ウイスキー好きの間で長年愛されてきた「アバフェルディ21年」。その優雅で蜂蜜のような香り、まろやかな味わいに魅了された方も多いはずです。そんな銘柄に「終売（販売終了）」のニュースが広まり、SNSやウイスキーファンの間でざわめきが起こっています。本記事では、アバフェルディ21年の終売に関する背景や理由、そして今後どのように購入できるのかを詳しく解説します。
アバフェルディ21年とはどんなウイスキー？
アバフェルディ（Aberfeldy）は、スコットランド・ハイランド地方に位置する歴史ある蒸留所で、1896年に創業しました。ブレンデッドウイスキー「デュワーズ（Dewar’s）」のキーモルトとして知られており、その中心を担う蒸留所でもあります。
そんなアバフェルディの中でも「21年」は、同ブランドの中核を担うプレミアムレンジ。バーボン樽とシェリー樽で21年以上熟成された原酒を使用し、蜂蜜のような甘さとドライフルーツの深み、トーストしたココナッツの香ばしさが絶妙に調和した一本です。
「ヘザーハニー」と呼ばれる花の蜜のような香りが特徴で、まろやかで上品、まさに“ハイランドモルトの貴族”と称される味わい。40％前後の度数で飲みやすく、愛好家だけでなくウイスキー初心者にも人気がありました。
その完成度の高さから、数々の国際コンペティションでも金賞を受賞。シングルモルト愛好家の中でも、「アバフェルディ21年は格別」と語られる理由がここにあります。
アバフェルディ21年終売の噂と現状
2024年以降、国内外のウイスキー愛好家の間で「アバフェルディ21年が終売になる」という情報が広まり始めました。とくに日本国内では、12年・16年・21年といった主要ラインが一斉に終売になるという話題がSNSやブログで注目を集めています。
ウイスキー関連メディアやショップの情報によると、「アバフェルディ21年」は正規輸入元のサッポロビールを通じた国内流通が終了したとの見方が濃厚です。その理由として挙げられているのが、所有会社バカルディ社のグローバル戦略による“日本市場での販売枠縮小”です。
なお、メーカー公式からの明確な「生産終了」発表は現時点で確認されていません。つまり、「終売」とはあくまで“日本国内での正規販売終了”を意味している可能性が高いと考えられます。ヨーロッパ市場では「Discontinued（生産終了）」の表記が確認されていますが、並行輸入ルートや一部海外在庫は今も取扱があるようです。
終売の背景にある4つの理由
1. バカルディ社のブランド戦略変更
アバフェルディはバカルディグループの傘下ブランドであり、世界的なマーケティング方針の変更によって輸出国のラインナップ見直しが行われたとされています。特に日本市場は限られた販売枠となり、需要と供給のバランスから「販売終了」という形が取られたようです。
2. 熟成年数原酒の希少化
21年以上熟成された原酒は、近年のウイスキーブームの影響で世界的に不足しています。長期熟成用の樽を確保するコストも高騰しており、限られた原酒をプレミアム市場に優先的に回す動きが強まっています。そのため、安定供給が難しくなったと推測されます。
3. 国内流通コストと価格の高騰
アバフェルディの下位モデル（12年、16年）でも価格改定が相次ぎ、以前の定価より大幅に上昇しています。輸入コストや為替変動の影響もあり、21年のような高級レンジでは採算が取りにくくなっていた可能性があります。
4. 日本市場での需要変化
国産ウイスキーの人気上昇や、他ブランドの多様化により、アバフェルディの販売ボリュームは限定的になっていたと考えられます。限られた販売枠の中で、より回転率の高い銘柄へ注力する戦略が採られたとも言われています。
終売の影響と市場の変化
アバフェルディ21年の終売報道を受けて、国内市場では以下のような動きが見られています。
● プレミア化・価格上昇
ネット通販やオークションサイトでは、21年モデルの価格が上昇傾向にあります。以前は2万円前後で購入できたボトルが、現在では3万円を超えるケースもあり、希少性が高まるにつれて今後さらに上がる可能性があります。
