冬の寒さが厳しくなると、毎年のように「やっぱりホットマンが恋しい…」という声を耳にします。
富士通ゼネラルがかつて販売していた温水ルームヒーター「ホットマン」。室外で灯油を燃焼させて温水を作り、その熱を室内に送る仕組みで、足元からじんわり暖まる快適な暖房でした。
しかし、残念ながらホットマンはすでに販売終了。修理や交換部品にも限界があり、「次に何を選べばいいのか分からない」という人が多いのが現状です。
そこで今回は、ホットマンの代替品として選ばれている暖房機を徹底比較。
特徴・使い勝手・コスパなどを整理しながら、「今の暮らしに合う暖房選び」を分かりやすく紹介します。
富士通ホットマンとは?販売終了の背景と特徴
まずは簡単に、ホットマンの仕組みをおさらいしましょう。
ホットマンは室外機で灯油を燃焼させ、その熱を温水として室内機に送る温水暖房システム。室内では電気を使わず、温水の熱だけで空気を温める仕組みでした。
この方式の魅力は何といっても「空気がきれいで乾燥しにくいこと」。
エアコンのように温風を直接吹き出さないため、ほこりが舞いにくく、足元からじんわりとした暖かさが広がるのが特徴です。
特に、冷え性の人やお子さん・高齢者のいる家庭では「一度使うと離れられない」と評判でした。
しかし、富士通ゼネラルは数年前にホットマンの製造・販売を終了。
その理由には、灯油暖房の需要減少や、設置・配管コストの高さ、メンテナンスの難しさなどが挙げられます。
現在は交換用部品や不凍液などの消耗品のみが一部で販売されていますが、新品のホットマンを手に入れることは事実上できません。
ホットマンの代替品に求められる条件
ホットマンを愛用していた人が新しい暖房を選ぶとき、重視すべきポイントは次の5つです。
- 足元からじんわり暖まること
ホットマン最大の特徴だった「下からの自然な暖かさ」を再現できるか。 - 空気を汚さず、乾燥しにくいこと
エアコンの温風が苦手な人にとって重要な要素。 - 設置が簡単で、賃貸やマンションでも使いやすいこと
ホットマンのような配管工事を必要としない機種が理想。 - ランニングコストが現実的であること
灯油・ガス・電気など、エネルギーコストを含めて無理のない運用ができるか。 - 安全性とメンテナンス性
転倒や火傷のリスクが少なく、掃除・管理が簡単であること。
これらを踏まえたうえで、ホットマンに近い暖かさや快適さを実現できる暖房機を探していきます。
代替候補① 温水式ルームヒーター(サンポット 温水ルームヒーターなど)
ホットマンと同じ「温水暖房方式」にこだわりたい人には、サンポット 温水ルームヒーターが有力な選択肢です。
給湯ボイラーで作った温水を利用し、室内に熱を伝えるタイプで、ホットマンと非常に似た原理を採用しています。
既に温水配管がある家庭なら、室内機だけを交換して利用できるケースもあります。
温風ではなく「放熱板でじんわり暖める」ため、ホットマン愛用者でも違和感が少なく、乾燥しない快適な暖房を再現できます。
ただし、温水ボイラーの設置が必要な場合は初期コストが高くなる点に注意。
持ち家や戸建て向けの選択肢といえるでしょう。
代替候補② オイルヒーター(アイリスオーヤマ IOH-1208KS・アイリスオーヤマ POH-505K・デロンギ オイルヒーターなど)
手軽さと快適さを両立したい人におすすめなのが、オイルヒーター。
内部のオイルを電気で温め、輻射熱と自然対流で部屋全体を暖める仕組みで、ホットマンに近い「静かで自然な暖かさ」が得られます。
アイリスオーヤマ IOH-1208KSやアイリスオーヤマ POH-505K、デロンギ オイルヒーターなど、サイズや出力も豊富。
特に家庭用に人気で、足元中心の暖房にも最適です。
風が出ないためホコリが舞わず、空気を乾燥させにくい点も魅力。
