片頭痛の発作時に頼りになる「イミグラン点鼻」。
飲み薬が効きづらいときや、吐き気で錠剤を飲めないときに使える便利な薬です。
しかし最近は「薬局で在庫がない」「出荷制限で手に入らない」といった声も増えています。
では、イミグラン点鼻が手に入らないときに使える代替品はあるのでしょうか?
同成分のジェネリックや市販薬で代用できるのか、最新情報をもとに解説していきます。
イミグラン点鼻とはどんな薬?
まず、イミグラン点鼻の基本から整理しておきましょう。
有効成分は「スマトリプタン」で、片頭痛の急性期に使われるトリプタン系という種類の薬です。
頭の血管が拡張して痛みを起こしている状態を抑え、発作を鎮めてくれます。
イミグランには錠剤や注射もありますが、点鼻タイプの特徴は「効果の早さ」。
鼻から吸収されるため、飲み薬よりも早く効き始めるのがポイントです。
特に吐き気や嘔吐を伴う片頭痛のときは、飲み薬より点鼻タイプが向いています。
ただし副作用もあり、鼻の刺激感、鼻水、苦味、鼻出血などが報告されています。
また心臓や血管の病気がある人、高血圧、肝障害のある人は使えない場合もあるため、医師の判断が欠かせません。
供給制限の現状と「代替品探し」の背景
イミグラン点鼻は、ここ数年「供給不安」が続いています。
2023年から出荷制限がかかり、医療機関によっては「在庫なし」「次の入荷未定」という状況も見られました。
2025年秋の時点では出荷が一部再開されていますが、依然として「限定出荷」の状態が続いています。
つまり、医師が処方したくても在庫がないケースがあるということ。
このため「点鼻が使えないなら別の薬で何とかしたい」と考える人が増えているのです。
イミグラン点鼻と同成分のジェネリックはある?
結論から言うと、日本ではスマトリプタン点鼻のジェネリックは存在していません。
イミグラン点鼻は、国内で唯一のスマトリプタン点鼻製剤です。
錠剤のジェネリックはありますが、点鼻タイプは製造・販売している会社が限られており、後発品はまだ登場していません。
つまり、同成分・同剤形の「完全な代替品」は現時点では手に入りません。
そのため、イミグラン点鼻が入手できないときは、同じトリプタン系の他の薬を選ぶのが現実的です。
同効薬(トリプタン系)の代替候補
トリプタン系薬には、スマトリプタン以外にも複数の種類があります。
いずれも片頭痛の発作時に使われる薬で、作用のしくみはほぼ同じです。
効果の出る速さや持続時間、副作用の出やすさが少しずつ異なります。
代表的なものを紹介します。
- ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)
飲み薬や口で溶けるタイプがあり、効果の立ち上がりと持続のバランスが良いとされます。 - リザトリプタン(マクサルト)
速く効きやすく、発作の初期に使うと特に効果的。
OD錠もあり、水なしで飲めるのが便利です。 - ナラトリプタン(アマージ)
作用時間が長く、再発しやすいタイプの片頭痛に向いています。
即効性はやや劣りますが、穏やかに効くのが特徴です。 - エレトリプタン(レルパックス)
やや強めに効くタイプで、しっかり痛みを抑えたい人に向きます。
ただし血管への影響が強いので、持病がある人は注意が必要です。
このように、スマトリプタン以外にもトリプタン系は複数あります。
医師に相談すれば、発作の頻度や痛み方に合わせて別の薬を提案してもらえるでしょう。
「点鼻に代わる」使いやすい選択肢は?
イミグラン点鼻の強みは「吐き気があっても使える」「効果が早い」という点です。
一方で、ほとんどの代替候補は錠剤やOD錠。つまり口から飲むタイプになります。
そのため、以下のような使い分けが考えられます。
- 吐き気が少ないタイプの片頭痛 → 経口のトリプタン系(マクサルト、ゾーミッグなど)
- 嘔吐が強い・飲みづらい → 注射タイプのスマトリプタンを検討(医師処方が必要)
- 軽度の痛みで我慢できる範囲 → 一般の鎮痛薬(ロキソプロフェンやイブプロフェン)で一時的に対応
また、最近では血管を収縮させないタイプの新しい片頭痛治療薬も登場しています。
これらは「トリプタンが使えない人」や「心臓・血管に不安がある人」に処方されるケースもあります。
ただし、いずれも医師の判断が必要で、市販では購入できません。
市販薬で代用できるのか?
市販の頭痛薬で片頭痛を和らげることは可能ですが、「代替」とは言えません。
市販薬の多くはロキソプロフェンやイブプロフェンといったNSAIDs系で、炎症や痛みを抑える薬です。
発作の根本原因である「血管の異常な拡張」を抑える作用はありません。
軽度の発作や、トリプタンを使うほどではない時には市販薬で乗り切ることもありますが、
何度も繰り返し使うと「薬剤使用過多頭痛」と呼ばれる別の頭痛を引き起こす恐れがあります。
そのため、市販薬の使用はあくまで一時的な対処に留めるのが安全です。
代替薬を使うときに注意すべきポイント
イミグラン点鼻の代替として他の薬を使う場合、次のような点に注意が必要です。
- 持病の有無を確認する
トリプタン系は血管を収縮させるため、心臓病や高血圧のある人は使えない場合があります。 - 効果のタイミングを見極める
経口薬は点鼻より効き始めが遅く、発作が進むと効果が落ちることがあります。
発作の初期に使うのがポイントです。 - 医師の指導を受ける
自己判断で薬を切り替えると、効きすぎや副作用のリスクがあります。
同じトリプタン系でも強さや持続時間が違うため、医師に相談して最適な薬を選びましょう。 - 薬の使いすぎに注意する
どんな薬でも、月10回以上の使用が続くと頭痛を悪化させることがあります。
頻繁に発作が起こる場合は、予防薬を検討することも大切です。
医師と相談して“自分に合う代替薬”を見つけよう
イミグラン点鼻のように、片頭痛治療薬は「どの薬が合うか」が人によって大きく違います。
同じ成分でも効き方や副作用の出方が異なるため、合う薬を見つけるまでに時間がかかることもあります。
ネットの情報だけで判断せず、必ず医師に相談するのが安全です。
特に「今までイミグラン点鼻でうまくコントロールできていたのに、供給が止まって困っている」という人は、
主治医に「ほかのトリプタン系」「注射タイプ」「新しい片頭痛薬」などを相談してみましょう。
薬剤師に在庫状況を確認しておくのもおすすめです。
まとめ:イミグラン点鼻の代替品は?
現時点では、イミグラン点鼻と同成分・同剤形のジェネリックは存在しません。
ただし、同じ作用機序をもつトリプタン系の薬(ゾーミッグ、マクサルト、アマージ、レルパックスなど)が代替候補になります。
市販薬は軽い頭痛なら一時的に使えますが、片頭痛の根本的な治療薬ではありません。
供給が安定しない今こそ、自分の症状に合った代替薬を見つけておくことが大切です。
医師と相談しながら、無理なく使える治療法を選びましょう。
イミグラン点鼻の代替品を探している方へ
片頭痛の痛みは人それぞれ。
「これが効く」という薬が一つとは限りません。
イミグラン点鼻が手に入りにくい今だからこそ、他のトリプタン系や新しい治療薬について、
医師に相談しながら自分に合った方法を見つけることが、最も確実な代替策です。
