お葬式や法要などで「お布施を包む封筒、どれがいいんだろう？」と迷った経験はありませんか？
白い封筒や水引付きの袋、御布施袋など、種類が多くて迷う方も多いはずです。実は、封筒の選び方や書き方にはきちんとしたマナーがあります。今回は、お布施を包む封筒の選び方から、書き方・渡し方までをわかりやすく解説します。
お布施とは？意味と目的を理解しておこう
まず前提として、「お布施（おふせ）」とは僧侶や寺院に対して感謝の気持ちを表すために包む金銭のことです。
お葬式や法要、戒名をつけてもらったときなど、僧侶がお勤めをしてくださる際にお礼としてお渡しします。
つまり「料金の支払い」ではなく、あくまで「感謝の気持ちを形にする」もの。
そのため、お布施の封筒選びや書き方、渡し方にも丁寧さや誠意を込めることが大切です。
お布施の封筒はどれがいい？選び方の基本
お布施を包む封筒の選び方で迷ったときは、次の3つのポイントを覚えておきましょう。
- 白無地の封筒を選ぶ
もっとも一般的で無難なのは、白くて無地の封筒です。郵便番号欄や柄が入っていないものを選びましょう。市販の「御布施」と印字された封筒でもOKです。 - 水引は基本的に不要
お布施は感謝の気持ちを表すものであり、香典のように悲しみを表現する場ではないため、水引をつける必要はありません。水引付きの不祝儀袋は避け、シンプルな封筒にしましょう。
ただし、地域や宗派によっては水引をつける場合もあるため、迷ったらお寺や親族に確認すると安心です。 - 中袋なしでも問題なし
白封筒で中袋がついていないタイプが一般的です。中袋付きでも使えますが、「不幸が重なる」という意味を嫌う地域もあるので注意しましょう。
封筒のサイズや材質は特に決まりがありません。市販の御布施袋や文具店の白封筒で十分です。大切なのは、清潔感と丁寧さです。
奉書紙・和紙を使う場合の包み方
より正式にしたい場合は、奉書紙（ほうしょし）や半紙を使う方法もあります。
この場合は、まず半紙でお札を包み（中包み）、その上から奉書紙で包みます。
奉書紙のざらざらした面が外側になるように包み、のり付けは不要です。
封筒に比べて格式が高く、法要や初七日などの改まった場面でも失礼がありません。
表書きの書き方と注意点
封筒の表面には、縦書きで「御布施」または「お布施」と書きます。
中央上部に大きめに書き、その下に施主の名前を記入します。
個人ならフルネーム、家族なら「○○家」でもかまいません。
墨は「濃墨（普通の黒墨）」を使います。
香典などでは「薄墨（悲しみを表す）」が一般的ですが、お布施は感謝の意味を表すため濃い黒を使うのが正解です。
筆ペンや毛筆が望ましく、ボールペンやサインペンは避けましょう。
宗派によっては「御読経料」「御回向料」などと書く場合もありますが、一般的には「御布施」で問題ありません。浄土真宗では特に「読経料」「戒名料」などは使わず、「御布施」に統一するのがマナーです。
中袋・裏面の書き方
中袋がある場合は、以下のように記入します。
- 表面：中央に金額を旧漢字で書く（例：「金壱萬圓也」）
- 裏面：左下に住所と氏名を縦書きで書く
中袋がない場合は、外袋の裏面左下に住所・氏名を記入します。
金額は書かなくても構いませんが、丁寧にしたい場合は旧漢数字で書くとよいでしょう。
旧漢数字の例：
一＝壱、二＝弐、三＝参、五＝伍、十＝拾、千＝仟、万＝萬
「円」は「圓」、「なり」を意味する「也」を末尾につけます。
例：「金壱萬圓也」
この形式は改ざんを防ぐ意味もあり、昔ながらの正式な書き方として重視されています。
お札の入れ方と向き
お布施に入れるお札は、できるだけ新札を使うのがマナーです。
新札は「事前に準備していた感謝の気持ち」を表すとされています。
新札がない場合は、折れや汚れのないきれいなお札を選びましょう。
お札の向きは、封筒の表側（御布施と書かれた面）を上にして、
肖像画が封筒の表面・上向きになるように入れます。
複数枚ある場合は向きを揃えて入れることが大切です。
渡すタイミングと作法
お布施を渡すタイミングは、法要や葬儀が始まる前が一般的です。
僧侶が読経を始める前、またはお寺であいさつをするときに、
感謝の言葉を添えてお渡しします。
たとえば、
「本日はお勤めいただきありがとうございます。こちらお布施でございます。」
と一言添えるだけでも丁寧な印象になります。
封筒は袱紗（ふくさ）や切手盆にのせて差し出すのが正式です。
封筒の表書きが僧侶に向くように置き、両手で渡します。
直接手で渡すよりも丁寧で、きちんとした印象になります。
もし当日バタバタして渡しそびれた場合は、
後日お寺を訪れて「その節はありがとうございました」とお礼を伝えながらお渡ししても問題ありません。
宗派や地域による違いも知っておこう
お布施の封筒や書き方は、宗派や地域によって細かい違いがあります。
たとえば、浄土真宗では「御布施」とだけ書くのが基本ですが、
曹洞宗や真言宗などでは「御経料」「御回向料」と書く場合もあります。
また、関西の一部地域では黄色い水引を使う風習も見られます。
このように慣習はさまざまなので、迷ったときは
親族やお寺に確認しておくと安心です。
地域や宗派に合わせることも「礼を尽くす」ことにつながります。
よくある質問Q&A
Q. 封筒の金額に4や9を避けたほうがいい？
A. お布施には特に「忌み数」はありません。4万円や9万円を避ける必要はありません。気になる場合は端数を切り上げて包むとよいでしょう。
Q. 御車代や御膳料も一緒に包んでいい？
A. 基本的には別の封筒に分けて包みます。複数の封筒を渡す場合は、お布施を一番上に重ねます。
Q. ボールペンで書いてもいい？
A. 正式には筆ペンか毛筆を使うのがマナーです。ボールペンは略式とされます。
Q. 封筒の裏に金額を書かないといけない？
A. 中袋がある場合は裏書き不要です。中袋がない場合のみ、裏に金額を書くようにしましょう。
お布施の封筒で失礼にならないためのポイント
最後に、封筒選びから渡し方までの流れをもう一度まとめておきましょう。
- 白無地の封筒（郵便番号欄なし）を選ぶ
- 水引はつけない
- 濃墨で「御布施」と書く
- 新札を入れ、肖像画の向きを揃える
- 中袋があれば金額と住所を記入
- 袱紗や切手盆にのせて両手で渡す
- 感謝の言葉を添えて丁寧に渡す
この一連の流れを押さえておけば、どの法要や葬儀でも安心して対応できます。
大切なのは形式よりも「感謝の心を丁寧に伝えること」。
封筒や書き方はその気持ちを形にする手段です。
お布施の封筒はどれがいい？迷ったら「白無地・水引なし・濃墨」で
ここまで、お布施の封筒の選び方と書き方、渡し方のマナーを紹介しました。
まとめると、「白無地・水引なし・濃墨で御布施」と書くのが基本。
地域や宗派の違いがある場合は、その慣習に従うのが最も丁寧です。
お布施は「感謝」を伝えるもの。
封筒を選ぶとき、書くとき、渡すとき──
どの瞬間にもその気持ちを込めることが、いちばん大切なマナーといえるでしょう。
