トヨタのフラッグシップSUV「ランドクルーザー300(ランクル300)」が、ついに終売になるのでは――そんな噂がファンの間で広がっています。
発売からまだ数年しか経っていないのに、なぜ「販売終了」の声が上がっているのか。そして、次に登場する後継モデルはどんなクルマなのか。この記事では、その背景や理由、今後の展開をわかりやすく整理していきます。
ランクル300とはどんなクルマ?
ランクル300は、2021年8月に発売されたトヨタの本格SUV。
「ランドクルーザー200」の後継として登場し、伝統のラダーフレーム構造を維持しながらも、軽量化やパワートレインの刷新によって走行性能を大幅に向上させました。
エンジンは3.5L V6ツインターボを採用。従来のV8から downsizing しながらも出力はアップし、燃費性能とパワーを両立しています。
悪路走破性はもちろん、街乗りでも快適な乗り心地を実現。まさに「世界中どこへでも行ける」というランドクルーザー300の哲学を体現したモデルです。
ランクル300が「終売」と噂される背景
そんな人気モデルが、なぜ“終売疑惑”に包まれているのでしょうか。
理由はいくつか重なっています。
需要が想定を超えた大ヒット
発売直後から、世界中で注文が殺到。
特に中東やアジア市場での人気が非常に高く、日本国内の供給枠が圧迫されてしまいました。
トヨタは「ご注文を停止させていただいております」と公式に発表しており、2021年末には早くも新規受注をストップ。その状態が3年以上続いています。
つまり、正確には「販売終了」ではなく「受注停止」状態。
ただ、一般ユーザーからすれば新車が買えない状態が長期化しており、「実質的に終売」と感じるのも無理はありません。
納期は最長で数年待ち
ディーラー関係者によると、納期は半年〜2年、場合によっては3年を超えるケースもあるそうです。
2025年時点でも「今オーダーしても数年先の納車」という話が出ており、トヨタとしても受注再開のメドを立てにくいのが現状です。
半導体不足・部品供給問題
世界的な半導体不足やサプライチェーンの混乱も重なり、生産ペースが落ち込んでいます。
ランクル300は最新電子制御システムを多数搭載しているため、特に半導体供給の影響を受けやすいモデルです。
結果として、生産キャパシティを需要が大きく上回ってしまいました。
転売対策・販売制限
人気すぎるゆえの副作用として「転売目的の購入」も問題になりました。
トヨタは転売防止のため、購入者に誓約書を求めたり、所有権留保契約を結んだりと厳しい対応を取っています。
これにより、販売店側でも「本当に欲しい人に届ける」という方針が強まり、新規注文の制限が強化されました。
環境規制と電動化への移行
もう一つの要因が、今後の環境規制への対応です。
排出ガス・燃費基準が厳しくなる中、ランクル300のような大排気量ガソリンモデルは、将来的に販売を続けるのが難しくなる可能性があります。
トヨタはすでに「電動化シフト」を明確に打ち出しており、300系のパワートレインを刷新するタイミングで、ラインナップの整理が行われると見られています。
トヨタ公式の見解:終売ではなく「受注停止」
一部で「ランクル300は国内終売」といった報道もありますが、トヨタの公式発表では明確に「終売」とは述べられていません。
公式サイトでは、以下のように案内されています。
「ご注文をいただき、ご納車をお待ちいただいているお客様の車両を優先的に生産させていただくため、ランドクルーザー“300”につきましては、ご注文を停止させていただいております。」
つまり、現時点では「新規注文を受け付けていない」というだけであり、生産そのものが終了しているわけではありません。
ただ、これが再開される保証もなく、ディーラーによっては「このまま終売になるかもしれない」と話すところもあります。
実質「終売」と言われる理由
それでも「終売」と言われるのは、やはり実際に買えない状況が続いているためです。
新規オーダーが再開されないまま、すでに受注済みの車両の生産に追われている状況。
しかも、今後は後継モデルが控えているため、「再開するより次のモデルに切り替えるほうが自然」という見方が業界内では強まっています。
また、中古市場ではランクル300の価格が高騰。
新車価格を上回るプレミア価格で取引されることも珍しくなく、需要の強さが改めて浮き彫りになっています。
こうした“プレミア化”も、「もう手に入らないモデル」という印象を加速させています。
後継候補とされる「ランドクルーザー250」
2024年、トヨタは新型「ランドクルーザー250」を発表しました。
これは、ランクル300よりも一回りコンパクトで、より扱いやすいサイズ感を重視したモデル。
しかし、ランドクルーザーの血統をしっかり受け継いでおり、悪路走破性や耐久性も十分確保されています。
パワートレインは2.8Lディーゼルハイブリッドを採用。
48V電動システムを搭載することで燃費性能を向上させ、環境規制にも適合。
トヨタが今後目指す「電動×本格SUV」の方向性を象徴する存在になっています。
市場では、「ランドクルーザー250がランクル300の後継になるのでは」との声が多数。
ただしトヨタとしては、「300はフラッグシップ、250は原点回帰」という棲み分けを意識しており、完全な後継というよりも“並列シリーズ”として展開される見込みです。
さらに続く新展開「ランドクルーザーFJ」
2025年10月には、新型「ランドクルーザーFJ」も発表予定。
こちらは「扱いやすいタフSUV」というコンセプトで、都市部でも使いやすいサイズと価格を意識したモデルです。
全長4.5m台とコンパクトながら、本格的な4WD性能を備えるとされています。
トヨタは「300」「250」「ランドクルーザー70」「FJ」という4本柱で、ランドクルーザーシリーズを再編していく流れを見せています。
この構成の中で、300は“最上位モデル”としての役割を終え、今後は海外専売車になる可能性もあるという見方が強まっています。
ランクル300の今後:再販か、静かな幕引きか
トヨタがランクル300の国内受注を再開する可能性はゼロではありません。
しかし、現状では後継モデルがすでに登場していること、環境規制への対応が急がれていることを踏まえると、再販はかなり難しいと考えられます。
一方で、ランドクルーザーというブランド自体が消えるわけではありません。
トヨタは「ランドクルーザーは永遠に途絶えさせない」と明言しており、形を変えながらも次世代へと継承していく姿勢を見せています。
つまり、ランクル300は「終売」ではなく「一区切り」。
300が築いた性能と信頼性をベースに、より時代に合ったSUVとして次のステージへと進んでいく――それが今のトヨタの戦略といえそうです。
今ランクル300を手に入れるには?
新車の受注が停止している現状では、中古市場で探すしかありません。
ただし、価格は高止まりしており、人気グレード「ZX」「GRスポーツ」などは特に希少。
正規販売店の認定中古車であれば品質保証もあり、信頼性の面では安心です。
また、今後のモデルチェンジを見据えて「250」や「FJ」を待つという選択肢もあります。
どちらもランドクルーザーの精神を引き継いでおり、「走破性」と「信頼性」という軸は共通しています。
ランクル300がついに終売?その真相と未来
結論から言えば、ランクル300は“正式な終売”ではないものの、事実上の販売終了に近い状態です。
ただしそれは、人気がなかったからではなく、むしろ人気がありすぎたため。
需要の爆発と供給制約、そして時代の変化が重なって、このような特殊な状況を生んでいます。
これから登場するランドクルーザー250やランドクルーザーFJが、その意思を受け継いでいく。
ランクル300はその歴史の中で、ひとつの完成形として記憶されることでしょう。
終売の噂が広がっても、「ランドクルーザー」という名はこれからもトヨタの象徴であり続けます。

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