● 在庫争奪の加速
「今のうちに確保しておこう」という動きが強まり、販売店やECサイトでは一時的に在庫切れが頻発。特に正規輸入品はすでに流通が途絶えているため、並行輸入や旧在庫を探すしかない状況です。
● コレクター市場の活性化
ウイスキー愛好家の中では、「飲むよりも保管して価値を高める」動きも見られます。終売銘柄として今後プレミアム化が進めば、コレクション目的での取引が盛んになるでしょう。
アバフェルディ21年の味わいと魅力を再確認
なぜここまで惜しまれるのか――それはアバフェルディ21年が持つ唯一無二の個性にあります。
香りは花蜜やバニラ、トフィーのような優しい甘さ。口に含むと、マーマレードやドライフルーツ、蜂蜜を思わせるリッチなテクスチャーが広がります。フィニッシュにはオーク由来のウッディさとほのかなスパイスが漂い、長い余韻を残します。
「派手ではないけれど、上品で飽きない」。そんな表現がぴったりのウイスキーです。スモーキーさを抑えた柔らかな風味は、ハイランドモルトらしさを感じさせる王道のスタイルで、多くのファンを魅了してきました。
今後アバフェルディ21年を購入するには？
1. 並行輸入品を探す
現在、Amazonや楽天市場などで一部の並行輸入品が流通しています。ただし、正規品より価格が高く設定されており、在庫数も限られています。購入時は「正規代理店経由」かどうか、ラベル・箱付き状態を必ず確認しましょう。
2. 海外通販サイトを活用
海外のウイスキー専門店では、在庫が残っているケースがあります。アバフェルディ ミニボトルアソート 12年･16年･21年 各1本セットのように複数年数を一度に楽しめるセットも探すことができます。送料や関税がかかるため、総額を比較して検討するのが賢明です。
3. 中古・オークション市場
終売銘柄の多くは中古市場で取引されます。未開封・箱付きの状態であれば価値が上がりやすく、今後のプレミア銘柄として注目される可能性もあります。ただし、偽物や劣化品も存在するため、信頼できる販売店を選ぶことが大切です。
4. 他のアバフェルディラインを検討
もし21年が手に入らない場合、12年や16年など下位モデルを楽しむのもおすすめです。特に16年はシェリー樽の影響が強く、リッチな甘みが特徴。21年の味わいに近い余韻を感じられる一本です。
アバフェルディ終売がもたらす“喪失感”と今後の展望
アバフェルディ21年の終売報道は、単なる商品消失以上の意味を持っています。長期熟成ウイスキーが次々と姿を消す現状は、世界的な原酒不足の象徴でもあります。
一方で、アバフェルディ蒸留所は今後もブランド展開を続けていくと見られ、25年や限定リリースなどの新しい展開も期待されています。つまり、21年というモデルが消えても、“アバフェルディの精神”そのものは続いていくということです。
また、終売を機に過去のヴィンテージを再評価する動きもあり、かつてのボトルが再び脚光を浴びる可能性もあります。終売の悲しみをきっかけに、ウイスキーの奥深さや時の価値を改めて感じる――そんな楽しみ方もあるでしょう。
アバフェルディ21年終売の今をどう受け止めるか
終売は残念なニュースですが、それは同時に「今しか味わえない一期一会の瞬間」があるということ。これまで何気なく飲んでいた一本が、もう二度と手に入らない特別な存在になる――そう考えると、今あるボトルを大切に味わいたくなります。
アバフェルディ21年は、長い時間と手間をかけて育まれた一本。その終売のニュースをきっかけに、私たちは改めてウイスキーを“時間の芸術”として捉え直すべきなのかもしれません。
もし店頭や通販で見かけたなら、それは幸運な出会いです。飲むにしても、飾るにしても、手元に置いておく価値のあるボトル。それが、アバフェルディ21年です。
以上、アバフェルディ21年終売の背景と今後の購入方法について解説しました。今後も世界のウイスキー市場では同様の動きが続くと見られます。お気に入りの銘柄は、ある日突然「もう買えない」存在になるかもしれません。だからこそ、今この瞬間に出会える一本との時間を大切にしたいですね。
コメント