花粉やハウスダストによる鼻づまりやくしゃみを抑えてくれた「リノコートパウダースプレー」。使いやすくて手放せなかったという人も多いはずです。そんなリノコートが販売終了となり、「同じような使い心地の薬はもうないの?」と感じている方もいるでしょう。
この記事では、リノコートの特徴や販売終了の背景をふまえながら、同等効果が期待できる代替品についてわかりやすく解説します。
リノコートパウダースプレーとはどんな薬だったのか
リノコートは、帝人ファーマが製造・販売していた「ベクロメタゾンプロピオン酸エステル」を有効成分とする粉末タイプの点鼻薬です。主にアレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎に使われ、炎症を抑える作用を持つ“ステロイド点鼻薬”の一つでした。
最大の特徴は「粉末タイプ」という点。一般的な液体点鼻薬と違い、リノコートは鼻の粘膜に粉末がしっかり付着して、有効成分をゆっくり放出する仕組みになっていました。これにより、鼻水やくしゃみ、鼻づまりといった症状を長時間穏やかに抑えてくれたのです。
液体タイプだと「刺激が強い」「すぐ流れてしまう」と感じる人にとって、リノコートは非常に使いやすい薬だったといえるでしょう。
販売終了の理由と背景
リノコートパウダースプレーは、2022年3月末をもって販売が終了しました。帝人ファーマの公式発表によると、薬価基準の経過措置期間が終了したことによるもので、製品の品質や安全性に問題があったわけではありません。
つまり、「薬としての価値がなくなった」のではなく、制度上の理由で販売が終わった形です。長年使用してきた方にとっては突然の終了となり、代替品を探す動きが広がっています。
リノコートの特徴と評価されていたポイント
リノコートが支持されていた理由は、以下のような特徴にあります。
- 粉末が鼻粘膜にしっかり付着し、薬効が長く続く
- 液体点鼻薬に比べて刺激が少ない
- 鼻の奥まで届きやすく、即効性もある
- 1日2回の使用で効果が持続
とくに粉末タイプの「粘膜付着性」と「徐放性(ゆっくり効く)」のバランスがよく、液体スプレーが合わない人や、鼻が敏感な人にも向いていました。
ただしステロイド薬なので、長期的な連用には注意が必要です。用量や使用期間を守らないと、鼻粘膜の乾燥や刺激感が出ることもあります。これは他のステロイド点鼻薬にも共通する注意点です。
リノコートの代替品としておすすめされる薬
リノコートと同じ有効成分を含み、同等の効果が期待できる薬はいくつか存在します。その中でも注目されているのが次の製品です。
ベクロメタゾン鼻用パウダー25μg「トーワ」
リノコートと同じ成分「ベクロメタゾンプロピオン酸エステル」を含む処方薬です。製造販売元は東和薬品で、効能・用法もリノコートとほぼ同等。粉末が鼻の粘膜に付着して炎症を抑える点も同じで、最も近い代替薬といえるでしょう。
ただし、こちらも処方箋が必要な医療用医薬品です。以前リノコートを使っていた人は、耳鼻科で医師に「リノコートに近い薬を希望している」と相談すれば、この薬を提案してもらえる可能性があります。
他の点鼻ステロイド薬(液体タイプ)
リノコートと同じ粉末タイプは少ないため、現実的には液体タイプのステロイド点鼻薬を選ぶ人も多いです。液体タイプは市販でも入手でき、代表的なものには以下のような薬があります。
- ナザールαAR(佐藤製薬)
フルチカゾンプロピオン酸エステル配合の点鼻薬。鼻づまり、くしゃみ、鼻水にバランスよく効くタイプで、市販のステロイド点鼻薬としては定番です。 - フルナーゼ点鼻薬(グラクソ・スミスクライン)
医療用から市販化された点鼻薬で、花粉症や通年性アレルギー性鼻炎の症状に使用可能。刺激が少なく、長年愛用している人も多いです。 - エージーノーズ アレルカットC(第一三共ヘルスケア)
ステロイドに加えて抗ヒスタミン成分を配合。くしゃみや鼻水を同時に抑えたい人に選ばれやすいタイプです。
これらはすべて液体スプレーですが、リノコートのような「抗炎症作用」を持っており、鼻の症状を幅広くケアできます。
粉末と液体の違いを理解して選ぶ
リノコートが粉末タイプだったことを踏まえると、液体点鼻薬に切り替えたときに「効き目が違う」と感じる人もいます。粉末は鼻粘膜に長くとどまりやすく、持続的に効くのに対し、液体はすぐに流れてしまうため、効果の持続時間が短く感じることがあります。
一方で、液体タイプは市販で手軽に購入できる点がメリットです。外出先でも使いやすく、スプレータイプによっては微粒子ノズルで刺激を軽減しているものもあります。
粉末の使用感にこだわるなら、処方薬の「ベクロメタゾン鼻用パウダー」を検討し、入手のしやすさを重視するなら市販の液体ステロイド点鼻薬を選ぶのが現実的です。
代替薬を使うときの注意点
ステロイド系の点鼻薬は、鼻の炎症をしっかり抑えられる一方で、使い方を誤ると副作用が出ることもあります。使用前に知っておきたいポイントをまとめます。
- 鼻をかんでから使用し、粘膜に直接噴霧する
- 用量を守り、1日2回を目安に使う(製品によって異なる)
- 症状が軽快したら自己判断で長期使用しない
- 鼻出血や痛みが出たら中止して医師に相談する
- 妊娠中・授乳中・小児は医師の指示に従う
また、鼻づまりが強いときは薬が奥まで届きにくいため、事前に温かいタオルで鼻を温めるなどの工夫も有効です。
医師・薬剤師に相談して最適な代替を選ぶ
リノコートの代替を探す際は、まず医療機関や薬剤師に相談することが大切です。アレルギー性鼻炎と一口に言っても、原因や症状の出方は人によって異なります。ステロイド薬が合わない体質の人もいますし、鼻の粘膜が弱っていると粉末タイプが刺激になることもあります。
医師に相談すれば、症状や生活スタイルに合わせて最適な治療法を提案してもらえます。市販薬で対応したい場合も、薬剤師に「以前リノコートを使っていた」と伝えると、使用感が近いものを教えてもらいやすいです。
薬に頼りすぎない鼻ケアの工夫
薬だけに頼らず、日常生活の工夫で鼻の負担を減らすことも重要です。
- 室内の湿度を保ち、乾燥を防ぐ
- マスクを活用して花粉やホコリの侵入を減らす
- 帰宅後は鼻うがいでアレルゲンを洗い流す
- 睡眠不足やストレスを溜めない
こうした基本的な対策を続けることで、鼻炎症状の悪化を防ぎ、薬の使用量を減らせることもあります。
まとめ:リノコートパウダースプレーの代替品選びは慎重に
リノコートパウダースプレーの販売終了は残念ですが、同等効果を持つ薬は今も存在します。成分が同じ「ベクロメタゾン鼻用パウダー25μg「トーワ」」は特に近い代替品ですし、市販のステロイド点鼻薬でも十分に効果が期待できるものがあります。
粉末タイプにこだわるか、使いやすさを優先するかは人それぞれ。大切なのは、自分の症状や体質に合った方法で鼻炎をコントロールすることです。
困ったときは無理に自己判断せず、医師や薬剤師に相談して、自分に合う代替品を見つけてください。リノコートに代わるパートナーは、きっと見つかるはずです。
