いよいよやってくる年末。今年こそ、年賀状どうしよう? 「はがき代85円」が現実になる2026年。手に取るあなたも、費用や手間を考えて「そろそろやめどきかな」と感じていませんか?
実はこの値上げが決定打となり、多くの個人や企業が「年賀状じまい」を決断しています。この記事では、私たちの年賀状を取り巻く環境がどう変わろうとしているのか、切手代やコストの現状を中心に、その実態と未来を探ります。
値上げの衝撃!年賀状コストの内訳を徹底解剖
まず、私たちが毎年支払っている「年賀状コスト」の正体を明らかにしましょう。総額は、大きく「郵送費」 と「作成費」 の二つに分けられます。
郵送費(はがき代)
2024年10月の郵便料金改定は、私たちの財布に直撃しました。通常はがきは63円から85円に値上げされました。この決定は、郵便事業の持続可能性を確保するためのものですが、利用者である私たちの負担は一気に増加しています。
例えば、家庭で100枚の年賀状を送る場合。これまで6,300円で済んでいたものが、8,500円に。差額は2,200円です。企業が1,000枚送付するなら、その差額は22,000円に膨らみます。この数字は無視できません。
私たちが選べる年賀状の種類も様々です。
- 従来型の「通常年賀はがき」:85円
- 写真をプリントできる「インクジェット写真用」:95円
- 社会貢献もできる「寄付金付き年賀はがき」:90円
- 自分でデザインする「私製はがき」:85円の切手を貼り、「年賀」と朱書きが必要
作成費(印刷・デザイン代)
次に、作成費です。私たちが選ぶ方法によって、この費用は大きく変わります。
「ネット印刷」を利用する場合 デザイン、印刷、宛名印刷まで一括で依頼できる便利な方法です。例えば、100枚を頼むと、デザインのクオリティによって印刷代は9,500円から14,000円程度が相場。これに先ほどのはがき代8,500円を足すと、総額は18,000円から22,500円になります。1枚あたり180円から225円という計算です。
「自宅で印刷」する場合 主なコストはインク代です。1枚あたり20~30円程度と見積もられます。はがき代85円を合わせると1枚あたり105円から115円。ただし、プリンターの初期投資や、インク切れ、紙詰まりなどの手間とリスクも忘れてはいけません。
「コンビニ印刷」を利用する場合 印刷代は1枚あたり約60円から70円程度。はがき代を合わせると1枚あたり145円から155円になります。
このように、どの方法を選んでも「1枚100円以上」は確実に超えてくるのです。送る相手、送る枚数を考える時、このコストは私たちの選択に確実に影響を与えています。
驚きの数字!企業の年賀状離れはここまで進んでいる
個人だけでなく、ビジネスの世界でも「年賀状じまい」の動きは加速しています。その実態は、私たちの想像以上かもしれません。
「年賀状じまい」はすでに半数以上が完了
最新の調査によれば、58.1% もの企業が、すでに「年賀状じまい」を完了しています。さらに、10.3% の企業が2026年分からやめる予定。この数字を合わせると、実に約7割の企業が年賀状の送付から撤退しようとしているのです。逆に2026年分を「出す」と回答した企業は、29.1% にとどまり、3割を切りました。
別の調査でも同様の傾向が示されており、64.0% が「2026年年賀状を出さない」と回答しています。「昨年までは出していたが、今年からやめる」という、まさに現在進行形の離脱組も11.3% 存在します。
なぜ企業は次々とやめていくのか?
その理由は、「コスト」だけではありません。企業が挙げる理由の上位を分析すると、その本質が見えてきます。
- 「必要性を感じないから」 これが最も多く、52.3%を占めています。形骸化した年始の挨拶より、SNSやメールでの日常的なコミュニケーションや、電話一本の方がビジネスに有効だ、という実利的な判断です。
- 「コストや事務負担が大きいから」 値上げされたはがき代に加え、印刷費、宛名の準備、管理といった一連の業務にかかる時間と人件費。ペーパーレス化を推進する企業の姿勢とも合致します。
- 「同調圧力からの解放」 業界内で年賀状をやめる企業が増えると、「自分たちだけ続ける必要はない」という判断が生まれやすくなります。
残る3割の企業はなぜ続けるのか?
