「サントリーオールドが終売になったらしい」──そんな噂を耳にしたことはありませんか?
“だるま”の愛称で親しまれる丸いボトルのウイスキー。長く愛されてきた銘柄だからこそ、「最近見かけない」「もう作ってないのでは?」と心配する声が出るのも自然です。
結論から言うと、サントリーオールドは終売ではありません。今もサントリーの現行ラインナップとして製造・販売が続いています。
では、なぜ「終売」と誤解されるのでしょうか。その背景を、歴史や流通の観点からわかりやすく整理してみましょう。
サントリーオールドとは?日本のウイスキー文化を支えた「だるま」
1950年(昭和25年)に誕生したサントリーオールド。
日本のウイスキー史を語るうえで欠かせない存在です。丸みを帯びたボトルは「だるま」と呼ばれ、昭和の家庭の食卓やスナックの棚に必ずといっていいほど並んでいました。
香りは甘く、口当たりはなめらか。クセが少なく飲みやすいブレンドで、ウイスキーが苦手な人でも楽しめる一本です。
高度経済成長期には「人間みな兄弟」のCMとともに大ブームを巻き起こしました。
その人気ぶりから、“オールドを飲む=ちょっと大人の証”といった文化的な意味合いすら生まれたほどです。
「終売」の噂が出た理由とは?
実際にサントリーオールドは今も販売されています。
それにもかかわらず、なぜ「終売」や「製造中止」といった噂が繰り返し広がるのでしょうか。
主な理由は次の3つです。
- 仕様変更・リニューアルが多い
発売から70年以上の歴史の中で、オールドは幾度もラベルやボトルデザイン、ブレンドを変更してきました。
特に1990年代以降、「マイルド&スムーズ」「リッチ&メロー」などの派生品が登場し、さらに2000年代には「THE サントリーオールド」など新シリーズも発売。
これらが相次いで終売・統合されたことで、「あのオールドがなくなった=全部終売になった」と誤解されるケースが多いのです。 - 旧ボトルが“終売品”として取引されている
酒販店やオークションサイトでは、「特級表示」「旧ラベル」などの古いサントリーオールドが“終売品”として扱われています。
たとえば1989年以前の「特級表記ボトル」などは、すでに生産が終了しており、コレクターや愛好家の間でプレミア化。
この「終売表示」が一人歩きして、現行品までもが生産終了と思われてしまうわけです。 - スーパーや量販店で見かける機会が減った
ウイスキーブームや原酒不足の影響で、販売店によっては仕入れ数が減少。
棚から消えているのを見て「もう売ってないのでは?」と感じる人が増えています。
つまり、“終売”といわれる背景には、旧仕様の終了と流通の変化が重なったことがあるのです。
現行モデルは今も販売中!サントリー公式でも確認できる
サントリーの公式製品情報を見ると、現行のサントリーオールド(700ml/43%)がしっかり掲載されています。
希望小売価格は税別2,250円前後。スーパーやオンラインショップでも、比較的安定して流通しています。
現在販売されているボトルは、ラベルが金色を基調とした上品なデザイン。
アルコール度数43%で、ブレンドには白州・山崎・知多といった国産原酒を中心に使用。
香ばしい甘みとコク、バランスの取れた飲み口が特徴で、「国産ウイスキーの原点」として初心者にもおすすめされています。
実際、サントリーが毎年年末に発売する「干支ボトル」シリーズでも、このオールドが主役。
つまり、メーカーとしても定番ブランドとして存続していることは明白です。
昔の味が恋しい人へ:旧ラベル・古酒の存在
「最近のオールドは味が違う」「昔のほうがコクがあった」──そんな声も少なくありません。
実際、ブレンドや原酒の構成が変わったことで、かつての味わいとは異なって感じる人も多いようです。
もし“昔のオールド”をもう一度味わいたいなら、「特級表示」「760ml」「43度」などの表記があるボトルを探してみると良いでしょう。
こうした旧ボトルは、古酒専門店やネットオークション、ビンテージウイスキーショップなどで見つかることがあります。
ただし、古酒は保管状態や液面低下によって品質が変化している場合があるため、信頼できる店舗での購入がおすすめです。
原酒不足とウイスキー市場の変化も影響
ここ数年、サントリーをはじめとする国内ウイスキーメーカーでは、原酒不足が続いています。
山崎や白州などのシングルモルト人気が高まる一方で、熟成年数の長い原酒を確保するのが難しくなっているため、ブレンデッドウイスキーにも影響が及んでいます。
そのため、「終売」「休売」する銘柄が増加。
たとえば「白角」「角瓶プレミアム」なども一時的に終売・休売となった時期があり、「オールドも同じ流れでは?」という憶測が広がりました。
しかし現時点では、オールドはサントリーを代表する定番商品として生産が継続されています。
サントリーオールドを入手するには?
現行のサントリーオールドは、以下のような販売ルートで簡単に購入できます。
- スーパーやドラッグストア(年末年始は干支ボトルが多く並ぶ)
- 家電量販店やディスカウントショップ(イオン、ヨドバシなど)
- Amazon、楽天市場、サントリー公式オンラインショップなどの通販サイト
一方で、旧ラベルや特級ボトルを探したい場合は、以下のような方法もあります。
- 酒専門の中古店(リカーズモリタ、シマヤ、リカオーなど)
- オンラインの古酒販売店(ジャパニーズウイスキー専門店、ヤフオク、メルカリ)
- ビンテージバーでのテイスティング体験
現行品と旧ボトルの価格差はかなり大きく、古酒になると数千円~数万円に跳ね上がることもあります。
コレクション目的なら、ラベルの状態や液面の高さをチェックしておくと安心です。
「終売」ではなく「進化」し続けるブランド
サントリーオールドは、単に古い銘柄ではありません。
時代ごとに姿を変えながら、70年以上にわたって飲み継がれてきたブランドです。
戦後の復興期から令和まで、日本人の生活に寄り添い、祝いの席や正月の食卓を彩ってきました。
終売と誤解されがちですが、むしろ“生き続けているウイスキー”。
新しい世代にも飲みやすく、柔らかな味わいは今も多くのファンを惹きつけています。
サントリーオールド終売の噂を整理しておこう
改めてまとめると――
- サントリーオールドは終売ではない
- 旧ボトルや限定仕様はすでに生産終了しており、それが「終売」と混同されやすい
- 現行品は全国で購入可能で、干支ボトルなど限定デザインも毎年登場している
- 原酒不足などの背景から一部で流通量が減っているが、ブランドは継続中
昔のラベルに懐かしさを感じる人も、今の味に新鮮さを見いだす人も。
それぞれの“オールド”にストーリーがあります。
あなたの一杯も、きっとその延長線上にあるはずです。
サントリーオールド終売の噂は、誤解から生まれたもの。
今も変わらず、あの“だるまボトル”は酒棚で静かに輝き続けています。

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