最近、「余市シングルモルトが終売したらしい」という噂を耳にした方も多いのではないでしょうか。ウイスキー好きにとって、余市は特別な存在。もし本当に販売終了しているなら、大きなニュースです。この記事では、余市シングルモルトの終売の真相と、現在の販売状況、そして代替として検討できるウイスキーについてわかりやすく解説します。
余市シングルモルトとは?その魅力と特徴
まず、余市シングルモルトとはどんなウイスキーなのかを簡単に整理しておきましょう。
北海道・余市町にある「ニッカウヰスキー 余市蒸溜所」で造られる本格派のジャパニーズシングルモルトです。創業者・竹鶴政孝がスコットランドで学んだ伝統的な製法を日本で再現しようと選んだ地が、この余市でした。
余市のウイスキー造りの最大の特徴は「石炭直火蒸溜」。火力の調整が難しく手間がかかりますが、香ばしさと重厚なコクを生み出す独特の方法です。そこに海風を含む北海道特有の気候が加わり、スモーキーでピート香の強い味わいが完成します。
一口飲むと、スモーキーな香りの奥に果実の甘みや塩気が感じられ、まるでスコットランドのアイラモルトを思わせるような奥深い余韻が広がります。
この個性が、国内外のウイスキーファンから高い支持を集める理由です。
「終売」の噂の真相は?本当に販売終了したのか
さて、本題の「終売」についてです。結論から言えば、**余市シングルモルト**自体が完全に終売になったわけではありません。
しかし、かつて販売されていた「年数表記あり」のモデル、たとえば「余市10年」「余市12年」「余市15年」「余市20年」などは、すでに生産を終了しています。
この流れは、2015年ごろから始まりました。当時、日本のウイスキー人気が急上昇し、「マッサン」ブームによって原酒の需要が急拡大。ニッカウヰスキーを含む各社は、熟成年数の長い原酒が足りなくなり、年数表記モデルの供給を続けることが難しくなったのです。
その結果、余市シリーズの年数付きボトルは一斉に終売となり、現在は「年数表記なし(ノンエイジ)」のボトルが主力として販売されています。
つまり、「余市が終売した」というのは誤解であり、年数表記付きの旧モデルが終売になったというのが正確な情報です。現行品の「シングルモルト余市(ノンエイジ)」は、引き続き全国の酒販店や蒸溜所ショップなどで販売が続いています。
現在の販売状況と価格の変化
現行モデル「シングルモルト余市(ノンエイジ)」は、2016年から通年販売されている定番商品です。ボトルデザインも刷新され、より洗練された印象になりました。
公式サイトでも明記されている通り、このノンエイジ版は“余市の個性を象徴するウイスキー”として位置付けられています。
ただし、流通量は決して多くはありません。入荷してもすぐに売り切れる店舗も多く、安定供給とは言い難い状況です。
価格も上昇傾向にあり、2016年ごろは3,000円台で購入できたものが、近年では定価7,700円前後(700ml)にまで上がっています。さらに、年数表記付きの旧ボトルはオークション市場で数万円〜十数万円と高騰しています。
また、2024年にはニッカウヰスキーの価格改定が行われ、主要ラインナップの値上げが発表されました。これにより、今後も小売価格がさらに上昇する可能性があります。ウイスキー全体の人気回復や円安の影響もあり、プレミア化が進んでいるのが現状です。
余市10年が限定で復活?再販の動きにも注目
実は、完全に年数表記モデルが消えたわけではありません。2022年には「余市10年」が数量限定で再登場しました。
これは、ニッカ創業90周年を記念した特別ボトルとして再リリースされたもので、発売後すぐに完売。再販を望む声が多く上がるほどの人気ぶりでした。
さらに、海外市場では「NIKKA YOICHI 10 YEARS」が2023年から再び販売され始めたとの報道もあり、国内でも復活を期待する声が高まっています。
この動きから見ても、年数表記モデルの完全な廃止ではなく、「原酒の確保次第で限定再販される可能性がある」と考えられます。
また、余市蒸溜所ではここ数年、生産体制の拡充が進められています。新しい熟成庫の建設や生産量の拡大が計画されており、将来的には熟成年数付きボトルの再販や、新たな限定モデルの登場も期待できそうです。
なぜ余市はこれほど入手困難になったのか?
余市が手に入りにくくなった最大の理由は、やはり「原酒不足」です。
ウイスキーは熟成に長い年月がかかるため、急に需要が増えてもすぐに供給を増やすことができません。特に10年以上の熟成が必要な年数表記モデルでは、原酒を寝かせるための時間と樽の管理コストが非常に大きいのです。
さらに、海外市場での「Japanese Whisky」人気も拍車をかけました。アジアや欧米の愛好家が日本のシングルモルトを買い求めるようになり、国内流通分が一気に減少。
その結果、余市や宮城峡、竹鶴といった国産銘柄はプレミア化し、定価での入手が難しくなっています。
とはいえ、メーカー側もこの状況を放置しているわけではありません。ニッカウヰスキーは新しい蒸溜設備の導入や、貯蔵庫の拡張などを行い、今後の供給安定化を目指しています。長期的には原酒の蓄積が進み、再び安定的な販売に戻る可能性もあります。
余市シングルモルトが手に入らないときの代替ウイスキー
「どうしても余市が見つからない」「値段が高くて手が出せない」という方に向けて、似た傾向のウイスキーをいくつか紹介します。
まずおすすめなのが、同じニッカウヰスキーの「シングルモルト宮城峡」。
こちらは余市よりもややフルーティで華やかな香りが特徴。ピート香は控えめで、軽やかさを感じる仕上がりです。対照的な個性ですが、同じブランドの造り手の哲学が感じられ、飲み比べも楽しめます。
次に「竹鶴ピュアモルト」。こちらもニッカの代表的なウイスキーで、余市と宮城峡の原酒をブレンドした絶妙なバランスが魅力です。スモーキーさとまろやかさの両方を求める人にはぴったりでしょう。
もし海外ウイスキーも候補に入れるなら、アイラモルト系の「ラフロイグ」「ボウモア」「カリラ」などもおすすめ。ピートの香りが強く、余市のスモーキーな風味を好む方には相性が良いと感じるはずです。
そして、最も現実的な選択肢はやはり「シングルモルト余市(ノンエイジ)」の現行モデル。味わいの骨格はしっかり余市らしく、価格や入手難易度を考えても優秀な一本です。
今後の展望と買うなら今のうち?
今後の販売状況を考えると、「余市シングルモルト」は引き続き入手しづらい状態が続く可能性があります。
一方で、生産量拡大や熟成原酒の確保が進んでいるため、数年後には限定モデルや新シリーズの登場が期待できるタイミングでもあります。
ただし、価格が下がる見込みは薄く、むしろ需要の高まりで値上がりする傾向にあります。プレミア価格がつく前に、現行モデルを確保しておくのも一つの手です。
また、蒸溜所公式ショップや信頼できる正規販売店を利用し、偽物や不正流通品に注意することも大切です。
余市シングルモルト終売の真相とこれから
まとめると、「余市シングルモルトが終売」というのは一部正しく、一部誤解です。
年数表記付きの旧モデルはすでに終売しており、現在はノンエイジ版が主力として販売中。
ただし、限定再販や海外での復活の動きもあり、将来的に再び年数付きモデルが登場する可能性も十分あります。
ウイスキーは時間をかけて熟成される“待つ酒”。だからこそ、今あるボトルを丁寧に味わいながら、次の時代の余市を楽しみに待つのも一興です。
スモーキーで奥深い余市の世界は、これからも日本のウイスキーシーンを牽引していくことでしょう。
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