一方で、約3割の企業は年賀状を継続しています。その理由のトップは、「関係性の維持」(73.4%) 、次いで「相手先への敬意」(62.8%) です。特に、取引はあるものの普段あまり接点がないクライアントやパートナーに対して、「年に一度の確実な接触機会」として活用しているのです。
このように、企業の年賀状は、かつての「全社的な儀礼的行事」から、「取引先を絞り込んだ戦略的営業ツール」へと、その性質を大きく変えていると言えるでしょう。
あなたはどうする?個人の「やめる」「続ける」の分かれ道
では、私たち個人の選択はどうでしょうか。値上げは、確実に私たちの心理と行動に影響を与えています。
値上げ後、年賀状を出す人は確実に減った
ある調査では、はがき値上げ後の2024年、年賀状を「出す」と答えたビジネスパーソンの割合は、前年の50.9%から43.8%へと約7ポイント減少しました。この数字が物語るのは、値上げという具体的な経済的負担が、「やめよう」という背中を押したということです。
「やめる」と決めた人たちの本音
私たちが「もうやめよう」と考える理由は多岐にわたります。
- 経済的負担の増加:送る枚数が多い家庭ほど、この85円の重みは大きいものです。
- 時間と労力のコスト デザインを選び、印刷し、宛名を書き、裏面に一言添える…。年末の忙しい時期に何時間も費やす価値があるのか、と考える人が増えています。
- デジタル代替手段の定着 LINEやInstagramなど、SNSでの気軽な新年の挨拶が完全に定着。「わざわざ郵便で送るまでもない」と感じるようになりました。
- 人間関係の煩わしさからの解放 誰に送って、誰に送らないか。喪中はがきが来ていないか確認する手間。送ったのに返事がない場合の一抹の気まずさ…。そういった心理的な負担から自由になりたい、という声も少なくありません。
大人の「年賀状じまい」マナー
では、やめると決めた時、どうすればスマートなのでしょう?実は、多くの人が「黙ってやめた、突然やめた」と答えています。しかし、これでは相手に心配をかけてしまうかもしれません。
推奨されるのは、「最後の年賀状で前もって意思を伝える」 方法です。「本年をもちまして、年賀状でのご挨拶を控えさせていただきます。今後はメールやSNSで、引き続きよろしくお願いいたします」といった一文を添えるだけで、円満な「じまい」ができます。最近では、こうした文面をサポートする印刷サービスも登場しています。
デジタル時代に逆に輝く「手書き」の価値
一方で、忘れてはいけない事実があります。それは、年賀状をもらった時に「うれしい」と感じる人は、依然として8割以上に上るということです。デジタルの挨拶が氾濫する中、自宅のポストに届く一枚の手書きの年賀状の温かみは、希少価値と共に、逆にその輝きを増しているのかもしれません。
年賀状の未来は終わるのか、それとも進化するのか
ここまでの流れを見ると、「年賀状はもう終わるの?」と思ってしまいますよね。しかし、その未来は単純な「終焉」ではないようです。
未来は「二極化」へ
多くの専門家やアナリストは、年賀状の将来を 「完全にやめる層」 と、「こだわって続ける層」 への二極化と予想しています。
「続ける層」には、伝統的な習慣を重んじる方々、ビジネスツールとして活用する企業や個人、そして「少なくても、心を込めて手作りのものを送りたい」と考えるクリエイティブな層が含まれるでしょう。コストが上がったからこそ、「数より質」の時代へと移行していくのです。
日本郵便も変革の時
年賀状の需要が激減する中、日本郵便自体も大きな変革期にあります。2026年用年賀はがきの発行枚数は、当初計画で約7億5千万枚。これは前年に比べて約30%の大幅減であり、最盛期と比べると実に6分の1という驚異的な数字です。
こうした状況下で日本郵便は、単なる「郵便」の枠を超えた新たな価値を提案し始めています。例えば、はがきに貼るQRコードシールでギフトと連動できる「POST and GIFT」のようなサービス。デジタルとアナログを融合させ、年賀状に「ギフトを贈る」という新たな体験価値を加えようとしているのです。
変わる「常識」、残る「本質」
かつての「松の内(1月7日)までに届ける」「なるべく多くの人に送る」といった常識は、もはや絶対的なものではありません。松の内を過ぎても、少ない枚数でも、大切な人に気持ちを伝える手段として「ゆるやかな習慣」に変わっていくでしょう。
その中で変わらないもの、それは年賀状の本質である 「年に一度の特別なタイミングで、相手を思い、関係を温め直す」 という価値です。メールの一斉送信やSNSのスタンプとは異なる、物理的な手触りと、そこに込められた時間と思い。コスト増は確かに追い風ではありませんが、この習慣が見直されることで、逆にその本質的な価値がクリアになる側面もあるのかもしれません。
まとめ:値上げをきっかけに、自分らしい挨拶を選び直す時
いかがでしたか?年賀状の値上げは、単なる「値段が上がった」という出来事ではなく、私たちのコミュニケーションそのものを見つめ直す大きなきっかけとなっています。
デジタル化が進み、日々の連絡手段が溢れる中で、「わざわざ時間とお金をかけてまで、紙で挨拶を送る意味は何か?」という根本的な問いが、多くの人と企業に投げかけられているのです。
この記事を読んでいるあなたも、今年の年末は「いつも通り送る」という惰性ではなく、一度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。
- 本当に送りたい人は誰か?
- どんな気持ちを伝えたいのか?
- そのために、一番ふさわしい方法は何か?
それが年賀状でも、手紙でも、メールでも、SNSの一言でも構いません。大切なのは、形や習慣に縛られるのではなく、自分らしい方法で相手を想い、関係を紡いでいくことではないでしょうか。
年賀状の値上げでやめる人続出? という現象の裏側には、そんな私たち一人一人の、人間関係と向き合う新しい選択の物語が始まっているのです。
