「ニッカ カフェ ジンが終売らしい」と耳にした方、少なくないのではないでしょうか。
長年ファンに愛されてきた名作ジンが、いつの間にか店頭から姿を消している――そんな声が増えています。
今回は、カフェジンの特徴や人気の理由、そして今でも楽しめる代替品まで、じっくり紹介していきます。
ニッカ カフェ ジンとは?カフェ式蒸溜機が生んだ唯一無二の味わい
ニッカ カフェ ジンは、ウイスキーメーカー・ニッカウヰスキーが誇る「カフェスチル(カフェ式連続式蒸溜機)」を使って作られたジンです。
通常のジンでは連続式蒸溜機で高純度アルコールを得るために、香りがそぎ落とされる傾向があります。
しかし、カフェスチルは原料由来の香味をしっかり残すのが特徴。その結果、穀物の柔らかい甘みとボタニカルの香りが絶妙に融合した、唯一無二のジンが誕生しました。
ベーススピリッツには「モルト(大麦麦芽)」と「コーン(とうもろこし)」の2種類が使われています。
この組み合わせが、ジンでありながらウイスキーにも通じるまろやかなコクを生み出しているのです。
和素材を活かしたボタニカル構成
カフェジンが注目を集めた理由のひとつが、ボタニカルへのこだわり。
海外のクラフトジンとは異なり、日本らしい素材を多く取り入れています。
使われている主なボタニカルは以下の通り。
- ゆず
- かぼす
- 甘夏
- シークヮーサー
- りんご
- 山椒
- ジュニパーベリー
- コリアンダーシード
- アンジェリカルート
- オレンジピール・レモンピール
これらの素材を「柑橘系」「スパイス系」「フルーツ系」に分け、それぞれ別々に蒸溜。
減圧・常圧を使い分けて香りを丁寧に引き出しています。
まさに、ウイスキー造りの技術をジンに応用した“職人の結晶”と言える一本です。
味わいと香り ― 和柑橘とスパイスが奏でる立体的な余韻
一口飲むと、まず感じるのはゆずや甘夏、かぼすといった和柑橘の爽やかさ。
そこにりんごの甘みが優しく重なり、最後に山椒とジュニパーベリーのスパイスがキリッと引き締めます。
余韻には穀物由来のほのかな甘さが残り、ジンとは思えないまろやかさを感じるでしょう。
ストレートやロックはもちろん、トニックウォーターで割ったジントニックでも魅力が際立ちます。
柑橘の香りがより一層引き立ち、心地よい清涼感を楽しめます。
「飲みやすいのに奥深い」――そんな評判が多いのも納得です。
終売の噂は本当?現状と背景を整理
では、なぜ「ニッカ カフェ ジン 終売」という話題が出ているのでしょうか。
結論から言えば、メーカーから公式に「販売終了」と発表されたわけではありません。
しかし、実際の流通状況を見ると“事実上の終売状態”と考えられる要素がいくつかあります。
まず、姉妹商品である「カフェグレーン」「カフェモルト」は、2019年前後から生産休止・在庫限りとされました。
これらと同じ「カフェスチル」で蒸溜されるカフェジンも、同様の供給制約を受けている可能性が高いと考えられます。
また、ウイスキー需要が世界的に急増したことで、ニッカが原料や蒸溜設備をウイスキー生産に優先的に回しているという推測もあります。
店頭でも「もう入荷しない」「製造をやめたと聞いた」という声が散見されます。
ネットショップでも「在庫限り」「販売終了」と明記されているケースが増えており、入手は年々難しくなっているのが現状です。
名作ジンが惜しまれる理由
カフェジンがここまで惜しまれるのは、単に“希少だから”ではありません。
いくつもの魅力が重なって、唯一無二の存在となっていたからです。
- 蒸溜技術の希少性
世界でも数少ないカフェスチルで蒸溜されたジン。ニッカにしか作れない味でした。 - 和と洋の融合
柑橘や山椒など日本的ボタニカルを取り入れつつ、ジュニパーベリーなどの西洋スパイスもバランス良く配置。 - ウイスキー由来の深み
ベーススピリッツがモルトとコーンという点が、香ばしさとコクをもたらしました。 - ブランドの信頼感
長い歴史を持つニッカウヰスキーが生み出したという安心感と期待値。
これらの要素が合わさり、「クラフトジンブーム以前に完成していた日本の名作」として語り継がれています。
今でも買える?在庫と価格の現状
2025年現在、一般的な量販店での取り扱いはほぼ見かけません。
一部の専門酒販店やオンラインショップでは在庫が残っている場合がありますが、価格は発売当初の約2倍以上に高騰していることも。
フリマサイトやオークションでは「終売品」「希少品」として取引されるケースも増えています。
ただし、ジンは熟成年数によるプレミア価値がつきにくいため、ウイスキーほど高騰するとは限りません。
購入を検討する際は、状態や出所をしっかり確認することが大切です。
カフェジンの代わりに楽しめるおすすめジン
「もう買えないなら似た味わいのものを探したい」という方のために、いくつか代替候補を紹介します。
どれも和素材を生かしたクラフトジンで、カフェジンに通じる世界観を持っています。
- 六(ROKU GIN)/サントリー
桜花・煎茶・山椒など日本の素材を6種使い、バランスの良い香りが特徴。
カフェジンよりやや軽やかですが、和のニュアンスがしっかりあります。 - 季の美(KI NO BI)/京都蒸溜所
ゆずや玉露などを使った本格クラフトジン。
ボタニカルをカテゴリーごとに蒸溜する点がカフェジンと似ています。 - 和美人/本坊酒造
鹿児島産のボタニカルを使い、柑橘とスパイスのバランスが絶妙。
厚みのある味わいで、ロックにも向いています。 - アネホジン(国産クラフト)系
スパイス・柑橘の主張が強めの製品を選ぶと、山椒やゆずの印象が近く感じられます。
これらを飲み比べると、カフェジンの個性の深さが改めて実感できるはずです。
再販の可能性はあるのか?
現時点で、ニッカから再販に関する正式な発表はありません。
ただし、カフェスチル自体はニッカ宮城峡蒸溜所で稼働を続けており、新たなスピリッツ展開の可能性はゼロではありません。
ウイスキーの供給が安定し、再びクラフトジン需要が高まれば、限定復刻のような形で再登場することも考えられます。
ファンとしては静かにその日を待ちたいところです。
ニッカ カフェ ジン 終売 ― 名作の記憶を次へ
「ニッカ カフェ ジン 終売」という言葉には、ただのニュース以上の意味があります。
それは、ニッカが持つ蒸溜技術の挑戦であり、日本のクラフトジン文化の先駆けでもあったからです。
和素材の優しい香り、穀物のまろやかさ、そしてカフェスチルが生む深み。
もう一度あの味に出会える日が来るのか――今も多くのファンが願っています。
もし店頭で見かけたら、それは幸運そのもの。
ぜひ丁寧に味わいながら、ニッカ カフェ ジンという名作の記憶を次世代へつないでいきましょう。

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