドは国内需要が非常に大きく、まずは主力商品の安定供給が優先されるはず。したがって、当面は再販を期待しすぎず、気長に見守るのが現実的です。
もし将来的にサントリーがブランドの節目や記念年に合わせて特別版を出すとすれば、そのタイミングで“プレミアム角瓶の復刻”がサプライズ的に登場する可能性もあります。
プレミアム角瓶に近い味を楽しめる代替ウイスキー
「もう買えないなら、似た味のウイスキーを教えてほしい！」
そんな人のために、プレミアム角瓶に近い特徴をもつ代替銘柄をいくつか紹介します。
1. 定番「角瓶（黄角）」
やはり外せないのは定番中の定番。
スムースで飲みやすく、ハイボールに最適。プレミアム角瓶ほどの重厚さはないものの、同じ系譜のブレンドを感じられます。価格・入手性・安定感の三拍子がそろった万能選手です。
2. 角瓶〈黒43°〉（終売）
すでにこちらも終売済みですが、プレミアム角瓶と同時期に販売されていた“もう一つの上位角瓶”。よりスモーキーで深みのある味が特徴でした。もしどこかで見かけたら、一度試してみる価値あり。
3. サントリー響 JAPANESE HARMONY
同じくモルトとグレーンのバランスが魅力のブレンデッド。
角瓶よりも華やかで、プレミアムな味わいを求める人にぴったり。価格帯は上がりますが、香りと余韻はまさに「上質なサントリーウイスキー」です。
4. バランタイン 12年
海外ブランドですが、角瓶の“まろやかで飲みやすいブレンデッド”という方向性を共有しています。ハイボールでもストレートでも楽しめ、価格も比較的手頃です。
こうしてみると、プレミアム角瓶の特徴である「モルティーで甘く、厚みのある味」を探すなら、同じブレンデッド系の中から選ぶのが近道です。特に響 JAPANESE HARMONYやバランタイン 12年など、香り重視の銘柄が相性良し。
終売という事実と、ブランドのこれから
プレミアム角瓶の終売は、単なる製品終了ではなく、サントリーのブランド戦略の変化を象徴しているとも言えます。
限られた原酒をどう使い、どのブランドを軸に展開していくか。その中で「角瓶」は、より広い層に親しまれる“国民的ウイスキー”として位置づけられています。
その一方で、かつて存在した「白角」「黒角」「プレミアム角瓶」などの派生モデルは、今や過去の遺産。だからこそ、コレクターやファンの間でプレミアム角瓶の人気が高まっているのです。
実際、今でもSNSでは「久しぶりに実家でプレミアム角瓶見つけた！」「香りが全然違う！」という投稿が定期的に話題になります。
時間が経っても愛され続けるのは、それだけ印象に残る味だった証拠でしょう。
プレミアム角瓶 終売のまとめと今後の期待
改めて整理すると――
- プレミアム角瓶は2013年頃に発売、2016年頃に終売
- 原酒不足やブランド整理が主な要因
- 現在はオークションなどで高値取引
- 再販は未定だが、限定復刻の可能性は残る
- 代替品としては「角瓶」「響 JAPANESE HARMONY」「バランタイン 12年」などが候補
ウイスキーの世界では、“終売”は必ずしも“永遠の別れ”ではありません。
原酒の確保や市場状況次第では、復活することもある。
プレミアム角瓶も、いつの日か「限定復刻」として再び私たちの前に現れるかもしれません。
その日まで、今ある角瓶をじっくり楽しみながら、あの“上質な角”の再登場を期待して待ちたいですね。
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