ウイスキーファンの間でじわじわと話題になっているのが、「オルトモア12年が終売になったのでは?」という噂。
ここ最近、店頭や通販サイトで見かける機会が減り、探しても見つからないという声が増えています。
果たして本当に終売してしまったのか、それとも一時的な流通停止なのか——。今回は、オルトモア12年の現状と背景、再販の可能性についてじっくり掘り下げていきます。
オルトモア蒸溜所とは?知られざるスペイサイドの名門
まずは、オルトモアという蒸溜所そのものについて少し触れておきましょう。
オルトモア蒸溜所は1895年創業、スコットランドのスペイサイド地方・キースに位置する老舗蒸溜所です。創設者はアレクサンダー・エドワード。現在はジョン・デュワー&サンズ社、つまりデュワーズグループの傘下にあります。
実はこの蒸溜所、一般的なシングルモルトとしての流通量は多くありません。
オルトモアの原酒の大部分は、デュワーズなどのブレンデッドウイスキーに使われており、単体ボトルとして市場に出ることはごくわずか。
そのため「知る人ぞ知る」存在として、通好みのウイスキーとして知られています。
オルトモア12年とは?定番でありながら貴重な存在
オルトモア12年は、蒸溜所を代表する公式ボトリングの一つ。
2014年ごろに「The Last Great Malts」シリーズの一環として再登場し、クリーンでナチュラルな味わいが注目を集めました。
アルコール度数は46%、ノンチルフィルタード(冷却ろ過なし)、ナチュラルカラーという本格仕様。
味わいは、青リンゴや洋ナシを思わせるフルーティーさと、青草のような爽やかさ、穀物由来の優しい甘みが特徴です。
軽やかで透明感のあるスペイサイドモルトらしい味わいが、静かなファン層を築いてきました。
しかしそんな定番ボトルが、いま“姿を消しつつある”という声が広がっています。
オルトモア12年は本当に終売?入手困難の現状
まず結論から言えば、「公式に終売発表はされていない」ものの、実質的に入手困難な状態が続いています。
日本国内の酒販店やECサイトでは、在庫がほぼ消滅。
「終売」「取扱い終了」「再入荷未定」といった表記が相次いでいます。
一方、海外の一部サイトでは少量ながら販売が続いているケースもあり、完全な廃盤とは言い切れない状況です。
ウイスキー愛好家の間では、「もう見かけない」「見つけたら即買い」といった声が増加中。
SNSや海外フォーラムでも、“Aultmore 12 is getting hard to find.”(オルトモア12年は見つけにくくなっている)という投稿が目立ちます。
終売・流通停止と見られる背景
では、なぜこのような状況になっているのでしょうか。
オルトモア12年が“終売状態”に近づいている理由として、主に3つの要因が考えられます。
1. 原酒不足と生産調整
世界的なウイスキーブームによって、熟成原酒の供給バランスが大きく崩れています。
12年以上熟成のモルトは特に貴重で、ブレンド用の需要に優先的に回される傾向が強まっています。
オルトモアもデュワーズ系列の主要原酒を供給しているため、シングルモルト用の12年原酒を安定して確保するのが難しくなっていると考えられます。
2. ブランド戦略の転換
蒸溜所オーナーであるデュワーズグループは、近年「高価格帯・限定シリーズ」へ注力する傾向を見せています。
オルトモアでも、限定リリースや熟成年数違い(18年、21年など)にフォーカスする方針を取った可能性があります。
結果として、定番の12年ボトルが一時的に生産調整または供給制限の対象となったと推測されます。
3. 輸入・流通ルートの変化
国内では、輸入代理店や流通ルートの再編により、特定ブランドの入荷が途絶えるケースがあります。
「終売」ではなくても、正規輸入が停止しているだけで入手が難しくなることも。
オルトモア12年もまさにそのパターンに近いようで、並行輸入品を除けばほとんど見かけない状態が続いています。
終売が事実上進むとどうなる?価格・市場の変化
流通が止まれば当然、残存在庫の価値は上昇します。
実際、オルトモア12年は一時期6,000円前後だった価格が、現在は1万円近くで取引されるケースも見られます。
希少性が高まることで、コレクターズアイテム化する流れも出ています。
また、愛好家の間では“飲む用”と“保存用”を確保する動きもあり、残っている在庫がさらに減少。
このまま公式の追加出荷がなければ、近い将来「入手困難な幻の12年」として語られる存在になるかもしれません。
再販・復活の可能性はある?
ウイスキーの世界では、一度姿を消したボトルが数年後に再登場することもあります。
オルトモア12年についても、再販の可能性はゼロではありません。
原酒ストックが回復すれば再ボトリングの余地
蒸溜所自体は現役で稼働しており、原酒の仕込みも続いています。
もし一定量の12年以上熟成原酒が確保できれば、再びオフィシャルボトルとして復活する可能性は十分あります。
ただし、ウイスキーの熟成サイクルを考えれば、それが実現するのは数年単位のスパンになるでしょう。
リニューアルや限定復刻という形
最近のトレンドとして、終売した12年ボトルを「限定版」「新ラベル」「免税店専用」などで復刻するケースが多く見られます。
そのため、オルトモア12年も何らかの形で再登場する可能性はあります。
特に「The Last Great Malts」シリーズの人気が再燃すれば、再リリースは十分考えられます。
懸念点も
一方で、世界的な原酒不足が続く現状では、12年クラスのウイスキーを大量生産・定番化するのは難しい状況です。
再販が実現したとしても、価格上昇や仕様変更(容量・度数・樽構成の変更など)は避けられないでしょう。
ファンが今できること
現時点でできる最も現実的な行動は、「見つけたら確保する」ことです。
終売の真偽がはっきりしないうちに、手頃な価格で手に入る機会はどんどん減っていきます。
また、他のスペイサイド系モルトで似た味わいを探してみるのも一つの方法です。
例えばグレンリベット12年やグレンモーレンジ10年など、クリーンでフルーティーなモルトを試すと、オルトモアの魅力を思い出す手がかりになるでしょう。
オルトモア12年の「終売」報道に惑わされないために
最後に大切なのは、「終売」と「流通停止」を混同しないこと。
公式発表がない以上、“完全な終売”とは断定できません。
ただし、入手が難しくなっているのは確かであり、「事実上の終売状態」と言える段階にあるのも事実です。
ウイスキーの世界では、このような“静かなフェードアウト”は珍しくありません。
原酒のやりくり、ブランド戦略、流通政策など、多くの要因が複雑に絡み合っています。
それだけに、今ある1本をゆっくりと味わうことが、ファンにとっての最高の贅沢かもしれません。
オルトモア12年が終売に?販売終了の真相と今後の動向まとめ
- 公式に終売発表は出ていないが、国内流通はほぼ停止状態
- 原酒不足・ブランド再編・輸入ルートの変化が要因とみられる
- 再販の可能性はあるが、短期的には期待しにくい
- 現在の在庫は希少化が進み、価格も上昇傾向
つまり「今、見つけたら買うべき1本」といえるでしょう。
スペイサイドらしい繊細でピュアな味わいを残したオルトモア12年は、終売の噂が立つ今だからこそ、改めてその価値を再確認したいウイスキーです。

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