バーボン好きの間で根強い人気を誇る「ロー ワンズ クリーク」。最近では「終売になったのでは?」という声もちらほら聞かれるようになりました。店頭や通販サイトで在庫が見当たらず、ファンとしては不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ロー ワンズ クリークの魅力や味わい、なぜ「終売疑惑」が浮上しているのか、そして似たテイストの代替ウイスキーについて、バーボン愛好家の目線から丁寧に掘り下げていきます。
ロー ワンズ クリークとはどんなバーボン?
ロー ワンズ クリーク(Rowan’s Creek)は、アメリカ・ケンタッキー州バードストーンにあるウィレット蒸溜所(Willett Distillery)が手がけるスモールバッチ・バーボンのひとつです。
もともとウィレット社は家族経営の小規模蒸溜所で、「手作業によるクラフト感」や「丁寧な熟成管理」で知られています。その中でもロー ワンズ クリークは、自然豊かな蒸溜所の敷地を流れる小川“Rowan’s Creek”の名を冠し、地域と伝統を象徴する一本としてリリースされました。
アルコール度数は50.05%(100.1プルーフ)とやや高め。力強い飲みごたえがありながらも、スムーズで柔らかな印象が特徴です。かつては「12年熟成」と明記されていた時期もありますが、現在では年数表記がなくなり、より幅広い原酒をブレンドしてバランスを追求した造りになっています。
味わいと香りの特徴 ― 甘さとスパイスの絶妙なバランス
ロー ワンズ クリークの魅力は、何と言ってもその味のバランスにあります。
まず香りを嗅ぐと、バニラやキャラメルのような甘く芳醇なアロマが立ち上がります。次第にメープルシロップや焼き立てのパンケーキを思わせる柔らかい香りに変化し、最後に少しハーブのような爽やかさが顔を出します。
口に含むと、キャラメルやブラウンシュガーの甘みを軸に、オーク樽由来のスモーキーさとスパイスが広がります。余韻にはナッツやチョコレートを思わせる深みがあり、飲み終えた後の満足感も抜群。
ライ麦の割合が高いマッシュビルを想起させるようなピリッとした刺激もあり、甘さ一辺倒ではない立体的な味わいが印象的です。バーボン初心者よりも、やや上級者向けの1本といえるかもしれません。
なぜ「終売」だと噂されているのか
ここ最近、「ロー ワンズ クリークが終売したらしい」「見つからない」といった話題がSNSや酒販サイトで目立ち始めました。実際に検索してみると、「在庫なし」「Sold out」と表示されているショップが多く、購入できない状態が続いているのも確かです。
では、本当に終売なのでしょうか?
調べた限り、ウィレット社や公式輸入代理店から「製造終了」という正式な発表は出ていません。つまり、完全な終売ではなく“入手困難化”という表現が正しいようです。
その背景として考えられるのは次のような点です。
- スモールバッチ(少量生産)であるため、もともと生産量が少ない
- 熟成年数やバッチによって味が異なり、品質を一定に保つために出荷が不定期
- 日本向けの輸入量が減っている、または一時的に止まっている可能性
こうした要因が重なり、「見かけなくなった=終売?」という憶測を呼んでいるようです。
小規模蒸溜所ならではの“希少性”
ウィレット蒸溜所は、長らく他社の原酒をボトリングして販売していた時期を経て、現在では自社蒸溜による原酒のリリースを少しずつ増やしています。そのため、ロー ワンズ クリークのようなブランドも製造体制の変化や熟成原酒の都合でリリース時期が限られることがあります。
また、ウィレットのラインナップには「ノアズ・ミル(Noah’s Mill)」や「ウィレット・ポット・スティル・リザーブ」などもあり、それぞれ独自のファンを持っています。
中でもロー ワンズ クリークは“甘みとスパイスの黄金比”と評され、ウィレット系の中でも飲みやすさと奥行きを兼ね備えた存在です。そんな一本だからこそ、再入荷がない状況が続くと、愛好家が心配するのも無理はありません。
終売ではなく「一時的な希少化」の可能性も
一部の専門店では、過去のバッチ番号が記載されたボトルを扱うなど、流通在庫が細々と残っているケースも見られます。つまり、完全に姿を消したわけではありません。
