バーボン好きの間で長年愛されてきた「ワイルドターキー12年」。力強い味わいと長期熟成による深みで、多くのファンを魅了してきました。しかし最近、「終売になった」「もう手に入らない」という声が相次いでいます。この記事では、ワイルドターキー12年の終売の真相と、その理由、そして再販の可能性について徹底的に探っていきます。
ワイルドターキー12年とは？熟成と香りが生み出す唯一無二の存在
まずは、改めてワイルドターキー12年の特徴をおさらいしましょう。
ワイルドターキーはアメリカ・ケンタッキー州で生まれたバーボンブランドで、「ワイルドターキー101プルーフ（アルコール度数約50.5%）」という高めの度数が象徴的。その中でも「12年熟成」のボトルは、他のラインナップよりも深い香りと複雑な味わいを持つ上位モデルとして位置づけられていました。
原料の比率はコーン約75%、ライ麦約13%、モルト大麦約12%。これをオーク樽で12年以上熟成させることで、キャラメル、バニラ、トーストしたオーク、スパイス、オレンジピールといった多層的な香りが生まれます。
一口飲めば、甘みの後にキレのある苦味が続き、余韻は驚くほど長く続く。まさに「完成されたバーボン」と呼ぶにふさわしい一本です。
なぜ終売？ワイルドターキー12年が姿を消した背景
ワイルドターキー12年はなぜ終売となってしまったのでしょうか。表向きに「終売理由」が公式に発表されたわけではありませんが、複数の要因が重なっていると考えられます。
1. 熟成年数と在庫の問題
12年という長期熟成を実現するためには、膨大な時間とコストがかかります。
バーボンはスコッチよりも熟成が早いとはいえ、12年はかなりの長さ。その間、蒸発（いわゆる“天使の分け前”）によって原酒が減っていくため、同じ容量を確保するには膨大な原酒ストックが必要になります。
ワイルドターキー蒸留所では、ほかにも「ワイルドターキーレアブリード」や「ワイルドターキーケンタッキースピリット」など人気銘柄を多数抱えており、熟成年数の長い原酒をこれらに振り分ける必要が出てきました。その結果、12年熟成分の供給が難しくなったと考えられています。
2. アメリカ国内での販売停止と輸出専用化
実は、ワイルドターキー12年はアメリカ国内では1999年頃に販売が終了しています。その後は、日本をはじめとしたアジア市場向けの「輸出専用商品」として細々と製造が続けられていました。
しかし2012年頃にはその輸出向けラインも終了。以降は市場から徐々に姿を消し、「終売」と言われるようになりました。
つまり、今回の終売は“二度目の消滅”ということになります。
3. ブランド戦略の見直し
バーボン業界全体で、熟成年数を明記しない「NAS（No Age Statement）」製品が増えています。理由は、年数を固定してしまうと原酒の確保が難しくなり、生産の柔軟性が下がるため。
ワイルドターキーも例外ではなく、「ワイルドターキーレアブリード」などの年数非表示モデルを中心に展開を強化しています。こうしたブランド方針の変化も、12年表記が消えた一因といえるでしょう。
「日本限定」だった？12年の輸出専用モデル
面白いのは、このワイルドターキー12年が「日本市場で特に人気の高い輸出専用モデル」だったという点です。
ラベルには「Export Only」や「Japan Release」と書かれているものもあり、国内ファンの支持を受けて長年販売されていました。
2010年前後には、ボトルのデザインにもいくつかのバリエーションが存在。
・チーズゴールドフォイル（通称CGF）と呼ばれる初期モデル
・スプリットラベル（中央が2分割デザインの輸出モデル）
・2012年頃の最終版“Japan Export”仕様
これらはコレクターズアイテム化しており、オークションや中古市場では高値で取引されています。かつて1万円台だったボトルが、現在では3万円以上で落札されることも珍しくありません。
終売後のファンの声と「復活」の兆し
終売が報じられた後も、ワイルドターキー12年を愛するファンの声は途絶えませんでした。
「もう一度あの味を飲みたい」「あの香りを超えるバーボンはない」――そんな声がSNSやレビューサイトで相次ぎました。
そして、ついに2022年、驚きのニュースが届きます。
「ワイルドターキー12年が日本市場向けに復活！」
約10年ぶりの再リリースとして、数量限定で発売されました。これはまさにファン待望の朗報。再販分もアルコール度数101プルーフで、従来の味わいを踏襲した設計になっていました。
ただし、今回の復活は“完全な常設商品”ではなく、“限定輸出版”という扱い。再びいつ終売になるか分からない“希少ボトル”として、発売直後から市場で争奪戦が起きました。
現在の入手状況と価格動向
現在、ワイルドターキー12年は一般の酒販店ではほぼ見かけません。購入するには、以下のような方法が現実的です。
- 並行輸入を扱うネットショップやオークションサイトで探す
- 専門のウイスキーショップやバーで取り扱いを確認する
- コレクター市場（ヤフオク、メルカリなど）をチェックする
価格は年々上昇傾向にあり、2025年現在では1本あたり25,000円〜40,000円前後が相場となっています。特に「チーズゴールドフォイル」時代の旧ボトルはプレミアが付き、5万円を超えることも。
こうした価格の上昇は、単なる人気だけでなく「再販が不定期であること」「国内流通量が極端に少ないこと」に起因しています。
再販の可能性はあるのか？
では、今後再びワイルドターキー12年が再販される可能性はあるのでしょうか。
2022年に限定復活した実績を見る限り、“再びリリースされる余地はある”と言えます。
ただし、その時期や販売国については不透明です。熟成ストックの確保やブランド戦略の兼ね合いもあるため、常設ラインとして復活する可能性は低く、数量限定の「プレミアム・エディション」としての再登場が現実的でしょう。
ファンの間では、「次に出るならアジア限定」「年1回のリリースでは？」という予想も出ています。実際、蒸留所のマスター・ディスティラーであるジミー・ラッセル氏は、熟成年数よりも“味の完成度”を重視する姿勢を示しており、今後は「熟成年数非公開の特別リザーブ」としての展開も考えられます。
ワイルドターキー12年を味わうための代替ボトル
「もう手に入らないなら似た味を探したい」という人のために、近い風味を持つボトルも紹介しておきましょう。
- ワイルドターキーレアブリード
複数の熟成年数をブレンドし、約6〜12年の原酒を使用。度数も高く、12年版に通じる力強さと複雑さを兼ね備えています。 - ワイルドターキーケンタッキースピリット
シングルバレル仕様で、樽ごとの個性が楽しめる。オーク香と甘みのバランスがよく、12年の代替として人気。 - ワイルドターキーラッセルズリザーブ10年
ブランド創設者の名を冠したプレミアムライン。12年版ほどではないものの、重厚なバニラ香と熟成感が特徴です。
これらはいずれも現行入手が可能で、12年を彷彿とさせる味わいを求めるなら一度試してみる価値があります。
まとめ：終売は残念だが、伝説は続いている
ワイルドターキー12年の終売は、バーボンファンにとって大きな喪失でした。
しかし、2022年に限定復活を果たしたことからも分かるように、このボトルは今も多くの人に愛され続けています。熟成年数12年の深み、101プルーフの力強さ、そして歴史あるブランドの誇り――それらが融合した一本は、まさに「伝説」と呼ぶにふさわしい存在です。
次に再び市場に姿を現すその日まで、ファンとしてできることは、手元にあるボトルを大切に楽しむこと。そして、再販のニュースに備えてアンテナを張っておくこと。
ワイルドターキー12年の物語は、まだ終わっていません。
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