「最近、BC Richのギターを店頭で見かけない」「欲しいモデルがどこにも在庫なし」。そんな声をSNSや楽器店の口コミでよく見かけます。
かつてヘヴィメタルギターの象徴として名を馳せたブランド、BC Richがなぜ今「売ってない」と言われているのでしょうか。
この記事では、その背景や在庫不足の理由、そして今でも手に入る販売店や入手方法をわかりやすくまとめていきます。
BC Richとはどんなブランド？
まず、BC Rich（ビーシーリッチ）がどんなブランドなのかをおさらいしておきましょう。
1970年代初頭、アメリカ・ロサンゼルスでギター職人バーニー・リコが立ち上げたブランドがBC Richです。
個性的で鋭角的なボディ形状、重厚な音、そして圧倒的な存在感が特徴で、当時のメタル・ハードロック系ミュージシャンに絶大な支持を受けました。
代表的なモデルといえば「モッキンバード」「ワーロック」「イーグル」など。
どれも一度見たら忘れられない独創的なデザインで、80〜90年代にかけて世界中で人気を博しました。
しかし、その後ブランドの体制や生産地の変化によって、流通のあり方も少しずつ変わっていきます。
BC Richが売ってない？在庫不足の背景にある事情
最近「BC Richがどこにも売ってない」と感じる人が増えています。
その背景にはいくつかの複合的な理由があるようです。
1. 生産拠点・シリーズ整理による供給減
創業当初はアメリカ国内でのハンドメイド生産が主流でしたが、1980年代からは日本製「NJシリーズ」や韓国・中国などのアジア圏生産が増加しました。
その後、ブランドの所有権や製造ラインが複数回移り変わり、生産国や工場が変わるたびに一部モデルの製造が停止。
つまり、人気モデルが「廃盤」または「再生産未定」となっているケースが多いのです。
特に2020年代に入ってからは、シリーズ整理とリニューアルの影響で、旧モデルが市場から一気に姿を消した時期がありました。
これが「売ってない」と感じる最大の要因のひとつです。
2. ブランド再編による供給遅延
BC Richは2020年前後にブランド運営体制が再構築され、新オーナーシップのもとで再出発を図りました。
公式サイトでは新しいラインナップの発表があったものの、実際の出荷ペースが非常にゆっくりで、世界的に供給が追いついていないという声もあります。
新体制のもとで品質向上を優先しているため、以前のように大量生産ができていないとも言われています。
3. 日本市場での取り扱い縮小
国内の大手楽器チェーン（島村楽器・石橋楽器など）では、BC Richの新品在庫が極端に少なくなっています。
実際にオンラインストアを確認しても、表示されるのは中古モデルか、一部の限定在庫のみ。
これは、国内の正規代理店が現在限定的な取り扱いにとどまっているためと考えられます。
もともと「変形ギター」「メタル特化」というジャンル性が強く、需要の波が激しいため、在庫を抱えにくい構造も背景にあります。
4. 世界的な部品供給問題
コロナ禍以降、ギター業界全体でパーツ供給の遅延が続いています。
トラスロッドやピックアップ、チューナーなどの主要部品を海外に依存しているブランドほど影響を受けやすく、BC Richも例外ではありません。
工場ラインが止まったり、輸送コストが高騰したりすることで、出荷ペースが遅れているのです。
5. 人気シリーズの中古偏重
「NJシリーズ」「USAカスタム」など、過去の名作モデルは現在ほとんどが中古市場にしか存在しません。
つまり、新品を探しても“そもそももう作っていない”状態。
これにより「売ってない」と感じる人が増え、逆に中古市場ではプレミア価格が付くケースも見られます。
国内でBC Richを買うには？現行の入手ルートを紹介
「どうしてもBC Richが欲しい」「正規で買えるところはないの？」という人に向けて、現在利用できる入手ルートを紹介します。
1. 大手楽器店のオンラインショップをチェック
まずは定番の国内販売店から。
石橋楽器店では、BC Richの中古・新品モデルが少数ながら掲載されています。
島村楽器のオンラインストアにも、限定的ながら新品モデルが登録されていることがあります。
入荷数が少ないため、こまめに在庫チェックを行うのがポイントです。
2. 中古専門店・オークションサイトを活用
BC Richに関しては中古市場が非常に活発です。
Yahoo!オークションやメルカリでは、NJシリーズやUSAカスタムなどの人気モデルが日常的に出品されています。
中古を選ぶ場合は、以下のポイントを必ず確認しましょう。
- 製造国（日本製・韓国製・中国製で品質差あり）
- 改造歴・パーツ交換の有無
- ネック状態・フレット残量
- 出品者の評価・保証の有無
状態の良い個体は年々減っているため、見つけたら早めの判断がおすすめです。
3. 海外通販・正規ディーラーから購入
英語サイトの「B.C. Rich Official Store」では、最新モデルを直販しています。
また、海外の大手通販サイト（Reverb.comなど）でも多数のBC Richが取引されています。
ただし、並行輸入の場合は関税・送料・保証面を事前に確認しておく必要があります。
特にアフターサービスを国内で受けられないケースもあるため注意しましょう。
4. 楽器フェアや限定受注に注目
BC Richはマニアックなブランドゆえに、展示会や限定販売での出品が多いのも特徴です。
音楽フェアやイベントで限定モデルが受注されることもあり、公式SNSや各販売店の告知をフォローしておくと掘り出し物に出会えることがあります。
人気モデルと中古市場の動向
BC Richの中でも特に人気が高いのは以下のシリーズです。
- ワーロック：メタルギターの象徴とも言える鋭角的デザイン。
- モッキンバード：独特な曲線美と高い演奏性を両立。
- イーグル：クラシックなルックスながら音抜けが良く、幅広いジャンルで使用可能。
- Ironbird／Bich：コアなファンが多い個性派シリーズ。
これらのモデルはすでに生産終了している場合も多く、特に日本製のNJシリーズは中古市場でプレミア化しています。
価格は状態や年代によってまちまちですが、10万円台後半から30万円台以上で取引されることも少なくありません。
中古を選ぶ際は、リフィニッシュやパーツ交換の有無をしっかりチェックし、信頼できる店舗からの購入をおすすめします。
今後のBC Richに期待できること
2020年代に入り、BC Richは再びブランドとしての再構築を進めています。
公式サイトでは新しいロゴデザインや現代的な仕様のモデルが登場しており、過去の名作を現代向けにアップデートする動きも見られます。
また、従来の“変形ギター専門”というイメージから、より多様なプレイヤー層に向けたシリーズ展開も進行中。
こうしたリニューアルが落ち着けば、今後再び日本市場での流通量が回復する可能性もあります。
とはいえ、当面は少量生産・限定入荷が続くと見られます。
もし気になるモデルが見つかった場合は、ためらわず販売店に問い合わせるか、早めの予約をしておくのが確実です。
まとめ：BC Richが売ってないのは“消えた”わけではない
ここまで見てきたように、BC Richが「売ってない」と言われるのは、単なる人気の衰退ではなく、
・生産拠点や流通体制の変化
・モデル整理や再編による供給遅延
・国内市場での限定流通
といった複数の要因が重なった結果です。
実際には、少量ながら国内販売店にも在庫があり、中古市場では今も多くのモデルが流通しています。
BC Richは一度途絶えたわけではなく、むしろ“再構築期”にあるブランド。
今後、新シリーズの展開によって再び脚光を浴びる日も近いかもしれません。
鋭く個性的なルックスと、唯一無二のサウンドを持つBC Rich。
「売ってない」と感じる今だからこそ、探す楽しみと、手にしたときの喜びはより大きいはずです。
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