小さなお子さんやペットがいる家庭でも安心して使えます。
一方で、部屋全体が暖まるまで少し時間がかかるのがデメリットです。
すぐに暖まりたい人は他のタイプと併用するのが現実的です。
代替候補③ セラミックヒーター・ファンヒーター(山善 YA-ZT1000・TEKNOS TOH-D1102Kなど)
「設置の簡単さ」や「即暖性」を重視するなら、電気ファンヒーターやセラミックヒーターが便利です。
代表的な機種では、山善 YA-ZT1000やTEKNOS TOH-D1102Kなどがあります。
スイッチを入れてすぐに暖かい風が出るため、朝の冷え込みや脱衣所、デスク下などに最適。
灯油を使わないので給油の手間もなく、匂いも発生しません。
ただし、空気がやや乾燥しやすく、広いリビング全体を暖めるのには不向き。
エアコンやオイルヒーターと併用することで、即暖と持続的な暖かさの両方をカバーできます。
代替候補④ こたつ・足元ヒーター・部分暖房(TEKNOS TMS-520FUなど)
ホットマンの「足元が温かい感覚」を重視するなら、部分暖房の組み合わせも選択肢に入ります。
たとえば、こたつ用の取替ヒーターTEKNOS TMS-520FUなどは、手軽に暖を取れる上に電気代も控えめ。
デスクワークや在宅勤務が多い人なら、フットヒーターやパネルヒーターなども便利です。
部屋全体を温める力は弱いものの、エアコンと組み合わせれば十分な暖かさを確保できます。
「ホットマンほど本格的でなくてもいいけど、足元の冷えを何とかしたい」という人に最適です。
ランニングコストと使い勝手の比較
・温水式ヒーター
灯油+電気を使うため燃料コストは高め。ただし、室外燃焼で空気が汚れず、部屋全体をじんわり暖める性能は抜群。
・オイルヒーター
電気代は1時間あたり約20〜30円前後。無風で快適だが、即暖性には欠けるため、長時間運転が前提になる。
・セラミックヒーター/ファンヒーター
即暖性が高く、狭い空間向け。消費電力が大きいので、短時間の使用が基本。
・部分暖房系(こたつ・フットヒーター)
消費電力が小さく、電気代も安い。限定的な暖房範囲ながら、コスパは非常に良い。
暮らし方や部屋の構造、使用時間によって最適解は変わりますが、総じて「オイルヒーター+補助暖房」の組み合わせが人気です。
代替選びで失敗しないためのポイント
- 「家全体を暖めたい」か「一部を暖めたい」かを決める
部屋数が多い家なら温水式、ワンルームなら電気式が現実的です。 - 電気容量やブレーカー容量を確認する
オイルヒーターやファンヒーターは消費電力が大きいため、同時使用の家電に注意。 - 安全装置や転倒時OFF機能の有無をチェック
特に高齢者やペットがいる家庭では重要です。 - 使用シーンに合わせた併用を考える
即暖タイプと持続型を組み合わせることで、効率よく快適に過ごせます。
富士通ホットマンからの乗り換えまとめ
ホットマンのように「空気を汚さず、足元からじんわり暖まる」暖房機は、現在でも根強い人気があります。
ただし、同じ温水式システムを新たに導入するのはハードルが高いため、多くの家庭ではオイルヒーターや電気ヒーターへの移行が現実的です。
- 家の給湯設備を活かしたい → サンポット 温水ルームヒーター
- 手軽に快適さを求めたい → アイリスオーヤマ IOH-1208KSやデロンギ オイルヒーター
- すぐに暖めたい・部分的に使いたい → 山善 YA-ZT1000やTEKNOS TOH-D1102K
それぞれの特徴を理解して、自分の生活スタイルに合った暖房機を選ぶことが、後悔しないポイントです。
かつてのホットマンがもたらしてくれた“やさしい暖かさ”を、今の技術でもう一度。
今冬はあなたの家にも、新しい快適さを迎えてみてはいかがでしょうか。
