子どもの頃、駄菓子屋でワクワクしながら糸を引いた記憶、ありますよね?
「どれを引こうかな」「当たりが出るかな」——そんな小さなドキドキをくれたのが、糸引き飴。
けれど今、その懐かしの駄菓子が静かに姿を消そうとしています。
この記事では、糸引き飴がなぜ終売になってしまったのか、そして今でも手に入る場所があるのかを徹底的に調べました。
糸引き飴とは?——子どもたちの“くじ引き菓子”の代表格
糸引き飴は、束ねられた糸の先に飴玉がついていて、どれを引くかで“当たり”や“大当たり”が出る駄菓子です。
フルーツ味やコーラ味、シャンペンサイダー味などのカラフルな飴が並び、見た目にも楽しい。
一本引くだけでワクワクしたあの体験は、単なるお菓子を超えて“遊び”そのものでした。
昭和から平成初期にかけて、駄菓子屋では定番中の定番。
友達同士で競ったり、夏祭りの屋台で見かけたり、まさに子ども時代の象徴だったといえるでしょう。
それが今、なぜ消えてしまったのか。理由を探ると、時代の流れの厳しさが見えてきます。
糸引き飴が終売になった理由① 唯一の製造元・耕生製菓が廃業
もっとも大きな要因は、製造元である耕生製菓(愛知県豊橋市)の廃業です。
同社は戦後まもなく創業し、70年以上にわたって糸引き飴を作り続けてきました。
国内で最後まで糸引き飴を製造していたメーカーとして知られています。
しかし2025年春、工場の老朽化や人手不足、原材料高騰などが重なり、ついに廃業を決断。
これにより、全国どこでも流通していた糸引き飴は正式に“終売”となりました。
「もう作る人がいなくなった」——そんなニュースに、多くのファンがショックを受けました。
糸引き飴が終売になった理由② 原材料と包装コストの高騰
駄菓子はもともと、子どもでも数十円で買える価格帯を守る文化の中で生きてきました。
しかしここ数年、砂糖や水あめといった主原料だけでなく、包装資材や燃料費の高騰も止まりません。
価格を上げれば駄菓子らしさが失われ、かといって採算も取れない——そんな板挟みの中で、多くの老舗が苦しんでいます。
糸引き飴も例外ではなく、採算が合わないまま手作業で製造を続けていたといいます。
値上げすれば駄菓子ではなくなり、据え置けば赤字。
長年続いた伝統の味が、経済的な現実に押し流されていったのです。
糸引き飴が終売になった理由③ 機械化の難しさと技術継承の壁
糸引き飴は見た目こそシンプルですが、実は非常に手間のかかる製品です。
糸を一定の長さで束ね、飴の芯に巻きつける作業はほぼ手作業。
専用の機械は老朽化しており、代替部品の調達も難しい状態でした。
さらに後継者問題も深刻でした。
耕生製菓の職人たちが培った“手の感覚”を伝える人材がいないまま、廃業を迎えてしまったのです。
こうした小規模菓子メーカーに共通する課題が、糸引き飴の終焉にも直結しました。
糸引き飴が終売になった理由④ 駄菓子屋文化の衰退
もうひとつ見逃せないのが、駄菓子屋そのものの減少です。
少子化やコンビニの普及、遊び場の変化などにより、子どもたちが駄菓子屋に集う機会は激減。
昭和の頃のように「放課後に10円握って買いに行く」という光景は、いまやほとんど見られなくなりました。
駄菓子屋が減れば、卸問屋も成り立たず、製造元も採算が取れない。
糸引き飴の終売は、まさにその連鎖の最終地点だったとも言えるでしょう。
「懐かしい」と語られる一方で、“今ではもう買えない”という現実が、世代の変わり目を象徴しています。
糸引き飴をもう一度食べたい!今も買える場所はある?
完全に生産が止まったとはいえ、まだ在庫が残っているお店や通販サイトもあります。
以下は現時点で確認されている入手ルートの一例です。
- 駄菓子問屋のオンラインショップ(在庫限り・製造終了表記あり)
- 楽天市場やYahoo!ショッピングなどの通販サイト
- 昔ながらの駄菓子屋や観光地の土産店(地域によっては在庫販売中)
ただし、いずれも在庫限りです。
製造が終了したため再入荷はなく、価格も通常より高くなっていることが多いです。
購入する際は、賞味期限や保管状態を確認し、信頼できる販売者から購入するようにしましょう。
糸引き飴の代わりに楽しめる“くじ付きお菓子”
「もう糸引き飴は手に入らないの?」という人には、似た体験ができるお菓子もあります。
たとえば、
- 当たり付き棒キャンディー
- くじ付きガム
- 紐付きチョコレート
- イベント用の“お楽しみ飴”
など、くじ引き要素を取り入れた駄菓子はいくつか残っています。
糸引き飴と同じように「どれを引くか」「当たりが出るか」を楽しめる商品も多く、子どもと一緒に遊びながら味わうにはぴったりです。
糸引き飴が残したもの——消えゆく駄菓子文化への惜別
糸引き飴の終売は、ひとつの駄菓子がなくなっただけではありません。
それは、日本の子ども文化の一部が幕を下ろしたという出来事でもあります。
駄菓子屋でのやり取り、友達との笑い声、わずか10円玉の価値。
そのすべてが、糸引き飴という小さな飴玉に詰まっていました。
現代の子どもたちには、スマホやデジタルゲームという新しい遊びがある一方で、
“何が出るか分からないワクワク”を手の感覚で味わう機会は少なくなっています。
だからこそ、終売のニュースに大人たちが反応したのかもしれません。
懐かしさと同時に、「あの頃の自分」にもう一度会いたくなった——そんな気持ちを呼び覚ます存在だったのです。
糸引き飴 終売の現実と、これからの駄菓子への期待
糸引き飴が終売になった理由には、時代の変化、経済の現実、そして人の問題が複雑に絡んでいました。
けれど、その“終わり”が必ずしもネガティブなものとは限りません。
失われたものを懐かしむだけでなく、そこに込められた職人の技や心を未来に伝えることもできます。
今でも在庫を探せば、どこかで最後の糸引き飴に出会えるかもしれません。
そして、その一本を引く瞬間に感じるのは、きっと子どもの頃と同じ小さなドキドキ。
飴ひとつで笑顔になれたあの時間を、もう一度思い出してみてください。
糸引き飴が終売になった今も、私たちの記憶の中には確かに残っています。
そしてそれは、これからの駄菓子文化を語るうえで欠かせない“原点”なのかもしれません。

コメント