むしろウィレットのような小規模ブランドでは、こうした「不定期リリース」こそが普通のサイクルといえるでしょう。
海外のレビューサイトでも2023年~2024年にかけて新しいバッチが紹介されており、製造自体は継続していることがうかがえます。
ただし、日本での輸入が滞っている間は“実質的に終売状態”に見えてしまうため、再入荷があるまでの間、希少化が続くと考えるのが自然です。
ロー ワンズ クリークの評価と魅力
多くのレビューで共通して語られるのが、「飲みごたえがありながら繊細」という点。
ウィレットらしい手作業感と香ばしい樽香、そして柔らかい甘みが同居しています。派手な個性ではなく、静かに深みを感じさせるタイプのバーボンです。
飲み方としては、ストレートやトワイスアップがおすすめ。加水すると甘みがより開き、キャラメルやバニラの香りが際立ちます。氷を入れるとスパイシーさが強調され、まるで別の表情を見せるのも面白いところ。
いわゆる「一杯で完結するバーボン」ではなく、飲み進めるごとに変化を楽しめるのがロー ワンズ クリークの真骨頂です。
代替となるおすすめバーボン
もしロー ワンズ クリークが見つからない場合、近いテイストを楽しめるバーボンをいくつか挙げておきます。
1. ノアズ・ミル(Noah’s Mill)
同じウィレット蒸溜所が手がける兄弟ブランド。ロー ワンズ クリークより高プルーフで、より濃密な味わい。甘さとスパイスの方向性は近く、「ロー ワンズ クリークが好きならこれも間違いない」と評される一本です。
2. ウィレット・ポット・スティル・リザーブ
特徴的な壺型ボトルで知られる、ウィレットの代表的バーボン。フローラルな香りと上品な甘みが特徴で、ロー ワンズ クリークより軽やかな印象です。
3. ノブ クリーク(Knob Creek)
ジムビーム系列の定番スモールバッチ。9年熟成・100プルーフで、樽香と甘みのバランスが良く、ロー ワンズ クリークに通じるトーンがあります。流通も安定しており、代替として現実的な選択肢です。
いずれも「甘さとスパイスの共存」を軸にしており、ロー ワンズ クリークの世界観を楽しむのに近い味わいを求める方にはおすすめです。
日本市場での入手事情と今後の見通し
日本国内では、2024年以降にロー ワンズ クリークを見かける機会が急減しました。通販サイトでは「取り扱い終了」や「再入荷未定」と表示されているケースが多く、バーや専門店でも在庫限りの販売が目立ちます。
これは、為替の変動や輸入コスト上昇、ウィレット社の生産計画の変更など、複数の要因が重なっていると考えられます。
また、海外市場でも人気が高まっているため、日本向けの割り当てが減っている可能性も否定できません。
ただし、完全な終売情報は確認されていないため、再入荷や限定復活の可能性は十分にあります。実際、ウィレットの他ブランドでは過去に数年ぶりの再リリース例もありました。焦らず、定期的に情報をチェックするのが良いでしょう。
バーボン愛好家が語る「ロー ワンズ クリーク」という存在
ロー ワンズ クリークは、派手さよりも職人の丁寧さを感じるウイスキーです。開栓した瞬間の香りの豊かさ、時間とともに変化する味わい、そして飲み終えた後の深い余韻――。そのすべてが、飲み手の記憶に静かに残る一本です。
長年バーボンを飲み続けている人ほど、このウイスキーの「地味にすごい」バランスに気づくもの。だからこそ、手に入らなくなっていくことに惜しむ声が多いのも頷けます。
終売かどうかはさておき、ロー ワンズ クリークが再び店頭に並ぶ日を願いながら、今あるボトルをじっくり楽しみたい――そんな声が今、世界中のバーボンファンから上がっています。
ロー ワンズ クリーク 終売の真相と、これから
結論として、ロー ワンズ クリークは「完全な終売」ではありません。しかし、日本市場では確実に希少化が進んでおり、次に入荷する時期は読めない状況です。
その味わいの深さと背景を知れば知るほど、手元に置いておきたいと思わせる一本であることに変わりはありません。
もし見つけたら、迷わず確保しておくのがおすすめです。
そして、いつの日か再びロー ワンズ クリークを気軽に楽しめる日が来ることを、バーボンファンの一人として願わずにはいられません。

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